投資信託あれこれ

ファンド『総経費率』で統一、賛成です。でもその前に整理しなければならないこと。

2023年6月29日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

ファンドの継続コスト。大切です。

投資信託の運用管理は、常に「全体」を俯瞰する バランス感覚 が求められます。

マーケットの動きをモニターしながら、
膨大な銘柄を日々管理してもらうわけですから、

それなりの『報酬』を支払うのは当然でしょう。

 

それがファンドの信託報酬(運用管理費用)です。

 

 

投資信託を保有すると、信託報酬は年率○○%という形でファンド資産から直接差し引かれます。

 

 

 

 

この「信託報酬」、

 

実は、どのコスト項目を含めて、
どのコスト項目は含めないという『ガイドライン』が曖昧なのです。

 

これがけっこう大問題。。

 

 

例えば、
インデックス型のファンドで
指数提供会社に支払う「指数利用料」や、

あるいは書類の「印刷費用」などを、

『信託報酬』に含めているファンドと、
含めていないファンドに分かれていたりします。

 

〇 具体例 ⇒「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)」は、指数の利用料や書類の印刷費用を信託報酬に含めていません。

 

ですので、
年0.05775%という超低コストの「信託報酬」(運用管理費用)と謳うことができました。

 

 

(それに対して「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」などは、指数の利用料等を運用管理費用に含めています)

 

 

ファンド保有者として「ひと言」!!

 

 

まず、「信託報酬」の中身を厳格化し、
信託報酬に含める『コスト項目』を法令で定める必要があります。

 

 

現状の信託報酬では
ファンドの客観コスト比較が出来ないため、

ファンドのコスト開示は
『総経費率』で揃えてください!というお達しがあったわけです(2024年4月~)

 

 

【日経新聞電子版】

 

 

上記にわたしも概ね賛成なのですが、

たとえファンドのコスト開示基準を
『総経費率』で揃えたとしても、まだ問題があります。

 

 

実はファンドの『総経費率』は、
組み入れ銘柄を売り買いする際に支払う「売買委託手数料」や、
「有価証券取引税」(海外株式を保有する場合に掛かるケースがある)など、一部の費用は含まないのです。

 

えっ!?

 

 

 

 

以下「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」の『総経費率』です。

 

 

 

 

画像元:eMAXIS Slim 先進国株式インデックス運用報告書(全体版)』より

 


『総経費率』には売買委託手数料や有価証券取引税等は含まれないため、

 

結局、より広範なコスト概念である
ファンドの『費用の合計』(トータルコスト比率)を見ないと、投資信託の手数料全景は見えてきません。

 

 

以下がeMAXIS Slim 先進国株式インデックスの費用の合計(トータルコスト)です。

当該ファンドでは、総経費率0.12%、費用の合計0.14%となっています。

 

 

 

画像元:eMAXIS Slim 先進国株式インデックス運用報告書(全体版)』より

 

 

各ファンドを
スッキリ比較しやすいようにするためには、

 

1.信託報酬に計上する項目を法令で厳格に定める。
そして、
2.費用の合計(年間のトータルコスト)で各ファンドを比較する。

 

 

このやり方のほうが、
やはり個人投資家には馴染みやすいのではないでしょうか。

 

 

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