ETFは繰上げ償還の結果、上場廃止になります
2023年11月13日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
先日、
投資信託の「繰上げ償還」のお話をしました。
ETFとは
投資信託が(ひとつの銘柄として)
株式市場に上場したモノですから、
「繰上げ償還」される理屈は投資信託と同じです。
ETFの運用が早期に終了してしまうことです。
(その結果としてETFは
「上場廃止」になります)
そういえば、
以前こんなツイートをしました。
昨年11月バンガードの「U.S. Liquidity Factor ETF」が繰上げ償還。バンガードの22年に及ぶETF運用の中で初のこと😰ファンド最大のリスクは繰上げ償還であり「この運用会社であればOK」という論法は通用しません。長続きファンドは奇をてらったモノではなく王道の分散を施した商品☺️
— カン・チュンド@インデックス投資アドバイザー🙋♂️ (@4649kang) August 1, 2023
あのバンガード社のETFでも、
思ったほど資金が集まらず = ETFの純資産総額が伸びず、
『繰上げ償還』の憂き目に遭っているのです。
ETFの出来高(売買高)、
純資産総額ともに伸びず、
つまりは、
たくさんの買い注文があり、
『口数』が増加していく。ということがなく、
逆に、口数の『交換』(口数の減少)が進んで
その結果として純資産額が減少し、
運用会社が適切な運用の継続が出来ないと判断すれば、「繰上げ償還」が決定されるわけです。
繰上げ償還に関して
こんな『約款』があるのをご存じですか?
上記はあくまで一例ですが、
口数が一定数を下回ると、
必ず「繰上げ償還」されるわけではなく、
繰上げ償還する、
しないの最終判断は、
『運用会社』に委ねられています。
(これは投資信託のケースと同じですね)
念のため、
MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信の純資産総額は300億円以上あり、現状、繰上げ償還の心配は全然ありませんよ。
ところで
ETFの繰上げ償還が決まると、
ETF=市場に上場する投資信託であるため、結果として「上場も廃止」されることになります。
おおよそ、
以下のような『手順』を踏みながら、
ETFの繰上げ償還の「プロセス」は進んでいきます。
繰上げ償還が確定すると、
いちおう「整理銘柄」に指定されますが、ふつうに売買は出来ます。
「整理銘柄」になったからといって、
ETFの市場価格がいきなりゼロに近づくわけではありません。
取引所における最終取引日まで、通常「1ヶ月」程度はありますから、急にETFの売買が出来なくなるわけでもありません。
とにかく『上場廃止』という言葉のインパクトが強いので、
ETFの価格が暴落してしまう・・
みたいに妄想しがちですが、全然そんなことはありません。
たとえば、です。
万一、
MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信の繰上げ償還が決まっても、
当該ETFが組み入れる2800社近い
世界中の株式は
ETF内に存在し続けます。
つまり、
「現物資産の裏付け」があるため、
ETFの『繰上げ償還』という事象の結果に過ぎません。
ただし、です。
『繰上げ償還』に至れば、
最終的に
ETF内の信託財産は時価に基づいてすべて換金されるため、
ETFの市場価格とETFの正味価値(基準価額)の乖離が大きくなる可能性があります。
そのため、
もしも繰上げ償還が決定したら、
お手持ちのETFは速やかに市場で売却されることをお勧めします。
カテゴリ:インデックス投資全般