S&P500の銘柄組み入れは(意外と?)厳格に管理されています
2023年9月4日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
私たちはよく、
市場平均と連動するファンドを買う。という言い方をします。
ここでいう「市場平均」とは、
闇雲に全銘柄を買って成り立つものではありません。
インデックスファンドを「家」に例えると、
必ず『設計図』が必要になります。
その設計図が
「株価指数」と呼ばれるモノです。
私たちは、
指数の算出会社が算出する指数を通じて、
いわば最大公約数化された『市場平均』を日々体感しているわけです。
ところで
世界的にもたいへん有名な株価指数が『S&P500』です。
ニューヨーク証券取引所、
ナスダック市場等に上場する銘柄から代表的な500銘柄を抽出し、
500の株式会社の
(これを『時価総額加重平均』と云います)
この指数を算出する会社が?
実際にS&P500という指数の中身を選定し、管理しているのは、実は『U.S. Index Committee.』
米国インデックス委員会と呼ばれるコミッティです。
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが発行する
『S&P 500® The Gauge of the Market Economy』(PDF)より引用してみましょう。
※注 日本語訳はDeepLによる。
S&P500は「米国インデックス委員会」によって維持されています。
委員会のメンバーは全員、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスのスタッフのうち、常勤の専門家です。委員会は毎月開催されます。
もちろん、S&P500では単純に
時価総額(会社の規模)が大きな順番で
『上位500社』を並べているわけではありません。
複数の「物差し」(スクリーニング条件)を保持し、
複眼的に指数に採用する企業を抽出しています。
具体的には・・、
・株式の流動性(売買量)
・企業の収益などが
具体的な「物差し」であり、
セクター(業種)のバランスを加味したうえで、指数への採用が決定されます。
けっこう厳格なのですね。
特に、
セクター(業種)のバランスを加味したうえで
という部分こそ、
S&P500の特性を浮き彫りにしていると云えます。
近年はS&P500の中の、
アップルやグーグルやアマゾンなど、
『テック企業』が注目を浴びますが
(実際、S&P500の組入れ上位に並んでいますが、)
エネルギーや医薬、金融、小売なども
『まんべんなく』組み入れられるのがS&P500の特徴なのです。
画像元:CITY INDEX(上記比率は2022年5月時点。Real estateの部分はすべてREITです)
市場(マーケット)の温度を伝える「計器」です。
そしてS&P500指数では、
年4回、必ず入れ替えを実施するとは限りませんが、
下記のように今月(9月)は銘柄入れ替えを実際に行うわけです。
9月18日S&P500の構成銘柄入れ替えが行われます。リンカーン・ナショナルとニューウェル・ブランズが除外され、投資会社のブラックストーンと民泊仲介のエアビーアンドビーが新たに指数に採用されます。
— カン・チュンド@インデックス投資アドバイザー🙋♂️ (@4649kang) September 2, 2023
S&P500種にブラックストーンとエアビー採用https://t.co/rAX0ejPpeT @businessより
Airbnb(エアビーアンドビー)は
私自身10年近くヘビーユーザーであるため、
メジャーな企業として認められたのだと勝手に嬉しく思っています。
新たに『指数』に採用される企業、常に新陳代謝(アップデート)があってこその「株価指数」なのです。
また、S&P500との比較対象として
「ナスダック100指数」が挙げられますが、
両者はまったく性質が異なる指数です。
「ナスダック100指数」は
その構成銘柄に
(そもそも)ニューヨーク証券取引所に上場する企業が含まれません。
そしてセクター(業種別)では
テクノロジー系の企業にウエイトが偏り、
かつ、金融(Financials)の組入れは「ゼロ」です。
画像元:Invesco QQQ
また、上位組入れ5銘柄で
指数全体のおよそ43.5%を占めています。
画像元:Invesco QQQ
横断的な銘柄組み入れを目指すS&P500とは対照的ですね。
わたしは「ナスダック100」は
大きめのセクター指数であると認識しています。
カテゴリ:指数のお話