投資信託あれこれ, 確定拠出年金(iDeCo・企業型)

投資信託・資産残高「第7位」の国は? 意外にもオーストラリア! その理由は「スーパーアニュエーション」です

2020年11月6日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

実にさまざまな金融商品がある中で
「投資信託」は世界中でベストセラーとなっている道具です。

いったいどの国が投資信託の残高第1位かというと・・
もちろん「アメリカ」ですね。

日本も健闘していますよ。

以下、
投資信託の資産残高上位「上位10ヶ国」です。




画像元:投資信託協会(投資信託の世界統計(2020年4月~6月)


上記のルクセンブルク、アイルランドは
両国の投資信託の需要が特別大きいという意味ではありません。

税率が他国に比べて低く、法制が整っているため、
多くの運用会社がルクセンブルク、アイルランドにて投資信託(ETF)を設定している、ということなのです。

 

分かりやすい例は
あなたも目にしたことがある「外貨建てMMF」。

外貨MMFは外国籍の投資信託であり、
どこの「籍」のファンドかというと、

たとえば『ノムラの外貨建てMMF』はすべて、
「ルクセンブルグ籍」の投資信託であります。


じゃあ、アイルランド籍は?

これはバンガードやiシェアーズのETFが有名。




画像元:バンガードジャパン

上記ETFはアイルランド籍ですが、
ヨーロッパの株式市場などに上場しているわけです。


ところで、
第8位の日本より上にいる
オーストラリア(第7位)って意外に思いませんか?

オーストラリアの人口はおよそ2500万人。
日本(1億2600万人)と比べると20%ほどしかありません。

なのに、投資信託の残高は日本より多い。

 



もしかして・・

「確定拠出年金」?


ハイ、正解です。

別にオーストラリア人がこぞって「投資が好き!」というわけではありません。
日頃から自然に「投資信託」と向き合う制度設計が為されているわけです。

オーストラリア版の確定拠出年金は
『スーパーアニュエーション』と呼ばれます。

 

〇 特徴としては
会社員、公務員などの被用者は『強制加入』

〇 また、雇用主側は賃金の一定割合、「9.5%」を拠出することが『強制』されています。
(その拠出額については、雇用主側では損金算入が認められています)


雇用主、被用者ともに任意で『追加拠出』が可能で、
両者の「拠出額」の合計が年間25000豪ドルまでは、通常より低い税率で課税されるそう。

詳細はこちらの大和総研レポートをご参照ください。)


もちろん確定拠出年金ですから、
どの『ファンド』を選択するかは被用者自身が決めるわけです。

 



スーパーアニュエーションの「資産残高」がいかに巨大かは、
下図「オーストラリアの家計金融資産残高」を見れば分かります。





画像元:大和総研『豪スーパーアニュエーション、成功の背景は』


スゴイですね・・。
家計金融資産のおよそ『半分』を
スーパーアニュエーションが占めています。


日本でも、
インセンティブを含んだ明確な制度設計が出来れば、

投資信託残高の半分を「確定拠出年金」が占める、
という状況を作り出せるとわたしは思っています。

と云いますか、
確定拠出年金の更なる普及・制度の拡充こそが、
日本の投資信託普及のカギを握るとわたしは考えます。



さて、投資信託・残高に戻りますよ。

第5位は中国です。
(巨大な潜在需要ですね・・)

おそらく今後、
世界でもっとも投資信託市場が伸びる国でしょう。
(インドも遠からず「上位10ヶ国」に入ってくると思います)

中国人はもともとリスクテイクを好みます。

 



株や不動産ではなく、
「もう少し賢くリスクを取る道もあるよ」ということで、
今まさに「投資信託(ETF)」に関心を持つ人々が増えてきている段階でしょう。

(アメリカの大手運用会社バンガードも、
日本法人を畳んで中国に注力していくようですし。
米運用大手バンガード、香港・日本撤退 中国本土に注力』)


また、投資信託の流通経路、
あるいはサービス設計についても、

中国では既存の銀行、証券ではなく、
アリババ、テンセントなどのIT企業が「資産運用業」でも今後主役を担い、
これまでにはなかった投資信託の紹介のされ方、売られ方が実現すると考えます。

結局のところ、
投資信託の残高が育つかどうかのポイントは
自助努力を意識する中産階級の『層の厚さ』にかかっているのです・・。


   

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