投資信託のけいぞくコストは 信託報酬 < 総経費率 < 1万口当たりの費用明細 になる?
2023年10月14日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
投資信託にかかる「けいぞくコスト」って
本当に分かりにくいです。
2024年4月から、
いちおう投資信託の継続コストは
新しい統一基準で開示されることが決定しています。
その統一基準というのが
『総経費率』なのです。
ざっくり言えば、
その他費用を加えたもの。
画像元:日経新聞「投資信託、総経費率を見極め 海外資産型で年5%超も」
実は『総経費率』は
一部ファンドにおいて、
すでに「運用報告書」などで開示されています。
以下「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」の『総経費率』です。
画像元:eMAXIS Slim 先進国株式インデックス『運用報告書(全体版)』より
上記「総経費率」0.12%は、
eMAXIS Slim先進国株式の
運用管理費用(信託報酬)「0.09889%」よりも『高め』になっています。
運用管理費用(信託報酬)プラス『その他の費用』= 総経費率 であるためです。
では、この『総経費率』で
コスト比較をすれば、
すべてのファンドにおいて、
すべての費用が明らかになり、
分かりやすい比較になるのか?
といえば、
それが
そうはならないのです。
『総経費率』には、
売買委託手数料や有価証券取引税等は含まれないためです。
画像元:eMAXIS Slim 先進国株式インデックス『運用報告書(全体版)』より
結局、より広範なコスト概念である
ファンドの『費用の合計』、
―投資信託の運用報告書で確認できる
『1万口当たりの費用明細』―を見ないと、
投資信託の手数料全景は見えてきません。
以下が、eMAXIS Slim 先進国株式インデックスの費用の合計(トータルコスト)です。
当ファンドでは、総経費率0.12%に対して、費用の合計は0.14%となっています。
画像元:eMAXIS Slim 先進国株式インデックス『運用報告書(全体版)』より
「eMAXIS Slim先進国株式」では、1万口当たりの費用明細(0.14%)のほうが、総経費率(0.12%)より数字が「大きく」なっています。
『その他の費用』プラス
『売買委託手数料・有価証券取引税等』であるためです。
結局、
投資信託のけいぞくコストは、
という構図なのです。
実は、
米国のファンドやETFでいうところの
『経費率』(Expense Ratio)にも、
売買委託手数料(Trading Costs)は含まれていません。
そういう意味では、
来年4月以降、ファンドの目論見書などで『総経費率』が確認できるようになって、この『総経費率』で、各々のファンドコストの比較が出来るようになるのは「前進」といえるでしょう。
ただ、わたしは、
最後に、
これはインデックスファンドのケースですが、
指数の使用料(ライセンスフィー)を入れるか否かの議論があります。
わたしは以下、日経新聞の「図表」と同様、
指数の使用料は、
『その他費用』のところに入れるべきと考えます。
画像元:日経新聞「投資信託、総経費率を見極め 海外資産型で年5%超も」
なぜなら、
運用管理費用とは、信託報酬のことであり、
ファンドに関わる会社が受け取る『報酬』である。
という元々の意味合いがあるためです。
指数使用料(ライセンスフィー)は
私たちファンド保有者が、
投資信託の関係会社に支払う費用ではなく、
指数算出会社(MSCIやFTSEなど)に支払うコストですから、『その他費用』がふさわしいと思います。
カテゴリ:投資信託あれこれ