お金の摩訶不思議

日経新聞記事『老後資産の減少、85歳でも1割台 「長生き」意識、節約志向』

2024年8月22日

 


こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

これだけ多くの人が、
株式市場に参加できるようになったのはかつてないことです。

 

インデックス投資など
効率的な投資手法の普及もあいまって、投資の民主化が進み、

 

ふつうの生活者が
無理なく資産を増やせるようになった事実は、とても喜ばしいこと。

 

 

が、しかし、

他方
(正直に申し上げて、)
お金を増やすことが『目的化』している人も多く見かけます。

 

お金を貯める、
お金を増やすことが良くない、
という意味では決してありません。

 

 

せっかくお金は積み上げたけれど、

暮らしの中の喜び、充実感が、

 

銀行のアプリで
自身の預金残高を見て
「うっとり」することになってしまえば、

それはどこか虚無の要素を内包しているように思えます。

 

 

 

 

 

他人から見て、

 

「おぉ、大きな家(大きなお金)がありますね!」と

 

認知はされるかもしれませんが、

 

いざ本人が家の内部を見渡し、

 

ただ家(資産)が大きいだけで、自分らしいモノやコトを置いていない事実に気づいたとき、ご本人の胸にはなにが去来するのでしょうか。

 

 

あなたが今、
『自転車』に乗っているのは、
どこか目的地があるからです。

 

 

 

 

 

えっ、何を突然!?

 

たとえば、ですが、

 

私は・自転車に乗って・イオンに行く。

 

など、
自転車に乗る目的(地)があるはず。

 

 

ところが
資産運用においては、

 

私は・お金を増やして・○○する。

 

の、

○○の部分が希薄であるケースが多いのです。

 

多くの人が
「とりあえず」という枕詞を付けたがります。

 

 

(とりあえず)
私は・お金を増やして・・・

 

私は・お金を増やして・・

私はお金を増やして・・

 

あなたは、
どうされますか?

 

 

 

 

 

もちろん長い目で見れば、株価は上がっていくことでしょう。

 

えっ、何を突然!?

 

 

たとえば2050年に、

日経平均株価 21万円
ダウ平均   36万8千ドル 

くらいになっていても
全然おかしくはないでしょう。

 

 

あなたの死期のわりと近くになって、

 

『株価指数がまた高値を更新!』

 

ということもあるかもしれません。

 

 

でも、そんな時までファンドを持ち続けてしまえば、(ファンドを解約せず、)お金も使わずに逝ってしまうことに・・。

 

 

 

 

 

 

株式市場にピークはありませんが、
あなたの投資にはピークがあります。

 

今一度、このことを確認すべきなのでは?

 

 

実は、
今年もっとも驚いた記事が日経新聞にありました。

 

 

 

要は、
シニアが保有する資産について、
貯め込むばかりでほとんど使われていないという事実です。

 

 

老後に備えてためた金融資産が
80歳を過ぎても平均で1~2割しか減っていないことが内閣府の分析で判明した。

 

 

長く生きるリスクに備える。

そのご心情は分からなくはないですが、

 

多くの生活者が
減らない資産(数字)に隷属し、こころがお金に制御されているような気がしてきます。

 

85歳以上になっても
資産の減少率が1割台半ばにとどまるというのは、衝撃的でした。

 

いえ、

予想通りでした。

 

 

 

 

 

わたしは私の職業柄、

人がいったん持ってしまった
お金を貯める、増やすの『慣習』を、

軌道修正するのは至難の業であることを承知しています。

 

 

お金を貯める、増やすのベクトルが死の間際まで続くと、結局多額の資産を抱えたまま、次世代にバトンタッチされることになります。
(相続税の分だけを差し引かれて。)

 

 

日本経済の問題は、
お金が足りないことではありません。
特定の場所に凍り付くお金が多すぎて、世の中にお金が回っていないことが問題なのです。

 

 

貯める、増やすを真面目に行うのは、
日本人の優れた特性であります。

そして、それは簡単には変わりません。

 

 

 

 

 

だとしたら、
国の政策で、お金の巡り方を意図的に変えるくらいの策が必要でしょう。

 

シニア層に対する社会保障の負担を現状より増すことは理に適いますし、

『贈与』という行いを、社会にお金を巡らすという意味合いでもっと「善行」と捉えるべきでしょう。

 

 

 

 

贈与に関する『税負担』を大幅に引き下げる必要があります。←これは喫緊の課題。

 

 

最後に、上記日経記事から引用です。

 

65歳以降になると、資産を取り崩す動きが出るものの、そのペースは緩やかだ。

 

85歳以上でも1500万円強と減少率は1割台半ばにとどまる。特に金融資産の大部分を占める預金は年齢が高くなっても残高にほとんど変化はない。

 

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