ファンドの純資産総額が『右肩上がり』です(何がスゴいの?)
2024年5月21日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
投資信託の『純資産総額』のグラフを見る、
これは私にとっての日常です。
と言いますか、
私はちょっとした
純資産額グラフ「マニア」なのかもしれません(笑)
最初に確認なのですが、
ファンドの『純資産総額』は増えます。
理屈の上では、
新たに投資信託を購入する人がゼロ人でも、
ファンドが内包する株式など
「銘柄の価値の上昇」が続けば、
ファンドの純資産額は逓増するわけです。
例えば、
2006年から2013年にかけて、
純資産額が
「289.75億円」から「328億円」に増えるとか。
でも、
明確な右肩上がりにはなりません。
ファンドに持続的にお金が入ってきてこそ、
純資産総額は大きく成長していきます。
より具体的には、
ファンド外に出ていく資金量より『多い』状態が続くことが肝要なのです。
ニッセイアセットマネジメントが運用する、
<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)というファンドがあります。
正直、ちょっと地味なのですが、
純資産総額の軌跡は
「これぞ右肩上がり」というフォルムで、見た目も美しいです。
画像元:ニッセイアセットマネジメント
このファンド内で、
もしもファンド保有者の一定割合が、
スポットで50万円とか100万円の『売却』を繰り返すと、
画像元:ニッセイアセットマネジメント
ピンク色の純資産グラフ的にいえば、
何度も「凹み」が発生するはずです。
それが発生していません。
資金の入金のしかたで見ても、
もしもファンド保有者の一定割合が、
スポットで100万円とか200万円の『購入』を不規則に行っていると、
画像元:ニッセイアセットマネジメント
ピンクの純資産グラフ的にいえば、
なんども「凸む」状態が発生するはず。
それもないのです。
さあ、ここから一緒に考えましょう。
凹凸がなく、
純資産総額がキレイな「右肩上がり」になっている理由とは?
ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)の『保有者』の大部分が、
〇 当該ファンドをシンプルに持ち続け、
かつ、
ファンド保有者の大部分が、
〇 定額で積立投資を行っている・・、
かつ、
〇 ファンドの解約がきわめて少ないからなのでしょう。
画像元:ニッセイアセットマネジメント
言い方を換えれば、
純資産総額の増減の様子を見れば、
ファンド『保有者』の特性が見えてくる。ということです。
こういうファンド「評価軸」を持つことはきわめて重要。
次に、
アセットマネジメントOneが運用する、
メディカル・サイエンス・ファンドです。
画像元:アセットマネジメントOne
どうですか?
あなたなりに分析してみれば、何かが見えてきませんか。
〇 積立投資している人、きわめて少なそう。
初期の頃、
例えば、販売会社である「みずほ証券」の営業パーソンに勧められて当該ファンドを買ったものの、
少し利益が乗ったから、
〇 ファンドを部分的に、あるいは全部解約して利確します・・
みたいな、
〇 長期投資の胆力がない人が多そうだな、ということが、
純資産総額の『グラフ』から見えてきませんか?
個人的にこういうファンドを買いたくはありません。
つまり、
このような『ファンド保有者』の人たちと
お仲間にはなりたくありません。
先ほどの、
ニッセイ4資産均等型のファンドに戻ってみましょう。
当該ファンドは
運用を開始して間もなく丸9年になります。
9年経ったファンド保有者の『キャラ』が
ここから先、大きく変わったりするでしょうか?
画像元:ニッセイアセットマネジメント
わたしは変わらないと思います。
あと5年経っても、
この『右肩上がり』のフォルムを維持している可能性は高いでしょう。
「慣性の法則」ではないですが、
10年、15年と純資産総額の「右肩上がり」を堅持しているファンドほど、そのベクトル(=純資金流入)は未来に向けますます『強固』になっていく・・
結果、ファンドの規模が拡大し、運用効率がますます高まることになる。
このような美点はまさに、
投資信託の『定性的』なメリットなのです。
純資産額の「数字」そのものではありません。
※事実ニッセイ4資産均等型の純資産額は500億円台であり、規模でいえば中堅クラスに過ぎません。
数字が大きいことに越したことはないのですが、
「数字」のみを見ると、
あなたはその【瞬間】でしか、ファンドを評価していないことになります。
投資信託の評価ポイントは、
『瞬間』ではなく、
時系列で見渡す『推移』そのものなのです。
その際、もっともチェックすべきは
ファンドの純資産総額の『推移』なのでしょう。
カテゴリ:投資信託あれこれ