忘れてはいけない!投資信託の構造、基本の「き」とは?
2023年3月16日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
忙しい毎日を過ごしていると、
私たちはとかく前提条件を忘れがちになります。
なぜ地球で
快適に暮らすことができるのか?
えっ!?
この距離のおかげで
暑過ぎず、寒過ぎず過ごせているわけです。
そして太陽の周りをまわる公転の速度の「絶妙感」のおかげ。
地球が回る速度が早過ぎると
振り落とされてしまいます。
私たちはとかく
「投資信託」と、
「自分自身」を、
分けて考えます。
投資信託という商品は『完成品』で
それを選ぶために、
私たちはYouTubeを観て
お勧めのファンドをメモしたり、
またSBI証券の
投資信託「販売金額」ランキング1~5位を見て、その中からファンドを選ぼうとしたりします。
ちょっと哲学的に云えば、
「あなた」はココにいて、
「ファンド」は向こうに在るわけです。
ホントにそうですか?
投資信託という商品の『構造』を想起してみましょう。
ファンドという箱(はこ)の『基本機能』は?
運用会社が司ります。
実は「ファンド保有者のお金」です。
運用会社や販売会社のお金ではないわけです。
「ファンド保有者のお金」は意思を持ちますから、それは「せっかち」であったり、あるいは「根気強かったり」、性格(キャラ)が異なるわけです。
「具体例」を挙げてみましょう。
ファンド価格が
10,000円から14,000円に上昇すれば、誰でも嬉しいもの。
ファンドの成績は「1.4倍」です。
※分配金はないものとします。
その3年の中で、
ファンド保有者の一部が
途中で売ってしまったり、
また、1年くらい経って
一時的にファンド価格が15,000円まで上昇した際、
これはチャンスだ!と
勢いに任せて買い増ししたり、
あるいは逆に
11,000円までファンド価格が急落した瞬間に、
手持ちのファンド資産を半分くらい売ってしまう「ファンド保有者」が続出すると、一体どうなるでしょうか?
3年間のトータルで見た場合、
ファンドそのものの成績は「1.4倍」ですが、
ファンド保有者の成績は、
例えば「1.1倍」くらいに留まったりします。
これが投資信託の「摩訶不思議」なところでしょう。
例えば
16年という長期で見て、
ファンドの成績が約「2倍」になっているとしましょう。
ところが
ファンド保有者の成績は「2倍」以上となり、ファンドそのものの成績を上回っているのです(設定来で見た場合。)
よーく考えてみますと、
投資信託の価格は
10,000円から20,000円に、一直線に上がるわけではありません。
山あり谷ありで、
途中大きく『価格』が下がったりもします。
もしもファンド保有者の多くが
「積立投資」を実践していて、
かつ長期でそのファンドを持ち続ければ、
大きく価格が下がった際には
結果として(同じ積立金額でも)
多くの口数を購入できることになり、
それが積み重なると、
投資信託そのものの成績より、
ファンド保有者の成績が良くなる・・。
例えば、
「セゾン・グローバルバランスファンド」がそうです。
画像元:モーニングスター
当該ファンドは
設定(運用開始)から16年が経過しています。
その『設定来』で見ると、
ほんとうに
投資信託そのものの成績より、ファンド保有者(投資家)の成績が上回っているのです。
※上図の右端です。
投信の世界では
ファンドそのものの成績を「トータルリターン」、
ファンド保有者の成績を「インベスターリターン」と呼びます。
「インベスターリターン」が大きく劣るファンドは、残念ながらファンド保有者の質が高いとはいえません。
たとえ運用会社の『運用力』が優れていても、
ファンド保有者の「せっかちさ」
「根気のなさ」が、
運用の足を引っ張ってしまうのです。
以下は「ひふみプラス」の図表です。
画像元:モーニングスター
「ひふみプラス」と「ひふみ投信」の中身は同じです。
「ひふみ投信」が直販のファンドであるのに対し、
「ひふみプラス」は銀行や証券会社を通じて販売されるファンドです。
(11年前に産声を上げました。)
(ひふみプラスは)「インベスターリターン」の相対的な低さが目立ちます(上図、10年来、設定来の数字のところ。)
ファンド保有者の「せっかちさ」「根気のなさ」が透けて見えてきます。
逆のケースを想起してみましょう。
ファンド保有者が「我慢強い」と、
ファンド価格が下がっても解約があまり起きず、
逆に大きく下落した際など資金流入が増して、苦しい時に運用会社の『運用力』をかえって補強してくれたりもします。
冒頭、
「あなた」はココにいて、
「ファンド」は向こうに在る。
という言い方をしましたが、
「あなた」が
「ファンド」の
ファンド保有者とはそういうもの。
結局、投資信託の『運用力』『運用の効率性』は、
そのファンド保有者の「質」によって良くも悪くもなるのです。
別の視点から言えば、
あなたが投資信託を『評価』する際に、
その成績や、純資産額や、コストの低さだけを見るのでなく、
そのためには、
モーニングスター(3月末より「ウエルスアドバイザーと改名」)の、『インベスターリターン』と『トータルリターン』の比較グラフは必見なのです。
Twitter(スペース)でもこの話題についてお喋りしています。
今日は「インベスターリターン」と投信の「トータルリターン」についてお話します(^^)https://t.co/BLXoJvDnqz
— カン・チュンド@インデックス投資アドバイザー🙋♂️ (@4649kang) March 11, 2023