投資家の感情リスク

投資信託ダイエット!

2023年5月19日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

よく、

 

シンNISA(つみたて投資枠)の「対象商品」は?
と聞かれるのですが、

 

今、つみたてNISAの「対象」になっている投資信託、ETFが、自動的にスライド採用されます。

 

ココ大事です。

 

現在つみたてNISAの「対象商品」は
227本もあります(4月27日現在)

ずいぶん増えました。

 

いや、ちょっと増えすぎなのかもしれません。

 

 

 

 

来年から始める『シンNISA制度』で
わたしが危惧するのは、

 

個人投資家が(シンNISA内で)保有するファンドの本数が、あれもこれもと目移りするうちに、5本、10本、15本・・と増えていってしまわないか、ということです。

 

 

ひと昔前までは、

インデックス投資の効率性が知られて、
インデックスファンドが普及すれば、

個人投資家の資産管理は
随分シンプルになると思っていました。

 

 

保有するファンド本数が集約され、
スリムな資産運用が実現するとわたしは思っていたのです。

 

ところが、実際は違っていました。

 

多くの人が
「インデックスファンド」を選ぶようになっても、

そのインデックスファンドの中で、
あれもこれも購入してしまい、
(逆に)保有する本数が増加してしまっているのです。

 

 

 

 

 

ファンドを10本も15本も保有する
『投資メタボ』の人がこの5年ほどで顕著に増えています。

 

 

 

【具体例・その1】を挙げてみましょう。

 

米国株式インデックスファンド
 +
先進国株式インデックスファンド
 +
全世界株式インデックスファンド

 

これは果たして
『分散』された投資になるのでしょうか?

 

「株式インデックスファンド」では、
指定された投資対象を
隈なく効率的に保有するため、

複数の「株式インデックスファンド」を併せ持っても、

 

すでにたくさん持っている「銘柄」を、
さらに「たくさん」買ってしまうことになります。

 

 

上例の場合、
『組み入れ上位10銘柄』の顔ぶれは
3本のファンドでほとんど同じです。

 

そもそも、
全世界株式と先進国株式は80%以上重なっていますし。

また、先進国株式と米国株式は
70%ほど重なっています。

 

 

残念ながら、
米国株式インデックスファンド
 +
先進国株式インデックスファンド
 +
全世界株式インデックスファンド の3本を足し合わせても、

『分散』させる投資にはならず、
逆に投資対象が『重複』してしまうため、
どの市場平均をなぞっているのかがぼやけてしまい、焦点を欠いた投資になってしまいます。

 

 

 

 

 

【具体例・その2】です。

 

米国株式インデックスファンド
 +
先進国株式インデックスファンド
 +
全世界株式インデックスファンド

の基本構造は同じですが、

 

 

例えば、
米国株式インデックスファンドという
「ひとつのカテゴリー内」で、

 

・eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)インデックス
・楽天・全米株式インデックス・ファンド
・SBI・V・S&P500インデックス・ファンド

 

のように、
似通ったインデックスファンドを複数保有するケース。

 

同じカテゴリー内で、
3つの同じようなファンドを保有しても(残念ながら)『分散効果』は高まりません。

 

先進国株式インデックス
全世界株式インデックスというカテゴリー内でも、

それぞれ3本ずつ
同じようなインデックスファンドを保有すれば、

 

米国株式インデックス(3本)
先進国株式インデックス(3本)
全世界株式インデックス(3本)

となり、

計9本のインデックスファンドを
保有することになります。

 

 

 

 

もしも間違っていたらゴメンナサイ。

 

保有するファンドの本数が増えてしまうのは、

もしかするとあなたの、
一つのインデックスファンドに対する『腹落ち度』が低く、

 

そもそも「そのファンド」について参考書10ページほどの理解も覚束ないため、投資対象に対する「確証」が薄れてしまい、

 

その『不安感』から、
「数」をたくさん保有してしまっていませんか?

 

 

 

「株式のインデックスファンド」だけではありません。

 

【具体例・その3】を挙げてみましょう。

 

 

株式インデックス)

米国株式インデックスファンド
 +
先進国株式インデックスファンド
 +
全世界株式インデックスファンド

バランスファンド)

株式50債券50のバランスファンド
株式70債券30のバランスファンド
8資産均等型のバランスファンド

 

というようなパターンも
しばしば拝見する『投資信託の保有状況』です。

 

 

 

 

 

結局のところ、保有する金融商品の本数が増えれば増えるほど、

あなたはほんらいの『目的地』から
遠ざかってしまいます。

 

 

はじめて投資信託を買った当初、
あなたが抱いていた、
「ワタシはこんな投資がしたいなあ・・」という輪郭図がどんどん薄れてしまうのです。

 

 

投資信託(ETF)のほんらい的な役割は?

あなた(投資家)をラクにすることにあります。

 

昔むかし、

細かくて難解になりがちな、
『個別株式』を中心とした投資を、

 

銘柄分散が自動的に為される『投資信託』を旨とした投資に変換させることで、投資のスタートという「ハードル」を格段に引き下げることに成功したわけです。

 

 

誤解を恐れずに言えば、
投資の単純化が可能になったのです。

 

 

特にインデックスファンド(ETF含む)であれば、

ひとつのインデックスファンド(ETF含む)を保有するだけで、広範な銘柄分散、国地域の分散を施すことが可能になります。

 

原理的にひとつ、ないしふたつ持てば、それで十分なのです。

 

 

 

 

ファンドを10本も15本も持っていると、
皮下脂肪が重たく負担になってきます。

 

シンプルでラクな資産管理が出来るようにインデックスファンドは発展してきたわけですから、投資信託のダイエットを実行して楽になるべきなのです。

カテゴリ:投資家の感情リスク

おすすめの記事