ソニー生命、変額保険『世界株式型』の変化について
2024年4月8日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
変額保険にしろ
変額年金保険にしろ、
商品の箱(ハコ)には
「これは保険です」と記されています。
しかし、フタを開けて
箱の中身を覗いてみれば、
債券や株式などの、
さまざまな投資信託のラインナップが並んでおり、
保険契約者は実際、ファンドを選んでいるわけです。
死亡保障が付いた『資産運用商品』でしょう。
中でも、
ソニー生命の変額保険のシェアは圧倒的に高いです。
実は今から10年~15年前は、
ソニーの変額保険『世界株式型』のパフォーマンスがかなり良い。というのは業界内では有名な話でした。
ソニー生命
2022年度 変額保険(特別勘定)の現況(PDF)を覗いてみましょう。
画像元:ソニー生命
上記『設定来』の数字を見れば、
圧倒的なパフォーマンスであることが分かります(2023年3月末現在)
ベンチマークは
日本を含む先進国株式の指数
「MSCI ワールド指数」ですが、
市場平均を大きくアウトパフォームしています。
が、しかしです。
よく見てみますと、
『直近10年の騰落率』は
+236.39% であり、
ベンチマークに負けています。
画像元:ソニー生命
これってどういうこと?
つまり、
『世界株式型』の圧倒的なパフォーマンスは、
10年以上前の昔の時間に醸成されたということなのです。
ここがアクティブファンドの評価の難しいところでしょう。
さらに付記してみます。
画像元:ソニー生命
『世界株式型』は、主に追加型投資信託「グローバル・クオリティ・ファンドSL」に投資を行います。と記されています。
実は当該投資対象は、
三菱UFJアセットマネジメントによる運用なのです。
が、ここにも歴史がありまして・・。
ソニー生命 変額保険の特別勘定『世界株式型』は長らく、
モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントによる投資助言によって運用を行ってきたのです。
別の資料を表示します。
画像元:ソニー生命
少し小さいのですが、上図の下部に次のような記述があります。
※1 世界株式型特別勘定は、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメント株式会社の運用助言に基づいて個別株式への投資を行っておりましたが、2022年9月1日より世界株式型特別勘定で保有する株式で組成した投資信託「グローバル・クオリティ・ファンドSL」に運用対象を変更いたしました。
そう、実は『世界株式型』の中身は変わっているのです。
これはわたしの邪推ですが、
もしかすると、
モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントの投資助言に基づいて直接個別株式への投資を行っていたときは、
保険契約者が負担するコストが(今よりも)低かったのかもしれません。
現状、
『世界株式型』では
特別勘定運営費用が0.2462%、
それにプラスして
信託報酬等で0.594%のコストがかかっています。
さらに、
「保険関連費用」が毎年けいぞく的に徴収されますから、
仮にベンチマークを上回る運用成績が期待できないのなら、このコスト負担は契約者の肩に重くのしかかってきます。
すなわち、
『保障』のニーズは
「定期保険」「収入保障保険」で。
『投資』のニーズは
「投資信託(インデックスファンド)」で。
同じ三菱UFJアセットマネジメントが運用する『オルカン』を選べば、ファンドの継続コスト(信託報酬)は年0.05775%で済むわけです。
カテゴリ:投資信託あれこれ