株価は赤子のように振る舞う?それとも紳士のように落ち着き払う?
2024年7月7日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
株式市場が誕生して以来、
私たちの先人は
「株価予測に夢中になってきました。」
おそらくですが、
初期の頃ほど、
予測が当たる可能性もそこそこ「高かった」のだと思います。
それはなぜか?
今より市場参加者がうんと少なく、
上場している銘柄もうんと少なく、
市場に参加するにも何かコネクションのようなものが必要で、株式の『いちば』は今よりうんと閉じられた場所であったためです。
おそらくインサイダー情報も横行していて、
最低単位の株式、債券を購入するにも「まとまったお金」が必要だったのでしょう。
ざっくり言ってしまえば、
秘匿性の高い「社交倶楽部」のような所だったのです、むかしの株式市場って・・。
さて、時代は下ります。
市場参加者はうんと多くなりました。
上場している銘柄もうんと増えました。
マサチューセッツ工科大学の経済学者
シドニー・アレクサンダー氏 が1961年に発表した論文に、
「投機市場における価格変動。トレンドか、ランダム・ウォークか?」(Price Movements in Speculative Markets: Trends or Random Walks. )
があるのですが、
『トレンド』とは
傾向、規則性 の意。
『ランダム・ウォーク』とは、
酔っ払いの千鳥足のこと(笑)
つまり、規則性のない様を指します。
『トレンド』なのか『ランダム・ウォーク』なのか?
これ、永遠の論争です。
上述のアレクサンダー先生は
トレンド(傾向)を分析して投資判断をする、いわゆる「テクニカル手法」という投資スタイルに注目します。
テクニカル手法とは
『チャート分析』などを使った手法ですが、
同法が果たして有効なのかどうか、1897年から1959年までのデータについて、徹底的にシミュレーションを行ったのです。
その結果、
テクニカル手法の有効性はほとんど認められないと結論付けました。
そもそも『株価の変動』は、
いったいどのような現象として説明できるのでしょうか。
あなたはどちらだと思いますか?
もし、1.であれば、
結局のところ
「毎日」「毎日」株価がどう変動するかは誰にも分かりません。
仮に2.であれば、
こっそり大儲けできる可能性があります。
残念ながら昔のマーケットとは違って、
こんにちの株式市場は
数多の不特定多数の人間 が参加し、
また、あらゆる情報がほぼ瞬時に伝わってしまうため、
自分だけが有利な情報を得、かつその情報が「優位性」を保つことなどほとんど不可能です。
株価も株価指数も、
その時一瞬一瞬の、市場参加者の総意の反映です。
結果、株価は規則性なく変動することになります。
より詳述すれば、
株価の変動は、
昨日のうちに(その物語を)閉じ、
昨日とはまったく関係なく(株価は)動くわけです。
これが不規則性の本質。
次に、
市場そのものの期待リターンについてです。
株式市場は
「不機嫌」「機嫌がよい」がランダムに出現します。
まさに不規則にその様相を変えます。
(上図は長期のS&P500の年毎の結果リターンです)
毎日毎年の株価形成は
市場参加者のセンチメントに影響を受けるため、
時に株価が暴騰し、
上がり過ぎの状態が続いたり、
また時に株価が暴落し、
下がり過ぎの状態が続いたりもします。
しかし、長い目で見れば、
様々な人間が
様々な思惑を持って行動するのが株式市場ですから、
まるで社会の中で起こる一現象のように、
株式市場の平均は、
これを『平均への回帰』といいます。
例えば、
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、
直近1年の騰落率が+40%を超えていますが(為替差益込み)、
株価指数は
超長期で見れば、
平均的なリターン(インフレ調整後、年率6~7%前後)に落ち着いていくものです。
『今回は違うかも・・』という主張が、昼下がりの八百屋さんの店先の会話のように言われ出したら、それこそバブルの予兆なのかもしれません。
カテゴリ:投資の発想法