運用開始時に4000億円もの資金が集まる投資信託は?(買ってはいけないファンドの典型です)
2023年10月24日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
ズバリ伺いますが、
「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)」という投資信託があります。(愛称:未来の世界(ESG)
当該ファンドは、
純資産額が9000億円を超える巨大ファンドです。
画像元:アセットマネジメントOne
しかも運用開始(2020年7月)直後に、巨額の資金を集めました。
ということですね。
超人気のSUV車なら、
わたしも買いたいと思いますが、
数多のリソースを用いて壮大に当該ファンドを宣伝し、
運用をスタートする際にすでに4000億円強の資金を集めた「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド」のような投資信託は、
買ってはいけない投資信託の典型です。
以下、当該ファンドの、運用開始来の、月次の資金流入・資金流出額のグラフです。
画像元:ウエルスアドバイザー(月次資金流出入額グラフ)
「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド」の運用会社はアセットマネジメントOneで、『みずほフィナンシャルグループ』の一員ですから、
では、
SUV車と投資信託の
いったい『どこが違うのでしょう?』
「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド」は新発売の投資信託であり、まったく運用実績がなく、
にもかかわらず、その時点で巨額の資金が集まっています。
「何それ?それって大丈夫なの?」と、健全な懐疑心のランプが点滅して、当ファンドには見向きもしなかった人もいます。
どちらが正解なのでしょう?
直近3年のみですが、答えは出ています。
上図は、直近3年の、
「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)」と、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の騰落率を比較しています。
(ピンク色のほうがSlim全世界株式です。)
画像元:ヤフーファイナンス
おまけに「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)」の運用管理費用は年1.848%もかかります。
ところで、運用開始直後
この投資信託を買ったのは『どんな人たちなのでしょう?』
仮の話ですが、
もしも何年かのちに株式の市況が悪化して、
当該ファンドの価格が急落したりすると、
持ち切れず投資信託を売却するかもしれません。
あるいは逆に
この先も好況が続いて、当該ファンドを買った人たちの利益が50万円、60万円と膨らんだりすると、
これまた胆力がない「ファンド保有者」は
利益確定のため投資信託を売ってしまうかもしれません。
こういうタイプのファンド保有者はそもそも『移り気』なのです。
率直に言ってあなたは、
わたしはなりたくありません。
そしてこのような投資信託の組成のしかた、広告宣伝、営業活動のしかたを実践している運用会社、販売会社の罪も大きいです。
粗造・粗売の根深い構造があると言わざるを得ません。
意外と知られていないのですが、投資信託の各種データで何より重視すべきは、ウエルスアドバイザーのサイトで確認できる月次の資金流入・資金流出額のグラフです。
この『棒グラフ』がコンスタントにプラス(純資金流入)を続けていれば、
―以下「具体例」として eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)を挙げます。―
画像元:ウエルスアドバイザー
作り手である運用会社も、投資信託の運用がしやすくなりますね。
運用開始時に4000億円ものお金が集まるファンドは何かがおかしいのです。
カテゴリ:投資信託あれこれ