世界投資的紀行

有価証券ものがたり

2023年6月16日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

今日は(いきなり)タイムスリップします。

18世紀初頭の
ニューヨークを想像してみましょう。

 

この港町には、
さまざまな物資が集積しています。

 

農作物、畜産物、石炭、綿花、工芸品から、
木材、貴金属、書物に至るまで、
ありとあらゆるモノが行き交う「交易地」なのです。

 

そこではさまざまな人々が
それぞれの立場で「取引」を行っています。

 

 

 

例えば、です。

綿(コットン)を100キロ取引するのに、

 

綿(コットン)の現物を港の近くに並べて、
その場で現金を授受するって大変です。

 

綿(コットン)が雨に濡れたら
商品価値が台無しになってしまいますし、
現金を持ち歩けば、強盗に遭う可能性もあります。

 

 

そこで、
綿(コットン)を
取引する権利を【紙片】にしたためて、
それを(港の近くの)交易所 に並べてみました。

 

現物をいちいち確認する代わりに、
この【紙片】によって権利の保有者を確認します。

(決済も互いの銀行を通じて行うわけです)

 

これが今日の『有価証券』の原形でしょう。

 

 

ここでのポイントは、

 

この【紙片】が
交易所(取引所)のお墨付きをもらい、ある種の『信用』が付されるようになったということ。

 

 

 

いっぽう株式の取引も、
当初は生鮮品の『卸売市場』に近いイメージだったのではないでしょうか。

 

『○○株式会社』と書かれた
【紙片】(株券)が置いてあって、

売主が
何か板(ボード)のようなものに『希望価格』を書き、

 

その周りにはたくさんの人がいるのですが、

その株式を買いたい人は
【紙片】(株券)の前に集まってきて、

 

(買いの)『希望価格』を何か違った色で、
また板(ボード)に書くわけです。

 

そこには、
仲介人(証券会社の原始)の姿も見えます。

 

 

 

 

 

一定の時間を区切って、
仲介人が

 

「はい、ABC株式会社! 売値希望、一株 4セント。」

 

はい、買いは?買いは?

 

仲介人は複数の板(ボード)を瞬時に見比べ、
「はい、ジェファソンさんの 4.2セントで売買成立!

売主、買主は向こうの部屋で証書を巻いてよ」

と叫んでいます。

 

 

たいそう活気に溢れた交易所(取引所)だったのではないでしょうか。

 

 

また、お金を貸す、借りるといった行為も、
「債券」という【紙片】が普及し始め、

「株式」という【紙片】と併せて、
有価証券として認識されるようになりました。

 

(そして、)取引所においては、
証券自体が売買されるようになったのです。

 

 

紙切れである『証券』を市場参加者が信用し、それ自体が流通するようになって、今日の『金融経済』の礎が築かれました。

 

ちなみに、ニューヨークという港近くの「交易所」が、現在のニューヨーク証券取引所の起源であり、

 

 

 

 

その昔、豚や牛などの『現物取引』を行っていた際、
方々に散らばる動物を隔離するために
設けられた壁(ウォール)が、
今日の ウォール街 の発祥といわれています。

 

カテゴリ:世界投資的紀行

おすすめの記事