確定拠出年金(iDeCo・企業型)

アメリカの確定拠出年金、そのメリットとデメリット

2023年7月16日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

本日はウォール・ストリート・ジャーナルの記事、

 

 

上記記事を読むと、
アメリカの確定拠出年金(401k)の実質的なスタートは、1981年だと分かります。

 

 

401kプランの創始者といわれている人がテッド・ベナ氏。

 

アメリカって(今でもそうですが、)

ふつうの従業員と経営幹部の「収入差」が
とてつもなく大きいですよね。

 

実はテッド・ベナ氏が
確定拠出年金(401k)を考案したきっかけは、

 

報酬がとても高い経営幹部と、
ふつうの従業員の『利害』
調整するためだったのだそう・・。

 

 

 

 

 

経営幹部にとって401kプランとは?

何より所得控除(節税)が
魅力だったよう。

(報酬高いですから・・)

 

 

従業員にとって401kプランとは?

確定拠出年金は個人の勘定となるため、
確定給付型の年金制度に比べて、

自分の口座残高が
実際に増えていくのが「確認」でき、
従業員にとっても利益となる制度と思えたようです。

 

ところで、
日本の確定拠出年金と違って、

米国の確定拠出年金(401k)では、

 

ペナルティー料を払うことで
【早期】に引き出すことが可能になっています。

 

 

この「早期解約」について
興味深い記述がありました。

 

ボストン大学退職研究所が
2015年に実施した分析によると、

 

401kにおける早期引き出しは
退職資産の総額を25%減少させる。

 

そのため多くの人々が、
従業員は困窮時を除いて
退職まで貯金を引き出せないようにすべきだと主張する。

 

たしかに・・。

 

 

 

 

日本の確定拠出年金のように
一律、一定年齢(60歳)に達するまで
『引き出し不可』としたほうが、

「年金制度」としては
枠がしっかり定まって理に適う部分があるといえそうです。

 

 

さらに、上記記事内で
ベナ氏が提唱している【改革案】が3点あります。
ご紹介しましょう。

 

1.すべての雇用者に
給与天引きによる401k
またはIRAの提供を義務付けるべき。

 

 

これは、
オーストラリアの
『スーパーアニュエーション』を想起させます。

 

スーパーアニュエーションとは、
オーストラリアの強制加入の『私的年金制度』です。

 

詳しくは以下記事をご参照ください。

 

 

 

 

 

 

アメリカの確定拠出年金(401k)では現状、

パートタイム労働者、フリーランス、
小規模企業の従業員などをカバーし切れていません。

また、401kの導入は
雇用主(企業)による「任意」であり「強制」ではありません。

 

 

2.加入者に早期の引き出しを禁じる。
 (先ほどお話しした通り)

 

 

 

3.退職時に、
一時金として受け取れる資産の割合に『上限』を設けるべき。

 

これはわたしも賛成です。

 

 

「年金形式」で受け取るを基本にしたほうが、
退職者の生活実態、

 

つまり、
『毎月、一定のお金が必要になる』に合致すると考えます。

 

また「年金形式」でもらったほうがムダ遣いしにくい面もあります。

 

 

日本の企業型確定拠出年金、個人型確定拠出年金(iDeCo)も、この種の制限を設けたほうが理に適うでしょう。

 

 

 

最後に以下『現状の数字』を見ると、
米国の確定拠出年金(401k)が
いかに巨大であるかが分かります(2018年時点)

 

〇 有効加入者数は5500万人を超える。
〇 アメリカにおける、
投資信託の運用資産額の約3分の1が401kである。

 

 

〇 2023年における
従業員の拠出限度額は 2万2500ドル/年 である。

 

※ これに会社側の拠出
(=マッチング拠出)が加われば、
トータルの拠出限度額はさらに大きくなります。

 

 

〇 401kにおける
株式投資信託の【平均経費率(年間コスト)】は、
0.48%である(この項は2016年時点。)

 

ここは↑日本の確定拠出年金も大いに目指すべきでしょう。

 

 

 


日本の確定拠出年金の課題は、
まず『拠出限度額の引き上げ』だと思います。

そして教育インフラをどう立ち上げ、維持していくかも重要でしょう。

 

何しろ、企業型、個人型合わせて
1000万人以上の加入者がいるわけで、

その人たちに
「頑張って、同じ姿勢で投資に取り組みましょう!」的な継続教育を施すだけで、見える景色は大きく違ってくるはずです。

 

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