インデックス投資全般, 投資信託あれこれ

厚切りジェイソンさんの質問に代田さんが答えました『じつは信託報酬率は一度低くしてしまったら、高くすることって難しいんですよ。』

2023年5月12日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

「つみたてNISA」がスタートしたのは2018年ですが、その頃からインデックスファンドの『超低コスト化』が始まり、

わたしのような古参の投資家から見ると、
信じられないような
運用管理費用の料率になっています。

 

 

ところで、
その運用管理費用(信託報酬)ですが、

 

ファンドの詳細情報や
投資信託説明書で謳われている『年率○○%』の数字を、
運用の途中で
引き上げることなんて出来るのでしょうか?

 

 

その疑問に、
三菱UFJ国際投信の
代田常務が答えてくれています。

 

以下、新R25とのタイアップ記事です。
投資にガチな厚切りジェイソンに「最強」と言わしめた「eMAXIS Slim」 その理由は?

 

 

 

 

厚切りジェイソンさん)

 

ちょっと、嫌な質問していいですか?

 

今は「信託報酬率」をすごく低くしてますけど、みんなが買ってくれたら一気に高くするなんてことはしないんですか?

 

 

代田さん)

 

じつは信託報酬率は一度低くしてしまったら、高くすることって難しいんですよ。

 

もし上げることになったら、


「不利益変更」として投資家の方に書面決議をしてもらって、
3分の2以上賛成がないと、引き上げることはできないです。

 

なるほど・・、
それは知りませんでした。

 

 

 

 

投資信託を運用する側からすると、
いったんファンドの『手数料率』を決めてしまえば、中途での『値上げ』は難しいため、

 

営業戦略上、
既存ファンドのコスト引下げが
「選択肢」に上がったとしても、

 

それを実行するハードルは高いというのは薄々分かります。

 

(一度コストを引き下げてしまうと、
もう元に戻すとか、更に手数料を引き上げるということが困難なため。)

 

 

しかし、だからこそ、

長い投資信託の歩みの中で、

個人の
ファンド保有者の便益を考え、

自ら運用管理費用(信託報酬)の引下げに言及した運用会社さんというのは、スゴイと思うのです。

 

 

わたしの個人的経験では、
住信アセットマネジメント(現:三井住友トラスト・アセットマネジメント)が初めてでした。

 

 

住信アセットマネジメントが運用する
「STAMシリーズ」という
インデックスファンドのシリーズは、

 

2010年7月
8つのファンドの信託報酬を引き下げています。

 

 

 

 

当時、水瀬ケンイチさんが記事にされていました(2010年7月5日付)
STAMインデックスシリーズ、信託報酬率引き下げ

 

記事を読むと、
手数料の引き下げを歓迎する様子が自ずと伝わってきます。

 

重要なポイントは以下です。

 

住信アセットマネジメントはかねてより、STAMインデックスシリーズの純資産拡大に伴う信託報酬の値下げに言及していました。

 

見よ、この積極的な姿勢を!

 

そして実際、手数料の引き下げを断行されたわけです。

 

もちろん、
このようなアグレッシブさの背景には
『ライバル』の登場がありました。

 

2009年に
「eMAXISシリーズ」という
インデックスファンドシリーズが、STAMシリーズの後を追うように登場してきたのです。

eMAXISシリーズは、
本日冒頭でご紹介した「eMAXIS Slim シリーズ」に先がけて設定されたインデックスファンドシリーズのこと。

 

 

 


2010年7月の
STAMシリーズの信託報酬引下げは、

日本の投資信託において
真の意味で『競争』が働いた、
最初のケースであったとわたしは思います。

 

カテゴリ:インデックス投資全般, 投資信託あれこれ

おすすめの記事