先進国株式インデックス → 全世界株式(除く日本)→ 全世界株式インデックスに至るまでの長い道のり
2024年5月10日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
『G7』って
ニュースで頻繁に出てくるワードです。
その昔、
「先進国首脳会議」と呼んでいました。
略称を「サミット」といいます。
第1回先進国首脳会議(サミット)が
開かれたのは1975年のこと。
フランスのランブイエでした。
当時の参加国は6ヶ国。
(アメリカ、イギリス、フランス、
西ドイツ、イタリア、日本)
したがって最初は「G6」でした。
日本からは三木武夫首相が参加しました。
原油価格の高騰を受け、
世界経済の舵取りをどうしていけばよいのか。
これを6ヶ国だけで話し合ったわけです。
当時の「世界経済」に占める
上記6ヶ国の影響力が、
いかに大きかったかが分かります。
次に資産運用のお話です。
以下はあくまで
日本の機関投資家、
つまりは保険会社や証券会社や銀行、
年金基金の間での話なのですが、
1980年代になると、
広く効果的に投資を行うべき。」
という機運が高まりました。
いわゆる『国際分散投資』です。
実は日本を含む
「MSCIワールド指数」(全先進国株式インデックス)は、1969年に指数としての算出が始まっていました。
しかし、
全先進国株式インデックスの
除く日本版である、
『MSCIコクサイ指数』の算出開始は
1986年に入ってからのことでした。
これはわたしの邪推なのですが、
日本の経済力が突出するにつれ、
ジャパンマネーを取り込むべく、
ともかく、
同指数の算出開始により、
少なくともプロの投資家にとっては、
「日本株式」だけでなく、
「日本を除く先進国株式」に
一定の資産を配分することが定石となっていったのです。
注:私たちがふだん慣れ親しんでいる
「先進国株式インデックスファンド」は、日本を除く先進各国の株式に投資を行っています。
さて、上記は
あくまで機関投資家に当てはまる話です。
個人投資家には先進国株式インデックスファンドなんて、夢のまた夢だったのです。
わたしが知る限り、
個人が『MSCIコクサイ指数』との連動を目指す、
『先進国株式』を買えるようになったのは、
『MSCIインデックス・セレクト・ファンド コクサイ・ポートフォリオ』が最初だったと思います。
同ファンドの運用開始は1997年11月。
わたしはその昔、
大和証券(神戸支店)で
購入時手数料 2.1%を払って同ファンドを購入した覚えがあります。
たしか「運用管理費用」は年0.945%でした。
そこから、
全世界株式(除く日本)に至るまで、
(今となってはちょっと信じられないかもしれませんが、)なんと10年以上かかっています。
『eMAXIS 全世界株式インデックス』が登場したのは、2010年7月のことだったのです。
※ Slim(スリム)のほう↑ではなく、
兄さん格の「eMAXIS」のほうです。
当該ファンドは
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本)との連動を目指します。
いったい何なの?
MSCIコクサイ指数 + MSCIエマージング・マーケット指数 です。
ひとつのファンドで
先進国株だけでなく、
一挙に新興国株式にも
投資が可能になったのは画期的でした。
ところで冒頭、
「サミット」の話をしましたね。
また突然なのですが、
『G20』ってご存知ですか?
なんか聞いたことあるけど・・。)
G20とは、
「G7プラス12カ国」のこと。
その12カ国とは?
アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、
中国、インド、インドネシア、韓国、メキシコ、
ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ です。
G7には、上述のG 6(6カ国)に加え、
カナダと欧州連合(EU)が入っています。
実は『G20』は1999年から、
20か国・地域財務大臣・中央銀行総裁会議としてスタートしました。
では、なぜ
この20カ国の国際会議が注目を集めるようになったのか?
世界経済の『勢力図』が変わったためです。
これって資産運用の世界も同じで、
「新興国株式」という新たな投資対象が
個人投資家にも大きく門戸を開いたのです。
そしてようやく(ようやく、)
全世界株式インデックスファンドが登場します。
2017年のことでした。
あっ、突っ込みたい気持ちは
分かりますよ。
ETFの世界ではバンガード社の
「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」(VT)が、2008年に設定されていますから、
全世界株式(除く日本)より先行しているわけです。
ただ、インデックスファンドで言うなら、
全世界株式(除く日本)から7年経った2017年に、
ようやく
「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」が登場します。
先進国株式 → 全世界株式(除く日本)→ 全世界株式 の『道のり』は、予想以上に長かったわけです。
カテゴリ:インデックス投資全般