インデックスファンドの超低コスト化が進み過ぎると、インデックスファンドの繰り上げ償還が頻発する?
2023年12月5日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
新NISAの導入が決まって、
今、投資信託の運用会社間で「苛烈な競争」が起こっています。
以下、小数点が長く並んでしまうのですが、
例えば、
運用管理費用 年0.05%のファンドを1万円分保有したとすると、年間のコストは5円です。
ごえん!
あなたが支払うコストが年5円ということは、
投資信託の関連三社(販売会社・運用会社・受託会社)が受け取る「報酬」が年5円ということ。
100万円なら、500円の報酬。
1億円で 5万円の報酬。
ファンドの純資産額が1000億円で、5000万円の報酬です。
運用会社の取り分が50%あるとして 25億円。
たとえば「オルカン」の場合、
10兆円規模の純資産残高になってはじめて、
運用会社は「フム。利益が出ているね」と言えるようになるのでは?
どうして本日、
この記事を書いているかというと、
とんかつ@インデックス投資さんのツイートに触発されたためです。
インデックス投信のコスト引き下げ競争は有り難いけど、既に低コストだから頑張り過ぎなくていい。赤字垂れ流しで、償還されたら困る。うす〜く利益とって、なが〜くお付き合いしてほしい。
— とんかつ@インデックス投資 (@tonkatsu_index) November 9, 2023
まさに同感です。
ファンドの運用業もビジネスですから、
運用会社には薄く利益を取ってもらって
長く長くファンドの運用を続けてもらわないといけません。
が、しかし、
10月も11月も12月も、
新NISAの
ファンドコスト競争に参加すべく、
新たに設定される
超低コストのインデックスファンドの『ラッシュ』が続いています。
正直申し上げて、
ファンドの設定ラッシュでさらに運用管理費用が下がってくると(ちょっと)心配になります。
長い時間をかけて
ビジネスベースに乗る、
超低コストのインデックスファンドは一部だけであり、
その他のファンドは苦しい戦いを強いられる・・・
これは『消耗戦』です。
最悪『繰り上げ償還』という選択を下すようになるのでは。
また、逆説的になりますが、
際限なくインデックスファンドの運用管理費用が下がり続けると、投資信託全体の運用管理費用が、下がらなくなります。
最近、
信託報酬0.8%とか、0.9%の投資信託を見ないと思いませんか?
おそらくこれから先も見ないのでは。
インデックスファンドの超低コスト化が進むと、それ以外のファンドの運用管理費用がたとえば「年1%台」などで安定化してしまう可能性があります。
投資信託は
その『本数』でいえば、
そこそこ年間コストが高いモノと、
年間コストが安いモノに「二極化」しているように思えます。
この先、私たち投資家も賢くなって、
そこそこ年間コストが高いファンドを選ぶ人が減り、
超コストが安いインデックスファンドを選ぶ人が増えると、
『純資産残高ベース』で、
仮に、ですが、
年間コストが安いファンド 10%
のような「状態」から、
年間コストが安いファンド 40%
というような『大変動』が起こる可能性があります。
すると・・・、
運用会社は
運用ファンド全体で見ても、
なかなか利益が上がらない体制になってしまうわけです。
※注 一投資家としては
純資産額ベースでも、
そこそこ年間コストが高いファンド 60%
年間コストが安いファンド 40%
のような状態になって欲しいのですよ。
繰り返しですが、
各運用会社が消耗戦的に
超低コストのインデックスファンドを次々設定するのは、誰の特にもならないと感じるのはわたしだけでしょうか?
商品そのものの『存続性』をより重視すべきとわたしは考えます。
(そして)繰り上げ償還されるファンドが増えた。
という事態だけは避けたいもの。
最後に、しんたろうさんのツイートより。
【全世界株式オルカン対決🌏】
— しんたろう (@shintaro_money) December 2, 2023
✳️資金流出入額(2023.11、概算値)
1⃣ Slimオルカン 724.6億
2⃣ 楽天オルカン 35.1億
3⃣たわら 6.3億
4⃣ つみたて全世界 5.4億
5⃣ SSGA全世界 3.6億
6⃣ はじめてのNISA 2.0億
7⃣ Tracers 1.2億
カテゴリ:インデックス投資全般