相続発生→ファンドの名義変更時に、故人と同じ証券会社の口座を開かないといけないっておかしくないですか?
2024年8月26日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
慣習、というのでしょうか、
これはどこの業界にもあると思います。
わたしが金融業界を長年見てきて、
「これっておかしいのでは?」と思っていることを述べたいと思います。
縁起が悪い話です。
あなたの親御さんが亡くなられて、
株式や債券や投資信託といった
金融資産を『証券会社』でお持ちだった場合、
原則、
あなた(相続人)も
親御さんと同じ証券会社の口座を開いて、
そこから名義変更(相続手続き)をする必要があります。
例えば、
元々あなたはSBI証券に口座をお持ちとしましょう。
でもお父様は
野村證券で口座を持たれていました。
『プロセス』としては?
→ お父様名義の株式、投資信託 ・・ 野村證券内で・・(あなた名義の)株式、投資信託に。
となります。
以下、
誤解がないよう申し添えますと、
仮に、
『オーロラII (東欧投資ファンド)』のような、
野村證券のみで販売されているファンドを
お父様がお持ちだった場合は、
これはもう、
あなたは野村證券の口座を開いて、
そこで
当該ファンドを引き継ぐしかありません。
しかし、です。
個別株式に関しては
SBI証券でも
扱っている『銘柄』は同じです。
投資信託についても、
(お父様が遺したものが)
SBI証券でも扱っているファンドであれば、
相続発生の際、
あなた名義の
SBI証券口座に(株式も投資信託も)
『口座移管』することによって、相続の手続きが可能になる・・。
「ああ、SBI証券で口座をお持ちですね。
でしたら、
相続のお手続きの途上で、
(野村證券でご所有だった)
お父様の個別株式B、個別株式C,
E株式ファンド、F株式ファンド、Gバランス型ファンドを、
SBI証券に、
口座移管させるお手続きに入りましょう!」
(※E株式ファンド、F株式ファンド、Gバランス型ファンドが「SBI証券」でも扱っている前提)
みたいな『サービス精神』があっても、
よいのではないでしょうか。
(念のため、
お父様の口座が「楽天証券」だったとしても理屈はまったく同じです)
もちろん
わたしの主旨は、
上記のようなサービス享受に対しては
きちんとその分の『手数料』はお支払いしますよ、という意味です。
金融サービス業ですよね?
もしも、
相続時には、法令上、同一会社の証券口座間でしか、名義変更ができないのであれば、そこを改正して、利用者の利便性を高めるべきではないでしょうか。
当の本人になってみると
痛いほど分かりますが、
親が亡くなって、
自分が別に関心があるわけでもない証券会社の『口座』をわざわざ開かないといけないのは、かなり面倒な(ほんとうはイヤな)ことなのです。
慣習が、
人を、
あるいは会社を、
迷子にさせているのです。
金融サービス業はまだまだ発展途上です。
カテゴリ:金融機関にモノ申す