投資信託あれこれ

株価指数より高いリターンを叩き出せば、そのファンドの純資産額はどんどん伸びていくのか?(そんなことはありません。)

2024年9月21日

 

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

 

『年老いたファンドより、
若いファンドのほうがいいよね・・』というセリフは
(明らかに)ファンド差別発言につながります。

 

でも実際、
年老いたファンドは、
個人投資家に顧みられることがありません。

 

それはなぜか?

30年、40年と元気に運用を続けるファンドのことを、ほとんどの投資家が単に知らないためです。

 

 

 

 

 

ひとつ『例題』を出してみましょう。

 

MHAM株式オープンです。

 

「ほぉ、あのファンドのことだね」と
反応できた人は、
かなりの投資信託通でしょう。

 

 

MHAM株式オープンは、
むかし「DKA株式オープン」と呼ばれていました。

(昔は第一勧業アセットマネジメントの運用でした。
今はアセットマネジメントOneが運用会社です)

 

ファンドの設定は
1976年ですので、
当ファンドと『同い年』の人もいるのでは?

 

 

 

 

 

MHAM株式オープンは年1回「分配金」を出す、

主に日本株に投資を行う
アクティブファンドなのですが、

 

 

もしも、ですよ、

毎年出される『分配金』を
課税される前に、

当ファンド本体に自動的に再投資できていたら、

 

このMHAM株式オープンという
投資信託の成績は、
『こんなふうになっているよ』、というのが、

 

 

 

 

上記、
青色の折れ線グラフです。

分配金再投資基準価額といいます。

 

画像元:アセットマネジメントOne

 

緑色の参考指数(TOPIX)のグラフに比して、成績が良いですよね。

 

 

また、

分配金を出したあとのファンド価格、

いわゆる『基準価額』(ピンク色折れ線グラフ)
参考指数を上回っています。

 

これは・・・、
成績がよいアクティブファンドです。

 

 

しかも、

昔(1976年)に設定されたアクティブファンドなので、信託報酬も年0.825%と低廉です。

 

成績が優秀なファンドなら
購入する人がどんどん増えて、

投資信託の純資産額も増大していく・・

 

とは(残念ながら)なっていません。

 

 

 

 

画像元:アセットマネジメントOne

 

逆に、2006年頃から
当ファンドの『純資産額』は減り続けており、

本年8月末の月次レポートによると
純資産額は134億円程度です。

ちなみに当ファンドはネット証券でも販売されています。

 

 

どうなのでしょう・・・・、

 

投資信託という道具は、
そもそもが、

 

長~い目で見て、
相対的に優秀な成績を上げてくれて、

ファンド保有者の資産を増やすことを目的に作られた『道具』ですから、

 

長~く運用を続けて、
パフォーマンスが良いファンドを、

 

もっと運用会社さんは(そして販売会社さんも)誇りを持って宣伝、アピールすべきなのでは?

 

 

 

 

 

目先のことばかりを気にして、
直近のトレンドを追い求めすぎて、

新しいファンドを
ニワトリが卵を産むみたいに作っている場合じゃないと思います。

 

 

日本の上場会社数は3832社(2022年時点)で、

日本で設定されている投資信託は
5923本もあります(2021年時点)

 

明らかに多すぎます。

 

たとえば運用期間が20年を超えるような投資信託を厳選し「ヴィンテージファンド」的なPR活動をもっと行うべきでしょう。

 

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