リタイアメント・資産の取り崩し

お金を増やすより、お金を使うほうが難しい(投資は普遍的。消費は個別的だから)

2023年4月23日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

ソフトバンクグループ会長の孫正義さんが

The David Rubenstein Show』の中で、
次のようなことを言われていました。

 

誰もが納得いくお金の使い方のほうが、お金を稼ぐことよりも難しい。

 

 

まあ、私たちは
孫さんのような大富豪ではありませんが、

それでも、

お金を増やすより、
お金を使っていくことの難しさは、
多少なりとも感じているのでは?

 

 

 

 

では、どうして
お金を増やすより、お金を使うことのほうが難しいのでしょうか。

 

それは、

お金の増やし方は普遍的(でも)お金の使い方は個別的。

 

だからです。

 

 

今はネット社会ですので、
お金の増やし方のレシピは
情報を注意深く拾っていけば、体系的に取得することが可能です。

 

 

そのレシピとは?

 

支出をコントロールし、
一定率の貯蓄を続け、その中の一定割合で積立投資を実施し、
投資の『ルール』として長期・分散・低コストを心掛け、それを継続させる。

 

 

上記を真似ることが、資産を増やす近道であると、あなたもわたしも薄々感じているわけです。

 

 

そういう意味で、
お金を増やすことは『普遍的』です。

 

 

 

 

また、お金を増やす行為では、
その成果が『数字』という具体的事象で確認できます。

誰しも『数字』が増えていけば嬉しいですし、投資の励みにもなります。

 

 

いっぽうリスク資産(投資信託)を解約すること、
その売却代金を使っていくことは
極めて『個人的な行い』です。

 

 

そもそも、
何に、どの程度のお金を使うかに、正解、不正解などありません。

「よい・悪い」という物差しも存在しません。

 

お金を使うことの成果は・・? 

あなたの心の中で発露します。

 

お金を使うこと、
それを何に用いるかは、まさにあなたの本性を現す行為なのです。

 

 

 

 

 

わたしはお金の相談業を続ける中で、

65歳になっても70歳になっても、

 

どうして人は
普遍行為である「お金を増やす」に執着するのだろうか?と、ずっと疑問に思ってきました。

 

 

その理由は(すでに)解けています。

 

その理由は・・、

 

お金を増やすを続けるほうが、
お金を使うことより「楽」だからです。

 

 

できることなら、

資産をどのように取り崩し、
そのお金を何に使うのか。
そんな『命題』と向き合うのは避けていたいと、

 

(あなたも)どこかで思っていませんか?

 

 

 

 

実は、お金を増やすに長けた人ほど、
お金を使うのが不得手なのです。

 

人生って難しい。。

 

 

 

ここから少し「脱線」します。

・・以下、あくまで「フィクション」です。・・

 

 

最初、
握りこぶし程度の勇気を振り絞って、
ほんとうに決死の思いで月1万円の積立投資を始めた人がいます。
その人は
「自分が老後に入った時に、
お金のことばかり気にする生活だけはしたくない!」
ということで、投資を始めたのでした。
お仕事も懸命にこなして、
「入金力」×「利回り」×「投資期間」という
お金の増え方の公式もよく理解されて、
20年以上に渡って
積立投資(拡大つみたても含む)を続けてきました。

 

 

 

 

ところが、
いつの間にか「積立投資」を続けること、
お金を増やす行為そのものが目的化してしまい、
資産をどのように取り崩し、そのお金を何に使って行くのかという『命題』を避けてきたのです。
リタイア時には、
これまでの運用資産と預金と退職金を合わせて、資産が1億円近くになっていました。
それでも基本、
公的年金の中で生活しようと心掛け、リスク資産(投資信託)も保有し続けたままで、お金を使うという『命題』を先送りにしていると、
69歳時に、
親から資産を相続することに・・・。

 

 

 

 

 

その後、居住する都内のマンション評価額も順調に推移したため、今、この人は78歳になって、別の心配をし始めています。
(持ち家を含めた)総資産が2億円を超えて、
相続税の心配をしなければならなくなっているのです。

 

 

というような事例を、

 

わたしは実際
数多く拝見しています。

 

 

つまり、

人生のあるポイントで、
「増やす人」から「用いる人」にシフトしないと、

資産の自律的「成長ベクトル」はそのままであり、

 

 

そして資産が増えれば、
年を重ねる中で
相続税という別の『悩みのタネ』を抱えることになってしまうわけです。

 

 

一度、深呼吸してみましょう。

 

 

 

私たちは限りある人生を歩んでいます。

 

人生の『時間』 は?

一方向に逓減していくのみです。
やがて「ゼロ」になります。

 

いっぽう、
人生における『お金』は?

 

若い頃には少なく、
壮年、老年にかけて増え続け、

多くの人が「それなりのお金」を遺したままで、時間「ゼロ」になってサヨナラ?

 

んー、これでは
『時間』と『お金』のバランスが取れていません。

 

 

 

 

人生のある段階で
「増やす人」から「用いる人」にシフトしないと、

時間が「ゼロ」に近づく中、
お金も「ニアリーゼロ」に近づけることは不可能になります。

 

まさに、
自分が『お金』に対して別人格といえるほどの 変身 を遂げないと、

いつまでも己の資産を後生大事に飾って、
「数字」だけを心の拠り所にする人になってしまいます。

 

 

よくお客様から、

 

資産を取り崩し、お金を使っていくことが不安です。わたしに出来るでしょうか?

 

というお声をいただきます。

 

もちろん出来ます。

 

 

少しだけ後ろを振り返ってみましょう。

 

あなたもわたしも、
つみたて投資を始めた当初は、
右も左も分からず、「お金を増やす」という行為に胸いっぱいの『不安』を抱えていたはずです。

 

それは『未経験のコト』だったためです。

 

 

 

 

資産を取り崩し、お金を使っていくことも、
最初は『未・経験』ですが、

恐る恐る始め、続けてみることで『経験済みのコト』となります。

 

あなたなら、出来ます!

 

 

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