つみたて投資

こんなに『円安』が進むと積立投資が続けにくい?

2023年9月12日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

最近は株価のアップダウンより、為替動向を気にするお客様が多いように感じます。

 

『円安』が進むと、積立投資が不利になったりするのでは?

 

まあ、たしかに、有利ではないでしょう。

 

 

 

 

 

あなたが
「全世界株式インデックスファンド」に積み立てをしていて、
アメリカドル建ての株式がおよそ『6割』を占めていて、

 

今、1ドル146円台ですから、
1ドル100円の頃に比べると、

(「株価」が変わっていないとすれば)

同じ1万円の積立投資でも、
買える『株数』は明らかに減ってしまいます。

(円という通貨の購買力が減じているわけです)

 

 

ほんとうはどんな状態が理想ですか?

 

ほんとうは『円高』で、かつ
株価が『安い』ときに積み立てが出来れば、


(同じ1万円の積立投資でも)
効果的にもっとたくさんの「株数」が買えます。

 

が、世の中
自分の都合の良いようにコトは運びません。

 

ところで、
「為替リスク」って何でしょう?

 

 

 

 

それは国際分散投資を行うあなたが、
資産の価格変動リスクと同様、
普遍的に負い続けなければならない「不確定要素(リスク)」のことです。

 

ノルウェー人も、シンガポール人も、
タイ人も、チリ人も、

みんな(あなたと同じように)
『為替リスク』を負って長期投資を実践しています。

 

 

そして、不確定要素(リスク)の本筋は、リスク資産の価格変動リスクであり、為替のリスクは「おまけ」に過ぎません。

 

 

 

 

 

また、
全世界株式インデックスファンドを積み立てるあなたは、

『ユーロ建て株式』や
『オーストラリアドル建て株式』も買っています。

 

為替とは
多通貨間の『人気・不人気コンテスト』ですから、

たとえばこの1年は
「円」が(先進国通貨では)もっとも不人気だったとしても、

「あれ?ユーロのほうがさらにやばくね?」

 

というふうに(もしも)
多くの投機家が認識し始めると、

円安よりもユーロ安のほうが
為替取引のメイントピックになり得るわけです。あくまで一例です。

 

 

「円」は「ドル」に対しては引き続き「円安」基調として、
もしも「ユーロ」に対しては逆に高くなって
『円高・ユーロ安』の状態が仮に続くようなことがあれば、

 

欧州株式については
(株価が同じであれば)
同じ1万円の積立投資でもより多くの「株数」が買えることになります。

 

 

 

 

 

物事を見る目には3つあります。

虫の眼、魚の眼、鳥の眼。

 

〇 虫の眼とは?
「今、何が起こっているのか」の分析。

〇 魚の眼とは?
「これから中期的に、潮流がどうなるのか?」の分析。

〇 そして鳥の眼は?
「長い目で見て全体がどう変化していくのか?」の分析。

 

 

個人投資家にとって、いつも重要なのは「鳥の目」です。

 

なにしろゴールは40~60年後だったりするわけですから。
(※ゴールとはあなたの死のこと)

 

以下、
macrotrendsのドル円レートの「長期チャート」(1971年以降)を見ると、

 

 

 

 

1980年代後半から
「ドル円レート」は基本的にボックス圏内で、

時に円高になったり
時に円安になったりを繰り返していることが分かります。

 

為替相場は
株式市場のように、
「右肩上がり」がずっと続いたり、
「右肩下がり」がずっと続いたりは基本ないわけです。←ココ、重要。

 

 

たしかに
『円安時』にコツコツ積み立てを続けることはちょっと居心地が悪いですが、

 

鳥の眼で見た場合に、10年後、1ドル200円台が常態化している可能性もゼロではないわけです。仮にそうだとすれば、今の円ドルレートは立派に「円高」と云えます。

 

 

また、今の為替レート(特にドル円)はたまたま、日米の『期待金利差』という要因に素直に反応しています。

 

 

が、より大きな変動要因が発生すれば、教科書通りの反応を飛び越えて、予想外の『円安』や、予想外の『円高』が起こる可能性もあるわけです。

 

この突発的な為替の変動マグマは、時に株式のそれよりも大きくなります。

 

 

 

 

 

極端な『円安』に振れるということは、
極端な『円高』に振れるエネルギーも内包していると意識しながら、

 

淡々と積み立てを続けるべきなのです。

 

 

なお、為替と株価をマトリックスにすると
以下『4つのパターン』に分類されます。

 

円高 円安
株価 ↓ 最悪 そこそこ
株価 ↑ そこそこ 最高

 

 

4つのパターンの中で
「最悪」「最高」と記しているのは、

あくまで
運用資産額が2000万円、3000万円と、すでに大きく積み上がっている人にとって、です。

 

まだ積み立てを始めて数年の人(ビギナー)は、
これから積んでいく資金があなたの老後を支えるわけですから、

ほんとうは『円高』・『株安↓』のほうが好ましいわけです。

(つまり「最悪」「最高」が真逆になります。)

 

 

円高 円安
株価 ↓ 最高 そこそこ
株価 ↑ そこそこ 最悪

 

 

結局のところ、
あなたの「積立投資のステージ」によって、

 

円高を好ましく感じたり、
円安を好ましく感じたりと、
あなたの心持ちも『変遷』するわけですから、

 

 

極端な『円安』に振れることは、
極端な『円高』に振れるエネルギーも内包していると意識しながら、

淡々と積み立てを続けるべきなのです。

 

 

 

 

最後に、
日銀の植田総裁へのインタビュー記事が掲載されています(読売新聞)

 

 

魚の眼、転換、かもしれません。

 

 

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