特定口座からの乗り換えのみで『シンNISA』を埋めていくってどうなの?
2023年7月19日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
昨日の続きです。
特定口座で約2000万円の投資信託を持つ山本さん(仮名)。
山本さんが
新たに積立投資する資金と合わせて、
月30万円(年360万円)を
5年にわたってシンNISA口座で埋めていく・・。
その内訳は、
月24万円(計1440万円)・・乗り換え資金
というお話でした。
昨日の記事を読んで、
次のように感じた人がいるかもしれません。
「カンさん。
現に特定口座に
「2000万円」のファンド資産があるなら、
シンNISAに
最速で投資資金を入れるために、
特定口座からの『乗り換え』のみで、
(年360万円×5年 で)
シンNISAの投資枠を埋めたほうがイイんじゃないの?」
ハイ、それは「なるほど」のご意見です。
これを
【やり方・その2】と名付けてみましょう。
この『やり方・その2』に則ると、
山本さん(仮名)は毎年360万円
5年間に渡って、
せっせと
〇 特定口座内のファンドを売却して、
〇 シンNISA内でファンドを買っていくことになります。
その内訳は、
となります。
ん?
純粋な「つみたて投資」の 6万円/月 は、
『特定口座』です。
ということは?
(ちょっとヘンな日本語に聞こえるかもしれませんが、)
『やり方・その2』に則ると、
来年以降、毎年360万円分、
「特定口座」のファンドを売りながら、
そのいっぽうで、
月 6万円「特定口座」で積立投資を続けることになります。
「売りながら、積み立てする。」
これが『やり方・その2』なのです。
たしかに、この方法を用いるメリットもあります。
それは、
特定口座内のファンドを売って、
例えば2024年の初頭に
ほぼ「360万円分・一括投資」的な乗り換えが可能になることです。
これは、投資枠の埋め方としては効率的でしょう。
(※但し「つみたて投資枠」は年2回以上に分けて投資する必要があるため、厳密には全一括投資は出来ません・・)
そういう意味合いで
『やり方・その2』を否定はしません。
しかし、
それに、です。
特定口座からの『乗り換え』のみで
シンNISAを埋めていくと、
特定口座内のファンド売却がそれだけ膨らみ、
『譲渡益』に対して支払う税金がより大きくなります。
ココ、意外と重要なのですが、
シンNISAの「投資枠」を埋めたあとも、
『特定口座』に戻ってきて、また積立投資を続ける前提なら、
「大局図」としては、
特定口座 「メイン口座」 になり得るわけですから、
どのみち特定口座とも長く付き合うわけで、
であれば、
昨日の記事のように、
―あくまで山本さん(仮名)の例ですが、―
月24万円(計1440万円)・・乗り換え資金
という内訳にしたほうが、
自分の投資(つみたて投資)の「リズム」を崩さず、
シンNISA開始直後から、
乗り換え資金だけでなく『新規の資金』も入れているよ。という、自分の投資の一貫性が確認しやすい構図となります。
ただし、です。
特定口座内の金融商品群が「乱雑に散らかっている」場合、
―各種もろもろのファンド群、個別株、ETFなどで溢れている場合は―
資産管理をスリム化することを優先して、
あえて
『やり方・その2』で
シンNISAの投資枠を埋めるのはアリでしょう。
シンNISA制度をフル活用して、
投資の『シンプル化』も図ってしまうわけです。
いずれにせよ、
あなたがこれまで投資を続けてきた中で、
あなたにとって心地のよい
「投資のクセ」のようなものが存在するはずです。
ー自分にとって心地のよい『リズム』といってもよいでしょう。―
それを大切にすることを優先させて、
あなたにとってのシンNISA活用法を模索するべきなのです。
カテゴリ:NISA活用法