投資信託の価格と、ひとつの会社の株価はまったく別物です
2023年10月18日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
投資信託の値段は「基準価格」です。
でも、
個人的には投資信託の価格のことを、
『ファンド価格』という言い方に統一すべきと考えます。
さて、そのファンドの「価格」ですが、
これは任天堂の『株価』とは本質的に異なります。
えっ!?
「任天堂」はたとえるなら、ひとり舞台に立つ演者です。
いわゆる『個人競技』なのです。
任天堂という演者は毎日、
縦横無尽に動き回ります。
この人(任天堂)に、
どれだけ人気があるかで、つまりは需給によって
価格(株価)は上がったり下がったりします。
それに対して投資信託(ファンド)は?
たくさんの演者を束ねる『演劇集団』です。
いわゆる『団体競技』なのです。
ここでは株式ファンドに絞ってお話をしましょう。
ファンドという団体競技に参加する
各々の企業の『株価』の集積が、
「ファンドの価格」につながります。
しかも、ファンドの価格って
ひとりひとりの演者の、
日中の『株価』はいちいち追わないのです。
その日の終わりの株価(ラストポーズ)のみを集計します。
より具体的には、
もしあなたが『日経225のインデックスファンド』を持っていれば、日本の代表的225社の『終わりの株価』と、保有する『株数』をそれぞれ掛け合わせ、
各々の株式から出る配当金や、
現金やCP(コマーシャルペーパー)を足し合わせ、負債があればそれを差し引いて、
そして(まだあります!)
そこから、その日1日分の
運用管理費用などを差し引いて、
やっと(たとえば)10月19日時点の
ファンドの『純資産の総額』が出せるわけです。
これが
その日の投資信託の規模(大きさ)。
そして、それ(純資産総額)を
発行するすべての口数(総口数)で割って、
10,000を掛ければ、
その日の『ファンド価格』となります。
一点注意が必要なのは、
任天堂の株の場合は、
買う人が増えると価格(株価)が上がっていきますが、
ファンド価格が必ずしも上がるわけではない、ということ。
(逆に下がることさえあります。)
もうひとつ。
その投資信託を売る人が増えたからといって、
ファンドの価格が必ずしも下がるわけではありません。
ここ、伝わっていますか?
その理由は、
個々の企業の株価の『集積』であるためです。
たとえファンドを売る人が増えても、
ファンド(日経225ファンド)内に組み入れた
225社の株価が総体として上がっていれば、ファンド価格は上がります。
逆にファンドを買う人が増えたとしても、
ファンド(日経225ファンド)内に組み入れた
225社の株価が総体として下がっていれば、ファンド価格は下がります。
なぜなら、
ファンド資産の「中核」を占めるのは、
ファンドが組み入れる個々の企業の『株価』と、保有する『株数』を掛け合わせたものだからです。
〇 参照記事
『個別株 → 投資信託 → インデックスファンドと、投資の間口が広がってきたこの50年』
カテゴリ:投資信託あれこれ