経済よもやま話

生成AIの登場は衝撃的です。(でも)だからこそ、社会が一夜にして変わるわけではありません

2023年5月18日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

以下は米国市場『主要株価指数』の、
年初から5月12日までの収益率の数字です。

 

 

 

フム。

どうして「ナスダック指数」だけが
こんなに上がっているのでしょうか?

 

プラス18%って、
立派な「急騰」です。

 

 

何が起こっているのか?と問われれば、

もしかすると、ですが、

 

Chat GPTをはじめとした
生成AI関連技術に対する
テック業界の「高揚感」の表れかもしれません。

 

 

対話型の人工知能(AI)は、
私たちの暮らし、仕事のやり方、
社会のあり様を根底から変える力を秘めています。

 

わたしも利用したことがあります。

先日Chat GPTに
「ウニの詩」を叙情的に書いて!とせがんでみました。

 

すると、こんな詩が・・。

 

 

波しぶき舞う海原にて
深き青に溶け込む
鮮やかな命の輝き

ウニ、その姿を現す

 

 

突き出した棘は守りの刃
愛おしい身を守り抜く

だけどその中に秘められた
美しき宝石のような宝

 

 

 

柔らかな身に触れれば
微かな振動が響き渡る

 

そっと口に運ぶ瞬間
幸せな舌の上で舞い踊る

 

 

塩の香りが舌先を撫で
甘みと苦みが交差する
一瞬の舌触り、感動の極み

 

 

味わい深いウニの奇跡

 

 

人間の感性を十分に取り入れています。

 

 

 

 

生成AIは、
あなたの脳に代わって物事を考え、
数多の情報を一瞬に仕入れて、

 

考えや知識を
高次で統合したり分解したり、
はたまたそれを要約してくれたりします。

 

テキストだけではなく、
画像でも(やがて動画でも)その力を発揮することでしょう。

 

ということは?

社会に生成AIが浸透することで、

 

人間が考えなくなる・・
⇒ バカになる。
という危機感が芽生えているのです。

 

 

でも、ですよ。

人間って
そんなに急に「考えなくなる」ものでしょうか?

 

 

 

 

生成AIは、
その機能が見た目で誰にも認識できます。

その性能はまさに衝撃!であり、
インパクトが強いわけです。

 

「もしかすると世の中が激変する!?」みたいな空気を、あなたもわたしも感じ始めています。

 

 

でも、ホントにそうなのでしょうか?

 

 

斬新で画期的な技術(製品)は
果たして一夜にして、

いや、半年や1年や3年くらいで
世の中を一変させてきましたか?

 

 

・ブロックチェーン

 

たしかに凄い技術です。
しかし、暮らしの中でその利便性を実感することって(まだ)殆どない?

 

 

 

 

それに関連しますが、

 

・暗号資産

 

裾野はどんどん広がっています。

でも、今、東京の飲食店で
ビットコインが使える店はどの位ありますか?

 

 

・メタバース

 

お元気ですか?

 

 

その他、3Dプリンターやロボットはどうでしょう?

 

自動運転技術やクリーンエネルギーや宇宙旅行など、
どれも斬新で画期的な技術(製品)なのですが、

 

それが斬新で
画期的であればあるほど、
(実は)社会や暮らしの中に浸透するまでには「時間」がかかるものなのです。

 

 

 

 

正直に言って、

わたしたちは今、
生成AIに対して、

早急かつ過剰な期待を抱いているのでは?

 

マスメディアが「AI革命!」とはやし立てるせいでもあります。

また、久々の『ビッグテーマ』到来だ!と息巻く証券業界のせいでもあります(今年はAI、生成AIのような用語を用いて、多くの「投資信託」が組成されることでしょう。)

 

 

証券業界くん)
生成AIは社会を変える!
スゴイぞ!

 

 

個人投資家)

でもそれって、
「すべての株」に恩恵があるわけじゃないよね?

 

 

 

 

実際、
生成AIを取り入れることで、
企業の利益がどの程度上乗せされるのか?

 

期待感だけが先行しており、
メリットの大きさを計り切れていません。

 

少し冷めた見方をすれば、

 

それ(生成AI)によって
恩恵を受ける『会社』もあれば、
存亡の危機に立つ『会社』も出てくるわけです。

 

 

マイクロソフト」の検索エンジンBingはChatGPTで動作するため、すでに多くの利用者を獲得し、広告収入が伸びるという思惑から株価は上昇しています。

 

いっぽう、オンライン学習プラットフォーム「チェグ」という会社は、年初来で60%以上株価が下落しています。

 

生成AIの登場が
同社のビジネスモデルを崩壊させると、
多くの投資家が危惧しているためです。

 

 

 

 

 

生成AIのような、
インパクトが強い技術(製品)が登場すると、
わたしたちはその様相に心を奪われますが、

それと、

それ(生成AI)が、
どの程度「経済の成長」に寄与するかはまた別の話です。

 

 

つまり、
『産業全体』で見た場合に、
生成AIは本当に「プラスサム」の価値をもたらすのか・・?という命題です。

 

 

誤解がないように申し上げると、
生成AIが社会のあり様を大きく変える。
これは疑いの余地がない事だとわたしは思います。

しかし、

画期的な技術が、みなをバラ色にするわけではありませんし、かつ急激に世の中を変貌させるわけでもありません。

 

 

 

 

新たな技術はいつも、人間の保守性(連続性)をかいくぐりながら、ゆるやかに少しずつ広まっていくのです。

 

 

最後に、生成AIが社会に普及すれば、

「考える」ことが決してキライではない人間は、物事の「捉え方」を抜本から変えようと、自ら「もがき始める」のかもしれません。

新たな哲学の誕生?

 

 

カテゴリ:経済よもやま話

おすすめの記事