投資家の感情リスク

カンさん。老後に向けて「投資信託」を1本化するのがいちばん難しいのですが・・

2023年4月22日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

今日の標題は
日頃、相談者さまが吐露されている本音です。

 

カンさん。老後に向けて「投資信託」を1本化するのが難しいです

 

たしかにそうだと思います。

 

ファンドを『1本化』するとは一体どういうことでしょう?

 

「お片付け術」的にいえば、

他の投資信託などを
すべて手放すということ。

 

 

 

 

 

仮に投資信託が16本あって、

その16本全部を、
たとえば「楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)」などに乗り換えるとすると、

 

ほんとうに16本のファンドを
全部売却するわけです。

 

まさに
大量のモノを「手放す」わけです。

 

この「手放す」は、
理屈では(正しいと)分かっていても、心情的になかなか難しいものです。

 

 

まず、
1本1本の投資信託には「歴史」があります。

 

あなたとの、歴史ですよ。

 

 

『このファンドを買おう』と思った経緯や、実際に買っていった『プロセス』や、ファンド価格が上がったり下がったりしたこと、その値動きをたびたび『チェック』したこと。

 

あなたのリビングに鎮座する物と同じように、
多少の「愛着」すら湧いているかもしれません。

 

 

 

 

家の中のモノも同じですね。

 

室内を見回してみて、
雑多なモノがなぜ手放せないかというと、

「これはまだ使えるかも・・」
「あれもいつか使うかも・・」と、

 

希望観測的に、そのモノが自分に役立つかもしれないという『可能性』に賭けてしまっているためです。

 

 

「これはまだ使えるかも・・」

 

この言葉が意図しているのは、

〇 機能的に、そのモノがまだ使用できるかもしれない
〇 そのモノを使う機会が、また来るかもしれない

ということです。

 

でも、今は?

 

今は(それを)『使っていない』わけで。

 

 

 

 

「あれもいつか使うかも・・」が意図するのも、

〇 そのモノを使う機会が、来るかもしれない

ということ。

 

でも今は?

今は『使っていない』わけで・・。

(もしかすると一度も使ったことがないのかもしれません。)

 

 

 

リビングやダイニングを見まわしてみて、
あなたにとって『必要なモノ』とは?

 

シンプルに、
今、実際に『使っているモノ』です。

 

使っていないモノは?

手放してよいのです。

 

 

こんなふうに生活上のモノなら、
話は分かりやすいのですが、

『投資信託』の場合、話はそんなに単純ではありません。

 

 

 

Bファンド
Eファンド
Gファンド
Hファンド
Rファンド
Sファンド

 

上記いずれのファンドも、
実際「使っている」= 保持している状態であり、

 

上記いずれのファンドも、

もう少し持っていれば、
それなりに価格が上がる可能性がある・・

 

つまり、
モノとして「効用」が発揮される可能性がある。

これはれっきとした「事実」なのです。

 

 

誰にも、
「Hファンドはもう二度と価格は上がらないよ。」なんて言い切れませんから。

 

 

さらに、
投資信託をたとえ28本持っていても、
それはモノとしてかさばったりしません。

 

物理的な圧迫感を与えたり、
物理的空間を奪われたりすることもありません。

(すべてはデジタル空間で保有されているため)

 

なので、
余計にファンドを手放すことが難しいのです。

 

 

 

 

でも、です。

実際、投資信託を28本持っていて、
それらファンドが一応「機能している」といっても、

 

あなた自身が『使っていたい』(=持ち続けたい)と思っているファンドって、果たして何本あるのでしょうか。

 

そもそも、
なのですが、

 

投資信託を28本も持っていると、
「焦点」がぼやけてしまいませんか?

 

 

 

 

たくさんの、
さまざまなファンドを保有すると、

 

あれ?
ワタシって、どんな投資を目指していたんだっけ。

 

というふうに

物事の本質が見失われて、
『投資の迷子』状態になってしまうのです。

 

悪く言えば、
「方向性のない」
「どっち付かずの」資産運用になってしまいます。

それでもよいのですか?

 

 

カウンセリング上での経験で申し上げると、

 

ファンドの数が増えてしまうことで、
あなたは『投資の迷子』になってしまうのです。

 

 

 

 

最初の1本目、2本目のファンドを購入した当時を思い出してみましょう。

 

あなたはガツガツした
リスクを大きく負う投資を目指していたのか。

 

それとも
ゆっくり慌てず、少しずつリスクに慣れていく投資を目指していましたか?

 

どちらでしたか?

 

 

 

例えば私から「どの投資信託を持ちたいですか?」なんていきなり聞かれても、「そんなの分からないよ」となってしまいますよね。

 

 

それはそうです。
どの投資信託を持つかは「結果」に過ぎないからです。

 

 

 

 

 

まずは、
あなたが投資に【何を】望んでいるのか?

 

・大きなリスクなのか(大きなリターンなのか)
・小さなリスクなのか(小さなリターンなのか)

 

 

・コスト最小の戦略なのか
・コストはあまり気にしないのか

 

 

 

・なるだけ具体的な投資対象にフォーカスしたいのか
・なるだけ広範囲に散らして投資をしたいのか

 

 

ちょっと硬い言葉でいえば、
自分にふさわしい投資のあり方(ポリシー)みたいなものを、フローチャート的に押し進めて、

 

ある程度明確にすることが、
投資の『スリム化』の近道なのかもしれません。

 

 

自分にふさわしい投資のあり方(ポリシー)を明らかにする。
⇒ それが出来れば、それに沿った道具のみを持つ。

 

あとはすべて手放してよいのです。

 

 

 

 

 

単純に考えてみましょう。

 

 

ファンド「16本」を持つ状況と、
ぎゅっとスリム化して「1本、2本のファンドのみ」を持つ状況、
どちらのほうが
効率的な資産管理がしやすいでしょうか?

 

後者ですよね。

 

 

投資の管理をシンプルにして楽になりたくないですか?

 

YESですよね。

 

 

今の、乱雑な金融商品の保有状況は、あなたの『心の中』を映しているのです。

 

 

 

 

資産の管理をもっとシンプルにして、より遠くの『本質』を見渡せるようにしましょう。

 

 

 

 

それによって、
投資で抱えるストレスが少なくなり、

ストレスが少なくなれば、
『同じ姿勢』でより長く投資が続けやすくなります。

 

(それに将来ファンドを取り崩す際もラクです。)

 

ファンドを『スリム』したい!
と言い切りましょう。

 


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