『成長投資枠』への誘惑が発生? でもその前に、シンNISAの成り立ちをしっかり理解しておこう!
2023年7月25日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
変額保険の最大のウリは、
(これで)投資も、万一の保障も賄えます!
というもの。
おそらく10月くらいになると、
あらゆるメディアで『シンNISA』(正式名称:NISA)の露出が増え、
「つみたて投資枠」という ふたつの枠 がありますよ!
という紹介のされ方をすることでしょう。
そうすると、
と、誰しも思うようになります。
例えば、
「つみたて投資枠」・・インデクスファンド で。
みたいに。
なんせ『非課税』なんだから、
二兎を追ったほうがよくね?
ちょっとココで深呼吸しておきましょう。
シンNISAは、
さまざまな視点から定義することが可能です。
わたしなら、次のように規定します。
シンNISA制度は、
「つみたてNISA」を拡張した制度である。
ただし、
「一般NISA」の保有者があまりにも多いため、既存の勢力(主に証券会社の団体である日本証券業協会)に忖度(そんたく)して、
一般NISA保有者を救済するために
「成長投資枠」という枠を追加で設けた制度である、と。
異論を承知で申し上げれば、
シンNISAという制度では
「成長投資枠」は・・
付録(ふろく)に過ぎないのです。
それが証拠に、
シンNISAでは
「つみたて投資枠」のみで1800万円の投資枠が確保されています。
えっ、でもカンさん。
「成長投資枠」のほうが240万円で
「つみたて投資枠」の120万円より多いじゃない?
はい、鋭いご質問です。
まさに年間240万円の枠を確保したことが、
既存の勢力(日本証券業協会など)への忖度なのです。
つみたてNISA保有者に比べて、
一般NISA保有者のほうが「平均年齢」が高いです。
『一般NISA』に満額投資をしてきた人は、
(途中で大きく売っていたりしなければ、)
資産額が800万、1000万円と膨らんでいる人もいるはずです。
このような人たちに
なるべく『タイムラグ』を発生させずに、
「一般NISA」⇒「シンNISA」(成長投資枠)という『乗り換え』を行ってもらおうという忖度の表れが、
そして、
1200万円という「成長投資枠」の上限投資金額にもそんな忖度が滲み出ています。
(ちょっと現実的な話をしてもいいですか?)
わたしは今でも、
金融庁の本筋としては、
「一般NISAを廃止して、つみたてNISAを存続させる。」という意思であったと思っています。
しかし、現実問題として
『一般NISA』を廃止してしまうと、
かなりの金額の株式、ETF、投資信託などが(非課税の期間内に)売却され、
株式市場にネガティブな影響が出ることを、
つまり、
シンNISAには、
一般NISAの「受け皿」が、必要だったわけです。
事実、
シンNISAには「成長投資枠」でしか買えないモノ。
「つみたて投資枠」でしか買えないモノ。がありますが、
それはなにも、
あなたの【選択肢】を広めようと考慮して用意してくれたインフラではなく、オトナの事情により諸勢力に忖度をした結果なのです。
したがって、シンNISAの『利用法』は極めてシンプルです。
シンプルに「つみたて投資枠」を用いて
インデックスファンドを積み立てましょう。
(投資枠は1800万円あります。)
既存ファンドの乗り換え資金を合わせると、
「つみたて投資枠」と
「成長投資枠」を用いて、インデックスファンドを積み立てましょう。
(同じく投資枠は1800万円あります。)
上記の意味は、
成長投資枠の、
成長投資枠でしか買えない部分を利用するのではなく、
つみたて投資枠でも買える部分を利用する、ということです。
成長投資枠は『二重構造』になっている点を、くれぐれもお忘れなく。
【成長投資枠】 | |
2階 | 成長投資枠でしか買えないモノ |
1階 | つみたて投資枠でも買えるモノ |
2階部分を使ってしまうと、使った分だけ『つみたて投資枠』で入金できる金額ベースが減ってしまいます。
カテゴリ:NISA活用法