金融機関にモノ申す

SBI証券が米国のチャールズシュワブを追いかけてきた歴史から、超低コストのインデックスファンドの組み合わせによるロボアド・サービスを想像してみる・・

2023年6月20日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

あくまで私見ですが、
SBI証券の「サービス沿革」を見ていると、
米国のチャールズシュワブ証券を踏襲している気がします。

 

 

こんな具体例を・・。

 

本年9月末までに、
SBI証券は
株式の売買委託手数料の『完全無料化』に踏み切ります。

〇 いっぽうチャールズシュワブ証券は、
2019年に株式売買手数料『ゼロ』に踏み切りました。

 

 

投資信託の分野でいえば?

 

〇 チャールズシュワブはファンドの「スーパーマーケット」と形容される多様な投資信託の品揃えを実現し、また販売手数料「ゼロ」の路線に舵を切りました。

いっぽうSBI証券の投信の品揃えも同様の流れを辿りました。

 

 

 

 

 

米国のチャールズシュワブ証券とは、
1973年に誕生したオンライン証券会社です。

が、今では
オンライン証券会社という形容では括り切れないサービス形態になっています。

 

 

まず、
巨大な銀行(シュワブ銀行)を擁しています(2003年設立)。

 

シュワブ銀行は、
スイープアカウント(sweep account)と呼ばれる、

証券口座内の預かり金を
自動的に銀行口座にスイープさせる機能を導入しました。

 

これは
2007年に営業を開始した住信SBIネット銀行でいう
「預り金自動スィープサービス」と同じ機能です。

 

 

画像元:SBI証券

 

 

また、
〇 チャールズシュワブ証券は
数多のRIA(登録投資アドバイザー)のバックオフィス機能を持つ金融機関でもあります。

SBI証券も、
登録IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)業者を多く抱えます。

 

 

そしてチャールズシュワブは
自ら運用会社にもなり、

シュワブETF」と呼ばれる
超低コストのETFシリーズを運用しています(2009年~)

 

 

SBIグループも同様に、
傘下のSBIアセットマネジメントにて、

 

SBI・Vシリーズ」「SBI・iシェアーズシリーズ」と呼ばれる超低コストのインデックスファンドシリーズを運用しています。

 

 

 

 

 

チャールズシュワブは
自らが強固なプラットフォームになることを目論んでいます。

 

上述の「シュワブETF」の設定も、
その商品数の充実が真の目的ではなく、

 

シュワブが提供する
Schwab Intelligent Portfoliosと呼ばれる
ロボアドバイザー・サービスのツールとすることが目的であります。
※上記ロボアドバイザー・サービスとは、投資家のリスク許容度別に、シュワブETFの組み合わせによる『ポートフォリオ』を提案する投資一任サービスです。

 

 

 

 

 

ロボアドサービスで言えば、
SBI証券も現在、
「SBIラップ」というサービスを実施しています。

 

が、ラップ専用のファンドでは
如何にも中途半端な印象がありますし、
トータルコストを見ても競争優位性は感じられません。

 

 

 

画像元:SBIラップ

 

 

(実は)本日この記事を書いているのは、

NightWalkerさんの記事

 

 

 

にインスパイアされたためです。

 

 

NightWalkerさんは
SBIアセットマネジメントが新たに設定する
2本の超低コストのインデックスファンドに関連して、

次のように記されています。

 

 

これらのファンドの特徴は、
ふたつあると思うのです。

 

 

ひとつは、iシェアーズのETFを組込み、日本株ですら自社運用はしないこと。そしてもうひとつの特徴が、

 

 

(いまのところ)SBI証券だけでしか売ってない

 

ってことです。

 

 

ふと気が付いたんですけど、
これって、実質的に直販投信ということなのでは? 

 

なるほど・・。

 

 

これまでの運用会社主導の直販ではなく、

販売会社主導の『直販』という流れを、
SBIグループは作ろうとしているのではないでしょうか?

 

 

もしもチャールズシュワブ証券に倣うなら、

SBI証券も、
「SBI・Vシリーズ」「SBI・iシェアーズシリーズ」の商品数を増やすことが真の目的ではない気がします。

 

これら超低コストの『インデックスファンド』をツールとして、一歩先のロボアドバイザー・サービス導入の目論見があるのではないでしょうか?

 

 

 

 

 

 

「どのインデックスファンドを選ぼうか?」という積極的マジョリティよりも、
5年、10年後の資産形成市場では、
「自分にフィットしたファンド(資産)の組合わせと、維持管理のすべてを低コストでお願いしたいわ。」という、
消極的マジョリティの『存在感』が、
より大きくなっている可能性が高いためです。
今より「ロボアドバイザー」のニーズはうんと大きくなっているでしょう。

 

 

その潜在マーケットを押さえるために、

 

あくまで私見ですが、

手数料【0.1%台】プラス『インデックスファンドの信託報酬』という超低コストの「ロボアドバイザー・サービス」に打って出る可能性が(SBI証券には)あるとわたしは予想します。

 

そして、上記のような『薄利のサービス』を成り立たせるために、

販売、運用、管理というすべての段階で
SBIグループ内に利益を還流させる「エコシステム」を、さらに強化していくことでしょう。

 

追記)ちなみに、チャールズシュワブ証券が提供する
ロボアドバイザー・サービス』の手数料はナント無料です。

 

カテゴリ:金融機関にモノ申す

おすすめの記事