なぜ新NISAでは『売りたい病』が発症しやすくなるのか?
2023年12月9日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
※ 新NISAの話が出てくるまで5分くらいかかりますが、どうぞ我慢強くお待ちください。
投資をするからには、
自分の資産は堅実に増えていって欲しいと願います。
ただ、順調すぎる、というのも考えものです。
2021年がそうでしたが、
市場が暴騰すると、
身体が麻痺して、
知らず知らずのうちに
リスクに対する感覚が鈍ってしまいます。
体が浮いたようになり、
なし崩し的に正当化され、
リターンを求める自分にふと気づくことがあります。
そんな中、
あなたが
課税口座で積み立ててきたファンドが
時価評価額1100万円になりました。
投資元本は700万円です。
なんと利益の額だけで400万円に・・。
こんな経験、もちろん初めて。
今、市場は急騰しており、
ちょっと地面から浮遊した感覚です。
あなたはそれを自覚しているからこそ、
と『考え始めて』しまい、もう気になって心が落ち着かなくなっています。
市場は上昇を続ける(=安泰である)と確信する気持ちがある反対側で、
こんなおいしい状態がいつまでも続くわけがない」と、
疑心暗鬼な気持ちも
同時に育ってしまっているのです。
かつてのわたしがそうでした。
少しでも売っておかないと、
1100万円の評価額は
絵に描いた餅になってしまう・・と、焦ってしまうのです。
実際、勝手にいろいろ『妄想』します。
上例でいえば、
2.利益分の400万円だけでも売っておいたほうがよいのでは?
3.いっそ全部売ってしまおう
とか。
もちろん、
その時は、わたしはファンドを売らなかったのですが、
それは単に、
窓口が 課税口座(特定口座)だったからです。
400万円の利益に対して、20%も税金がかかるのってイヤじゃないですか。
支払う税金の存在が、
ファンドを売却する『歯止め』になり、
結果ファンドを売らなかったことに、わたしは今でも感謝しています。
翻って、
一般NISAやつみたてNISAでは、
積み立ててきたファンドの評価額が1100万円になり、
(投資元本は700万円)
利益が400万円も積み上がると、
(課税口座以上に)売りたくなってしまいます。
なぜなら、
『非課税』だからです。
これは 大~きな誘惑、です。
『税金』がかからないなら、
と、
こころのすき間で
ふと思ったりもします。
翻って『新NISA』です。 よくココまで我慢して読み進めていただきました(^^)
新NISAでも変わらず、
市場のアップダウンは不規則にやってくるでしょう。
あなたは我慢強く投資を続け、
積み上げてきた
ファンドの評価額が1100万円になりました。
(投資元本は700万円)
利益が400万円になったのが、
今年(2026年)の1月のこと。
今年(2026年)は、まさにバブルを思わせるような高騰の年で、
―今現在を、ここでは2026年12月としましょう。―
ファンドの評価額がなんと1300万円に。
(投資元本は700万円)
利益が600万円も積み上がっています!
でも、でも、です。
低迷相場が続くと、利益600万円は絵に描いた餅になってしまう可能性が・・・。
そう考えると、あなたはもう気になって気になって、心が落ち着かなくなってしまいます。
新NISAは『非課税』であるだけでなく、
商品を売却しても、
その「元本部分」については翌年以降『投資枠が復活する』という恩恵も内包します。
利益分の600万円だけでも売っておこうか?
いや、いっそ、1300万円の半分くらい売ってしまおう。
と、
悪魔の声が囁いてもまったく不思議ではありません。
強力なインセンティブとなるのです。
つまり、
課税口座、現行NISA、新NISAの中で、
長期保有がもっとも難しいのが『新NISA』なのです。
新NISAはオトナの「哲学の道」です。
あなたは新NISA口座内で、数々の誘惑に出会いながら、
小さな利益をスルーして、
真に大きな利益のみにフォーカス出来ますか・・?
カテゴリ:NISA活用法