再現性のある投資って何だろう?(インデックス VS. アクティブ再考)
2023年9月29日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
作家の橘玲さんが次のように言われています。
確かにそうです。
この世界を、
この色合いで、独自に認知しているのは他ならぬ「あなた自身」です。
投資の情報を見ても、―特に『書籍』で顕著なのですが―
いわく、
「わたしは○○のときに、
△△に気づき、
そして□□という方法でなんと3億円の資産を築いた!」など。
この場合の『投資対象』は実にさまざまです。
個別株の人もいれば、
不動産投資の人、
投資手法としてシステムトレードを駆使した人、
通貨(FX)の取引で、
弱くなる通貨を才覚をもって売り建てた人。
そして果敢にレバレッジを効かせて資産を膨らませた人。
また、「2014年、まだ○○万円の時に仮想通貨を購入し、今では500倍に!」とかも聞きますね。
投資の『成功談』では、
もちろん脳に汗をかいて(実際に行動して)
資産を増やされたわけですから、それはスゴイことです。
たとえば、です。
数年前に書かれた投資の『体験的コンテンツ』を読んで、
―ということは、著者の「実践」そのものは5年も10年も前のこと。―
私たちが「今」その人の真似をして、果たして同じように成功できるのでしょうか?
(もしかすると)再現性はあまりないのかもしれません。
私たちは人間ですから、他の人間がどう考え、どう行動することで「華々しい成果」を上げるに至ったのか、その軌跡そのものに魅力を感じます。
人は『物語』を求める生き物なのです。
投資の分野でいえば、この物語性をうまく活用しているのが「アクティブ運用」です。
考えてみますと、自分(作者)を主人公にした『体験的コンテンツ』のほとんどがアクティブ運用によります。
人間の銘柄発掘能力や、人の投資手法・創造能力には限りがなく、その伸びしろの大きさに、私たちは浪漫(ロマン)を感じます。
翻って
「インデックス運用」とは?
なんだか味気ないですね。。
ざっくり世界ベースで見れば、ですが、
株式、債券、不動産とも、過去『市場の平均点』は緩やかに上昇を続けてきました。
しかしそれは、
ロマンに満ちた様々な物語の、『総合結果』なのです。
市場の成長力はつまらないものです。
でも、人の目利き力(能力)も変遷します。
本人や団体そのものの能力の変遷だけでなく、外部環境の変化によって引き起こされる変遷もあり得ます。
そもそも、なのですが、
どうして1970年代の半ばにもなって「インデックス運用」という別種の投資スタイルが誕生したのでしょうか?
工学的な製品(インデックスファンド)を作ることで、運用全般における『人のリスク』を軽減する(もしくは排除する)ことを目指したからではないでしょうか。
仮にナツコさんとハヤトさんが、
同じ「市場の平均点」を
「同じ時期」に買い始めたとしましょう。
ヨシエさんもコウイチくんも、
他の皆も同じような投資をすれば、みな「同じ結果リターン」になります。
誰かを出す抜く投資ではないため、
潜在リターンの奪い合いも起こりません・・。
インデックス運用には、
才能や、特別な判断や、独自の感性は要らないのです。
これを「再現性のある投資」と云います。
カテゴリ:インデックス投資全般