SBI証券が野村證券を追い抜く日が来る?(預り資産残高ベースにおいて)
2023年4月13日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
わたしは「預り資産残高ベース」において、
SBI証券が
野村證券を追い抜く日が(遠からず)やってくると考えています。
その理由はシンプルに・・、
『相続の発生』です。
ここでは分かりやすく、
90歳(被相続人)→ 60歳(相続人)をケースとします。
〇 90歳の被相続人は野村證券の「口座保有者」です。
今、2023年ですが、
あなたは2033年に60歳になる人のことを考えた事がありますか?
10年後、2033年に「60歳」になるわけです。
・・以下、少々不謹慎な例え話で恐縮です。・・
2033年、あなたの親御さんが90歳でお亡くなりになり、
野村證券で株式や投資信託を遺されました。
一般的に『相続』が発生すると、
「被相続人」が口座を有する証券会社が、
そこで株式や投資信託の『名義』が変更されます。
つまり、2033年 60歳のあなたも、
野村證券に口座を開き、
そこで親御さんの株式や投資信託を引き継ぐことになります。
今から20年前、
2003年に60歳だった相続人は「YES」の人が圧倒的に多かったでしょう。
2003年に60歳だった人は、
「ウインドウズ95」が発売された1995年当時、すでに52歳であり『ネット世代』とは言い難かったためです。
店舗型証券会社に対する信頼度も今よりずっと高かったはず。
ところが、
2033年に60歳になるあなたは、
「ウインドウズ95」が発売された1995年当時、22歳でした。
ネット環境に囲まれて育ったわけです。
野村證券で株式、投資信託を引き継いだとしても、
自身が保有するネット証券に
『口座移管』できるものは行い、
出来ない投信については売却をして、
その資産をネット証券に移すということを、投資家的マインドでフツーに行うのではないでしょうか?
仮に、です。
2033年 60歳になる10人のうち、
5人が野村證券から資産を引き上げるとします。
10年下って2043年に60歳になる10人のうち、
6人、7人程度が
野村證券から資産を引き上げても全く不思議ではありません。
つまり、
時代が下れば下るほど、
『相続人』にとって
店舗型証券会社(野村證券)への評価は低くなり、
そのまま、そこに資産を置いておく可能性が低くなっていくのではないでしょうか。
この『変遷』は単純に、
【資産運用のオンライン化】という、
大きな時代の流れを汲み取らず、それに対応することを怠ったために起こる帰結なのです。
次に、
SBI証券と野村證券の「客観情報」を比較してみましょう。
SBI証券は既に口座数1000万口座(グループ会社含む)に達しています。
一方、
野村證券の口座数は536万口座程度。
『口座数』だけを見れば、
ネット証券のほうが優勢に見えますが、実態は異なります。
一顧客、すなわち
1つの口座あたりの『預り資産残高』が全く違うためです。
画像元:資本市場研究会『急速に変わる証券ビジネス』
ご覧いただくとお分かりの通り、
1口座あたりの預り資産額では
野村證券はSBI証券の10倍近くあります。
その理由は?
野村證券の顧客は
圧倒的に年配の人が多いからでしょう。
これは個人的な推察ですが、
おそらく野村證券顧客の平均年齢は70歳を超えていると思われます。
以下、ざっくりした計算です。
SBI証券(グループ会社含む)は
野村證券の倍の口座数を誇るが、
1口座あたりの資産額はおよそ1/10
従って、
SBI証券の預かり資産額の
およそ「5倍」を、野村證券は有している。ということになります。
実際、そのような数字となっています。
(2022年9月末。ただしハイブリッド預金分を含む)
最後に、SBI証券の逆転は遠からず起きるでしょうが、ネット証券自体も実は問題を抱えています。
それはネット証券顧客の高齢化なのです。
〇 関連記事『ネット証券の高齢化問題』
カテゴリ:金融機関にモノ申す