資産の取り崩しを始めた途端に『暴落』に遭った。どうすればいい?
2024年7月5日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
自身が定年退職を迎え、
「さあ、これから投資信託を取り崩そう!」という時に、
株式市場のクラッシュ(暴落)が起こってしまうなんて、考えたくもありません。
しかし、その可能性はゼロではないのです。
このような状況になった場合、
私たちはどのように対処したらよいのでしょうか?
結論から申し上げると、
ファンドを規則的に部分解約するなら、
そんなに心配し過ぎることはありません!
大きく目減りしたファンド資産を
一度に「取り崩す」わけではありませんから。
老後の取り崩し戦略は、
公的年金の受給で「足りない分」を
少しずつ少しずつファンドから取り崩していくこと。
こちらの記事で吊ら男さんが
分かりやすくシミュレーションしてくれています。
比較対象は、2種類の2000万円です。
〇 まったく運用していない2000万円
〇 セゾン・グローバルバランスファンド2000万円分
※セゾン・グローバルバランスファンドは株式50%・債券50%のバランスファンドです。
2007年3月~2017年1月。
つまり、
リーマンショックが起こる1年半前から、毎月10万円ずつ取り崩しを行うと、双方どうなるの?というシミュレーションなのです。
ここでのポイントは,
暴落時に一気に全資産を売却するのではなく,
長い期間をかけて取り崩すということでしょう。
その結果,暴落があったとしても,
暴落後の上昇相場で資産が増えるという
相場のサイクルの恩恵を享受できています。
ハイ、
つみたても長期戦なら、
取り崩しも長期戦なのです。
仮に定年退職後、
11年後も、18年後も、29年後も、
生活費の足しとするため、
少しずつ投資信託を解約し続けたとすると、
いったい何が起こるのでしょう?
つみたてを続けていた「29年」と同様、
ファンド価格が
どーんと上がる年もあれば、
急落の年もあれば、
暴落の年もあるかもしれません。
仮に『暴落』が避けられないとすれば、上記例で言えば、
『それ』がいつ起こるかという違いに過ぎません。
リタイアしても(長く)資産運用は続くわけです。
では、一歩進めて、
トータル資産の中で、
安全資産(自国建ての国債)+リスク資産(インデックスファンド)の「比率」を一定に保ちながら、
毎年「パーセント(%)」で取り崩しを行っていけばどうでしょうか。
この場合、
「4%ルールの父」といわれる
ウィリアム・ベンゲン氏の有名な『論文』が助けになります。
上記論文では、
1926年から1976年までのデータを基に
「米国株式」「米国債券」を組み合わせたポートフォリオから、
トータル資産の3~6%を毎年取り崩した場合に、資産が『何年』持続するかという検証を行っています。
たとえば一例ですが、
『株式50/債券50のポートフォリオ』で
取り崩し率を初年度「4%」として、
1926年から1976年までの間に
『引き出し』をスタートさせた場合、
(※株式は米国株式、債券は米国の中期国債)
もっとも資産の『持続率』が悪いのが、
1965年、1966年に取り崩しを始めた場合なのです。
これは、
米国S&P500指数が大きなマイナスとなる、
1973年、1974年の『7年から8年前』です。
グラフの横軸・・取り崩しを始めた年(1900年代の数字)
グラフの縦軸・・資産が持続した年数
上図は、S&P500指数の年次パフォーマンス)
逆に暴落が起こった1974年に
取り崩しを開始した場合、
資産の持続率は(かえって)優秀です・・。
(1926年~36年の取り崩し開始も超優秀。)
「取り崩し(%)」とは
長い歳月をかけた継続的な作業であるため、
リタイアした途端『暴落』に遭遇したというケースは、実はそんなに悪い話ではないのです。
なお当クリニックでは、
毎年「定額」で
投資信託のみからの取り崩しを行うより、
トータル資産の中で
安全資産とリスク資産の「比率」を明確にし、
同比率を保ちながら、パーセント(%)で毎年取り崩すことをよりお勧めしています。
カテゴリ:リタイアメント・資産の取り崩し