リチャード・パク氏があなたに「東南アジア小型株ファンド」を勧めてきたら・・
2023年12月27日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
本日はあなたに「とっておきの書籍」をご紹介しましょう。
「底辺のビジネスパーソンが一発逆転
1億円を手にした暗号資産☆超マル秘必勝法!」
えっ、
カンさん??
ご安心ください・・上記あくまでフィクションです。
わたしはそんな書籍はおススメいたしません。
しかし現実問題として、
『煽情的な情報』がしばしば、
人を動かす武器になることがあります。
資産運用でもそれはしばしば見受けられます。
わたしが次のような【話】を真剣にしたら、
あなたはどう思われますか?
※ 以下は「フィクション」です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あのですね、香港で
「東南アジアの小型株」を専門に扱っている
運用会社がありまして。
本社はイギリスにあり、
その運用会社で15年以上ファンドマネージャーをやっている
韓国系カナダ人がいるんです。
その人の名はリチャード・パク氏。
実はわたしはリチャードと知り合いなのです。
リチャードはある日、わたしにこう言いました。
この『東南アジアハイパーXファンド』は満期が8年だ。
年率8%のリターンを【保証】するよ。
あなたはどうお感じになりましたか?
B「ちょっとおかしいなあ・・」
今、述べた金融商品について、
「良さそうじゃん。イイかも!」と思ったあなた。
一度、思考のでんぐり返りをしてみましょう。
この先、あなたがどこで
どんな金融商品と出会おうが、
投資の世界ではひとつの『原則』があります。
それは・・
『リターンは不確定』ということ。
さっきの、リチャード・パク氏の発言を
思い出してみてください。
この『東南アジアハイパーXファンド』は満期が8年だ。
満期になるまで保有してくれたら、
アメリカドル建てベースで
年率8%のリターンを『保証』するよ。
って言っていますけど、
と思いませんか?
英語の格言に、
「If it sounds too good to be true, it probably is.」
があります。
もうひとつ『出題』してみましょう。
〇 あなたなら、以下3つの『債券商品』の中からどれを選びますか?
<いずれも円建て商品です>
2.トヨタ自動車の5年物社債(年利1.0%)
3.株式会社トシノワリニハの5年物社債(年利4.9%)
※上記数字はあくまでフィクション(架空)です。
今、株式会社トシノワリニハの『社債』に魅力を感じましたか?
(果たして3.を選んで正解なのでしょうか?)
よーく考えてみましょう。
『債券』とは約束した利息を
定期的に支給してくれる金融商品です。
万一のことがなければ、貸した元本も「満期時」に返ってきます。
『日本国政府や、トヨタ自動車や、株式会社トシノワリニハが破綻するケース』です。
(実は)債券商品も
『リターンは不確定』と定義できます。
たとえば、
株式会社トシノワリニハの「年4.9%」という利回りは、
あなたが背中に背負う『リスク量』に見合っていると思いますか?
そもそもどうして
株式会社トシノワリニハは4.9%という利回りを提示しているのでしょう?
事業会社がお金を借りる場合、
「銀行」から資金調達する手もあります。
ほんとうは銀行からお金を借りたかったけれど、
5年間の借り入れで、
年3%とか3.5%の借り入れ金利が実現できなかったから、→ 要は融資を断られたから、
つまり、
4.9%という高い金利を提示せざるを得ない「事情」が
どこかに存在していると、類推すべきでは?
~金利の高さとは、リスクの大きさを示しているのです。~
リチャード・パク氏の話に戻りますと、
今、ドル建てで安全資産とされる
『10年もののアメリカ国債』で
年3.9%程度の利回りです。
このような状況のもと、
どうして年8%の利回り(USドルベース)が、
パク氏が所属する運用会社に
【保証】できるのでしょうか?
~アメリカドル建てベースで年率8%のリターンを【保証】するよ。~
の『部分』を読んだときに、
あなたが日常生活で培った常識、
「健全な懐疑心」がピピッと反応して、
直ちに『黄色信号』を発しないといけません。
それこそがマネーリテラシーなのです。
カテゴリ:投資家の感情リスク