金融機関にモノ申す

痒いところに手が届く、横断的な金融サービスって何だろう?

2023年10月13日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

灯台下暗し・・。

お金や、
それにまつわるサービスのことを考えていると、

どうしても大元の、
『最も大事なこと』を忘れがちになってしまいます。

 

iPhoneもユニクロの服も、
ベトナム旅行も、

あなたの暮らしを豊かにするためのツールです。

 

金融サービスもまったく同じでしょう。

 

 

 

 

 

「日本の金融サービスってなにか欠けている・・」
ずっとそう思ってきたのですが、

 

よくよく考えてみると、
それは

痒いところに手が届く
『横断的なサービス』ではないでしょうか。

 

 

 

むかし日経新聞で
「日本生命と野村證券が合併へ」という誤報があったと記憶しています。

 

でも、
これって意外に、

(別に日本生命と野村證券という組み合わせ
という意味ではなく、)

 

「万一に備える」「お金を増やす」という組み合わせって、

これまで疎かにされてきた
サービス提供の『発想』だと思うのです。

 

 

 

 

 

フツーに暮らしている
フツーの人にとって、
お金は「限られた資源」です。

 

限られてはいるけれど、

 

一人ひとりの生活の中で、
「お金を貯める」
「お金を増やす」
「万一に備える(保険)」を、
なるだけバランスよく行う必要があります。

 

※注 ここでいう保険は純粋に保障・補償の機能のみを指します。

 

 

つまり、
生活者の意識として、

最初から
お金を「貯める」
   「増やす」
   「万一に備える(保険)」が、

それぞれ別枠で
分かれて居るわけではないのです。

 

ご本人にとっては「ひとつのお金」ですから。

 

 

 

 

 

まして「お金を増やす(投資信託)」と
「万一に備える(保険)」が、

水と油のように対立項になっているわけでもありません。

 

「異なったお金のニーズの棲み分けを、一体どうすればいいの?」が、消費者にとっての悩みなのです。

 

 

端的にいって、金融サービスはテクノロジーを十分生かし切れていません。

 

 

たとえば
「マネーフォワード」などの家計アプリを利用していて、

日々のマネー基礎情報に加え、
あなたの年齢や家族構成を付与し、またあなたのリスク選好度を詳細に診断してもらい、


そこから導かれるライフイベント、
キャッシュフロー表などから、

 

 

 

 

○○さんの場合、毎月平均5万円のお金が残りますから、

 

毎月ベースの、

「お金を貯める」
「お金を増やす」
「万一に備える(保険)」の最適比率は、

 

「預金 50%」
「投信 40%」
「保険 10%」となります。

 

みたいな推奨が提示されれば、
(それって)とても有り難いことだと思いませんか?

 

 

ほんらい、
テクノロジー(この場合、主にアルゴリズム)はこのような形で利用されるべきなのです。

 

上記のような提案を行うAIが同時に、

低廉なコストの、
シンプルな、

「貯める」
「増やす」
「備える」に適合する、

各金融商品を販売してくれてもよいわけです。

 

これこそ個別・最適化を実現するワンストップソルーションです。

 

 

 

 

つまり、

 

〇 金融サービスが横断的になっていない。
かつ
〇 金融商品が「個別・最適化」されていない。

 

これが日本の金融サービス業の問題点です。

 

縦割り的に、

預金を!
投資信託を!
保険商品を!と、

銀行、
証券会社、
保険会社が叫ぶなんて、いかにも古臭い。

 

 

 

古臭いといえば、
住宅業界も相当「化石」っぽいです。

 

 

 

 

「住まい」とは
ふつうの生活者にとって、

賃貸にしろ
持ち家にしろ、
けっこうなお金を払い続けることになる、暮らしの根幹部分を占める『項目』でしょう。

 

しかしながらここでも強力に、

家買って!
家借りて!

だけの
縦割りサービスが跋扈します。

 

そもそも
「持ち家」の人は、
不動産という資産を保有する人。という意識づけが希薄です。

 

先ほどの、

「お金を貯める」
「お金を増やす」
「万一に備える」というお金の振り分けでいえば、

 

 

家を所有するとは、
「お金を増やす」(資産を増やす)項目に当てはまります。

 

えっ!?

 

 

 

 

資産運用アドバイザーの立場から言えば、

「持ち家」とは、
株式や債券や投資信託や金(ゴールド)と同じ、資産 です。

 

ということは、
そもそも資産(持ち家)を持つ際に、

 

その個別性・地域性を理解して、
資産価値が減じにくい、
もしくは上昇し得る資産(持ち家)を賢く選ぶという発想を、専門家やサービス会社(投資助言会社)が指南するべきでは?

 

 

しかし、現実は?

 

住宅メーカーさんは建てて終わり。
不動産の仲介会社さんは、
住宅の売り買いを斡旋して終わり。

 

 

 

 

例えば、

あなたは投資信託を比較・検討する際に、
ファンドのリスク・リターンの特性を知ろうとするはずです。

 

「持ち家」を買う = 資産を買うなら、
その不動産のリスク・リターンの特性を、

地域性(ロケーションの特性)や、
建物の構造・躯体の品質、安全性にまで踏み込んで精査してくれる『サービス』があってもよいのでは?

 

 

 

 

また、不動産の価値を減じさせないような、
定期、継続的な資産メンテナンス方法(主に戸建て)の指南を行う会社があってしかるべきでしょう。

 

 

あるいは、
次の『住み替え』までを考慮に入れ、

 

もっとも資産価値が減じにくい
『購入価格』 → → 『売却価格』という、
出口までをしっかり見据えた「買い替え戦略」を指南してくれるサービス?

 

そのような
「持ち家アセット」マネジメント的なサービスをわたしはほとんど聞いたことがありません。

 

これも金融サービス業の怠慢・・

 

 

 

 

 

家を持つということも、
「お金を貯める」
「お金を増やす」
「万一に備える」のうちの、
「お金を増やす」(資産を増やす)に当てはまるわけです。

 

 

「投資信託で2000万円保有してるよ!」といっても、都内の持ち家のほうが評価額は大きいはずです。
(「持ち家」は高価なリスク資産なのです)

 

同じ『リスク資産』なら、個別株式や投資信託について詳細なアドバイスを受けるのと同様のニーズが、持ち家(不動産)についても存在するはずでしょう。

 

 

 

 

未来の消費者が享受しているであろう、
横断的かつ個別最適的な『金融サービス』に比べると、

今の金融サービス業は、

クルマさえない、
徒歩の世界で行っている「のんびりアナログ業」のような気がしてなりません。

 

がんばれ、お金のサービス業!

 

 

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