金融機関にモノ申す

新NISAが促す投信運用会社の再編

2023年9月6日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

インド株の話です。

SBIアセットマネジメントが9月22日に
『SBI・iシェアーズ・インド株式インデックス・ファンド』を設定しますが、

当該ファンドは
インド株式としては最安値の
年0.4638%程度という「運用管理費用」を設定したことで話題を集めました。

 

ところが、
これが寝た子を起こす事態に・・。

 

 

 

 

本年3月から運用を開始していた
大和アセットマネジメントの
「iFreeNEXT インド株インデックス」が(SBIアセットに対抗して?)運用管理費用を引き下げると発表しています。

 

 

 

 

この『構図』は?

 

大和アセットマネジメント VS. SBIアセットマネジメント です。

 

 

 

次に、PayPayアセットマネジメントが、
「PayPay 投信 NASDAQ100 インデックス」の運用管理費用を
9月26日から引き下げると発表しています。

 

 

 

この値下げは、
本年3月に設定された
「<購入・換金手数料なし>ニッセイNASDAQ100インデックスファンド」を意識したものでしょう。

 

 

この『構図』は?

 

ニッセイアセットマネジメント VS. PayPayアセットマネジメント です。

 

 

 

 

 

ここ最近、
インデックスファンド界隈では、
三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim シリーズ」を意識しながら、

 

他の運用会社が
自社のインデックスファンドのコストを引き下げたり、

業界最安値の運用管理費用を引っさげて、
新たなファンドを設定したりという動きがありました。

 

(そして、それらの行動を受けて、)
また三菱UFJ国際投信が対抗値下げを実施するという『競争』が行われてきました。

 

 

しかし、
事ここに至って、

 

インデックスファンドの『対抗値下げ』は
投信運用会社全体、
すなわち業界全体のムーブメントになりつつあります。

 

 

 

どうして・みんな・そんなに頑張るの?

 

 

 

新NISAが始まるからです。

 

 

 

 

 

私たち投資家が
来年から新NISAという口座を最優先して利用し、

その中でファンドを選択し・・
という『投資行動』に出るなら、

 

新NISAという器の中で
「選ばれるファンド」にならなければ、
それは半ばファンドの死を意味する・・。

 

 

それほどの悲壮感が漂うくらい、
苛烈な競争が起こっているのです。

 

(新NISAの、一人当たりの投資枠1800万円はそれほど大きいのです。)

 

 

来年から始める新NISAを通じて、

コストがより安い投資信託に、
あるいは知名度があるアクティブファンドに
より資金が集中することで、

体力がない投信運用会社は、
遅かれ早かれ降参の「旗」を挙げざるを得なくなるのでは?

 

 

新NISAはあくまで
「起爆剤」に過ぎません。
前々からファンド運用会社の再編機運はあったのです。

 

どのみち、
もう、ぬるま湯的な投信運用業界に戻ることは出来ないのです。

 

 

 

 

 

早晩、コスト競争力に乏しい
あるいは資本力に乏しい中堅の運用会社は自主独立を断念し、
他の運用会社に吸収されることになるでしょう。

 

その『流れ』はすでに起きつつあります。

 

 

冒頭に登場したSBIアセットマネジメントは、
業界再編を一気に進めようと
虎視眈々と機会を伺っている運用会社の一つです。

 

 

 

 

 

例えば、
『ひふみ投信』の運用で著名な
レオス・キャピタルワークスでは、

本年6月より「取締役」として
SBIアセットマネジメントの
代表取締役会長 朝倉智也さんが名を連ねています。

 

また、来年(24年)4月1日から
レオス・キャピタルワークスは社名を
『SBIレオスひふみ株式会社』に変更します。

 

 

あるいは中堅運用会社の
岡三アセットマネジメントも
昨年(22年)11月、SBIグループの傘下に入りました。

 

SBIアセットマネジメントの
代表取締役会長朝倉智也さんは現在、

『SBI岡三アセットマネジメント』
非業務執行取締役も務めています。

 

今後、朝倉さんのお名前が他の運用会社でも(取締役として)記される可能性があるのでは?

 

 

これから数年間は、

一時期の、
銀行の再編による「名称変更」の連続ではありませんが、

ファンド運用会社の『名前』が
次々と変わるということが起こるかもしれません。

 

それほど新NISA制度の影響力は大きいのです。

 

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