投資の発想法

カレー屋さんへの出資、全世界株式への出資

2023年9月2日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

わたしが好きな本のひとつに、

中桐啓貴さんの
【隠れたお金持ちが、みんなやってる投資の法則】があります。

 

この本の中に『カレー屋さんの話』が出てきます。

 

〇 あなたの後輩がカレー屋さんを始めました。
あなたは会社のお金の半分、500万円を出資します。

 

 

カレー屋さんは数多の人に独特で美味しいカレーを提供し、会社のお金は少しずつ増えていきました。

 

事業が順調に発展し、
たとえば、会社のお金が1億円になったとしましょう。

 

あなたには
半分の5,000万円の利益を手にする「権利」があります。

 

(なぜなら、あなたは最初に
会社のお金の半分、500万円を出資した本人【株主】ですから。)

 

 

 

 

 

もちろん、
事業が発展するのは容易なことではありません。

どんな会社にも好不調の「波」があり、
競争相手もおり、

お客様に認められてようやく、
会社のお金が少しずつ積み上がっていくわけです。

 

(そして)紆余曲折のすえ、
あなたは5000万円の利益を手にしたわけです。

 

これって、
あなたが(カレー屋さんの事業を通じて)
社会に貢献した『プラスアルファの数字』(付加価値の数字)です。

 

 

(実は)あなたが後輩のカレー屋さんに出資することも、
全世界株式インデックスファンドを保有することも、
根底の原理は【同じ】です。

 

1.あなたがお金を通じて世の中とつながり、
事業の成長のためにリスクマネーを供すること。
(そして何がしかの付加価値創造を目指すこと。)

 

 

その姿勢は3か月、半年などではなく、

 

2.長期の時間スパンに則っていること。

 

1と2の精神を併せ持つことが即ち「投資」です。

 

 

 

 

 

〇 カレー屋さんに出資する人
〇 世界の株式に出資する人

この二人はずいぶん気色が違うように思えます。

 

カレー屋さんに出資する人は、

 

「なに? 全世界株式インデックスファンドだって。それホントに投資なの?」

 

と思われるかもしれません。

 

 

いっぽう、
全世界株式インデックスファンドに投資する人は、

 

「えー、ひとつのカレー屋さんにそんなに投資しちゃうの?」

 

と驚かれるかもしれません。

 

 

両者の何が違うかというと、
【リスク・リターンの特性】だけです。

 

 

注意するべき点は、
『全世界株式』にまんべんなく投資したとしても、

1年の収益がマイナス30%、マイナス40%になってしまうようなリスクを内包している、ということ。

 

 

 

 

そして『ひとつのカレー屋』に投資をすることは、
最悪の場合、
出資したお金が「ゼロ」になることを覚悟しなければなりません。

 

双方とも、
あなたのお金が大きく毀損する可能性があるのに、どうしてヒトはお金を託そうとするのでしょうか?

 

おそらく知的好奇心が湧いて、ちょっとワクワクするような面白味を発見する部分があるからなのでしょう。(もちろんお金が増える可能性も有しています。)

 

 

それよりも何よりも、株式会社に出資してたとえ【株主】になっても、
最悪のケースは出資したお金がゼロになるだけ =『有限責任制』が確立されていることが大きいとわたしは思います。

 

 

 

板谷敏彦さんの書籍
『金融の世界史―バブルと戦争と株式市場―(新潮選書)』の中で、
次のような記述があります。

 

 

実は一九世紀以前の株主は基本的に無限責任だったのです。

 

つまり債権者から請求があれば出資金以上に(株が無価値になった上に)、債権者に返済しなければなりませんでした。

 

これだと、余程の資力がないと【株主】になろうなんて思えないですよね。

 

 

 


続けて著者の板谷敏彦さんは
オランダの東インド会社について言及します。

 

もともと一七世紀初頭の世界で、
金融の最先端にあったオランダ東インド会社だけは株主有限責任制だったのですが、

徐々にこれが広まり、一九世紀のアメリカで
制度として株主の有限責任制が確立されました。


このおかげで取引所では
相手の素性を気にせずに売り買いの注文だけを見て、
株式の売買ができるようになったのです。

これがなければ現在のような資本主義経済の発展はなかったでしょう。

 

 

まさにそうです。

 

 

 

 

明日、ファンドの価格が上がるかどうかすら分かりません。
来週、カレー屋さんの来客が増えるかどうかも分かりません。

 

この「分からない」に、100年、200年かけて馴染んできたのが、私たちの先人なのです。

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