インデックス投資全般, 投資の発想法

知ってる投資 VS. 知らない投資

2023年5月26日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

実のところ
世の中には2種類の『投資』しかありません。

 

株式を例に挙げますと、

 

1. 自分が知っている企業に投資する
2. 自分が知らない企業にも投資する

 

これだけです。

 

 

 

 

1.は自然の流れとして「個別」の投資になります。

文字通り「知っている」
「具体的な」企業(株式)に投資しますから「知ってる投資」です。

 

いっぽう、
2.は流れとして「全体」への投資に近づきます。

見たことも、聞いたこともない
数多の企業にも投資することになるので「知らない投資」です。

 

知ってる投資 VS. 知らない投資

なかなか好対照です。

 

果たしてどちらがあなたに合った投資スタイルなのか、
安易に決めることは出来ません。

 

しかし、

1. の「知ってる投資」は
ちょっと不思議な投資かもしれません。

 

「知っている」
「具体的な」企業(株式)に投資するため、

たいてい、
その株式は
誰もがその名を知る、大企業 となります。

 

 

 

 

日本の株式なら、

自動車会社の株とか、
商社や携帯電話の会社とか、
ゲーム会社の株、電鉄系の会社とか・・。

 

米国の株なら、
それこそアップル、アマゾン、グーグル(アルファベット)、バークシャー・ハサウェイとか、最近ではエヌビディアなど。

 

 

いずれも知名度が高い会社なので、安心感があります。

 

大勢の他者が知っている会社に、
自分は投資しているんだ、
という類の安心感でしょうか。

 

それだけではありません。

 

仮に投資家自身が
その会社の『商品』を利用していれば、ユーザーとして親しみも持てます。

 

 

知ってる ⇒ 情報も多い ⇒ 安心感・親しみ
⇒(投資対象として)その株式を買おう!

 

わりと分かりやすい、
気持ち(感情)が発露した投資のやり方になります。

 

 

 

 

 

2.自分が知らない企業にも投資する

 

2.にもさまざまなパタンがあると思いますが、
ひとつの『究極例』がインデックスファンドでしょう。

まさに知らない企業の「ごった煮」状態です(笑)

 

仮に「先進国株式インデックスファンド」に投資をするとしましょう。
銘柄数は1300近くにもなります。

おそらく知らない企業が99%以上を占めるでしょう。

 

 

(日本以外の先進国22ヵ国の中では)

行ったことがある国より、
行ったことのない国のほうが多いことでしょう。

 

ほとんど「知らない」会社ですから、
安心感も、親しみも湧きません。

 

 

また、個々の企業について、
外部からの詳しい情報もありません。

それら企業の商品・サービスも利用したことがありません。

まさに、
「知らない」「知らない」のオンパレードなのです。

 

 

したがって、
気持ち(感情)は沸き起こりません。
ドキドキがないのです。

 

 

誤解がないように申し上げれば、
この「知らない投資」を行っているのは、

なにも日本人だけではありません。

 

 

 

 

例えばノルウェー人であれば、
ノルウェー以外の株式は、基本「知らない投資」です。

ノルウェーは人口が少なく、
他国との交易によって国富を築いてきたため、
長年かけて「知らない投資」に馴染んできた国民性を持ちます。

 

たとえば、
ノルウェーには
「ノルウェー政府年金基金」
―Government Pension Fund of Norway―

という国家ファンドがあります。

 

その中の、
Government Pension Fund Global』 (GPFG)というファンド内では、
本国(ノルウェー)への投資割合は2割もありません。

 

 

また、アメリカ人にも、
アメリカ以外の「先進国株式ETF」や
「先進国株式インデックスファンド」が

時間を掛けながら普及してきました。

 

 

この種の「知らない投資」では、
気持ち(感情)が沸き起こりにくいので、
実際に投資を行うには
何かしらの「理屈づけ」が必要になります。

 

 

すなわち、

なるだけ銘柄の分散を心掛け、
国地域、通貨の分散にも努めることで、

投資におけるボラティリティ(価格変動の振れ幅)を抑えることにつながり、

 

だから、

自分が行ったこともない国の、
見たことも聞いたこともない企業にも幅広く投資を行うことは、リスク分散の観点から理に適っている方法なのだ!

 

という「理屈」を拠り所にして、
投資を行うわけです。

 

自分が行ったこともない国の、見たことも聞いたこともない企業にも幅広く投資を行えるか否かが、投資の『分水嶺』なのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

1.自分が知っている企業に投資する(気持ちの投資)
2.自分が知らない企業にも投資する(理屈の投資)

 

投資の『歴史時間』のうち、およそ99%は、
自分が知っている企業に投資をする「スタイル」しか存在しませんでした。

 

自分が知らない企業にも投資を行うのは、
斬新で、とても新しいスタイルです。

 

言い換えると、

 

1.から、2.に至るまでの、大きな河を超える勇気を、私たちの先人は長年かけて積み上げてきたのです。

 

 

 

何が本質的に違うのでしょう?

 

2. の、
自分が知らない企業にも投資をする姿勢の中には、

 

もしかするとわたしは、
世界のほんの一部しか見ていないのかもしれない・・。

 

という「謙虚さ」が宿っているのです。

 

謙虚さ?

はい、そうです。

 

 

 

 

自分が知らない企業にも投資する人は、

知っている、
知らない、

というあなたの『主観』より、

 

(どんな国でも)
物事のしくみというのは
おおよそ似通っているはずだ・・という、

違いより『共通項』を重んじる姿勢を持ちます。

 

人の営みには、
普遍性がある。という考え方ですね。

 

 

とはいえ、
「理屈」の投資になるため、面白くはないわけです。

 

 

人は「理屈」が100%になってしまうと、
その行為そのものに着手は出来ても、
それを気長に続けるというのがなかなか難しくなります。

 

ですので仮に、

自分が知らない企業にも投資を行う究極形である「インデックスファンド」を選ぶことが出来れば、

―それは即ち100%「理屈の」投資ですから、―

 

少し感情(気持ち)に寄り添う部分を作ってあげてもよいとわたしは思います。

 

 

 

 

 

個人の資産運用とは?

 

理屈(理論)を尊重しつつ、
その理屈を、
あなたの感情に寄り添うように、アレンジしてあげることです。

 

 

わたしはお金の相談業を長年続ける中で、
上記を確信するに至っています。

 

たとえば、
理論的には一括投資のほうがより優れていると云います。

しかし、
あなたの気持ち(感情)に寄り添うカタチで「つみたて投資」を選択することは、

 

○ 何を買うかと、
○ どのように資金を入れるかを、

「分けて」考えることになります。

 

 

○ 何を買うのか・・? ⇒ 理屈に則った投資対象 ⇒ 「インデックスファンド」
○ どのように資金を入れるのか・・?
感情に寄り添う投資実行法 ⇒ 「つみたて投資」

 

 

『理屈』を根拠にしつつ、あなたの『感情』に寄り添う部分があっても、ぜんぜんOKなです。

 

カテゴリ:インデックス投資全般, 投資の発想法

おすすめの記事