「オルカン」月次レポート、ファンド価格の『変動要因』を掲載し始め、為替の影響度が一目瞭然に!
2024年2月6日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
「オルカン」こと
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、
2018年の10月から運用をスタート。
すでに5年以上が経過していますが、
12月末時点の『月報』(月次レポート)を見ると
基準価額が 20899円と記載されています。
基準価額10000円でスタートするので、
ナント5年あまりで
ファンド価格が「2倍強」になっています。
この間の累計リターンを「%」で表すと?
プラス109%!
(ちょっと出来過ぎの成績ですね。)
さて、
本題はここからです。
5年あまりの累計リターンが
プラス109%ということは、
47ヵ国2800社あまりの『株価』が、
総じて109%も上がったということ?
(実は)そうではないのです。
オルカンの基準価額が
10000円から20899円になったのはズバリ、
『為替差益』(円安)という「ふたつの要因」からなります。
こういう客観情報が、
「オルカン」の月報(月次レポート)ではこれまで見られなかったのです。
ところがこのたび
オルカンの「月報」で、
基準価額の『変動要因』という表が確認できるようになりました!
画像元:「月報」eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
(2023年12月29日時点)
上記の数字は
あくまで『概算ベース』ではありますが、
以下に解説していきましょう。
画像元:「月報」eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
(2023年12月29日時点)
右端の『設定来計』にご注目ください。
これは、
2018年10月31日(運用開始)から
2023年12月29日までの『全期間の』という意味です。
左端に目を転じますと、
いちばん下に、
基準価額(分配落後)という「項目」があります。
この、
『設定来計』の数字が 10899(円)となっていますが、
この意味は?
基準価額(ファンドの価格)の変化が、プラス10899円になったよ。
ファンド設定時の「ファンド価格」は 10000円ですから、
10000円+10899円 = 20899円(12月末時点のファンド価格)
となるわけです。
もちろん、たまたまプラスの数字になっただけで、
マイナスの数字にもなり得ます。
注目いただきたいのは、
『為替要因』 3742 という数字です。
画像元:「月報」eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
(2023年12月29日時点)
これは・・・?
「+10899円」のうち、
割合にすると(為替の影響が)約34%もあります。
ということは・・・?
もしもこの5年あまり、
円高にも円安にも振れずに、
「オルカン」のファンド価格の変動要因が
純粋に『株価』だけによっていたら、
10000円 ⇒ 20899円 にはならず、
(いずれも23年12月末時点。)
「オルカン」資産の
95%程度は外貨建ての株式ですから、
為替変動の影響を大きく受け続けるわけです。これから先も。
先ほど、「オルカン」の収益の要因は、
『株高』と
『為替差益』(円安)というふたつでした。と述べましたが、
今後、長く「オルカン」に投資を続ければ、
『為替差損』(円高)という局面や、
『為替差益』(円安)という局面や、
最悪、
『為替差損』(円高)という局面も経験する可能性があるわけです。
「やっぱオルカン最高!
たった半年で2割も上昇!」
と喜ぶ前に、
きちんと月報(月次レポート)を見て、その上昇の要因が何によるものなのかを知りましょう。
逆に、
「えっ、オルカン調子わりぃ
たった半年で2割も下落」
と嘆く前に、
きちんと月報(月次レポート)を見て、その下落の要因が何によるものなのかを知りましょう。
画像元:「月報」eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
(2023年12月29日時点)
すべての外国株式系ファンド、外国債券系ファンドの『月次レポート』で、このようなファンド価格の『変動要因』の表を載せて欲しいものです。
各運用会社さん、よろしくお願い致します!
カテゴリ:インデックス投資全般, 投資信託あれこれ