「海外で働くことに!」その時iDeCo、つみたてNISAはどうなるの?
2023年2月24日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
あなたの周りでも、
海外で働いた経験がある友人、知人の方がおられるのでは。
(今どき、ぜんぜん珍しいことではありません。)
まずiDeCo(個人型の確定拠出年金)ですが、
こちらは「公的年金」に準ずる年金制度です。
もし、あなたが海外で働くことになったら、
以下、2つのパターンに分かれると覚えておきましょう。
今、働いている日本の会社で「雇用関係」が継続し、
日本の厚生年金に加入し続けるパターンです。
このケースだと、iDeCoの掛金拠出を続け、
もちろん運用も続けることができます。
このケースでは基本、iDeCoでの掛金拠出は出来なくなります。
ただし、
2022年5月より、
「国民年金」に任意加入するケースであれば、
iDeCoに引き続き加入(掛金拠出も)できるようになりました。
以下動画に詳しいです。
なお、2.で、国民年金に任意加入しない場合は、
iDeCoからの脱退という事は出来ませんから、
届け出を行い「運用指図者」として、
既存の積立資産の運用を継続することになります。
※「運用指図者」とは掛金の拠出を行わないiDeCo加入者のこと。
では「運用指図者」となった場合は?
掛金の拠出がありませんから、「口座維持のための手数料」のうち、国民年金基金連合会に支払う月105円はもう支払う必要がありません。
(もちろん、iDeCoの窓口となる金融機関が独自の管理手数料を設定している場合は、それも支払い続ける必要があります。)
次につみたてNISAです。
「つみたてNISA」では2019年4月1日から、
5年以内の海外転出なら
継続して「つみたてNISA」が利用できるようになりました。
ただし、海外に転出している間は「つみたて」そのものは出来ません。
(口座の維持が可能になったということです。)
画像元:
平成31年度税制改正の大綱における金融庁関係の主要項目について
(1)NISA等の利便性の向上・充実より
(実は以前は海外に転出し日本の非居住者になると、NISA口座自体がクローズされ、『課税口座』に移されていました。)
海外転出の前に金融機関に「継続適用届出書」を提出する必要があります。
この「継続適用届出書」を提出した日から、
ふたたび「つみたてNISA」で掛金の拠出が可能になります。
と云っても、
実際「つみたてNISA」で掛金拠出が出来るのは本年(2023年)が最後になります。
あなたの関心は
24年から始める「シンNISA」にあるのではないでしょうか。
日本の『非居住者』になった場合の扱いについては、
「つみたてNISA」と同じ扱いになる可能性が高いでしょう。
このように見てきますと、iDeCo、NISA制度とも、海外で働くことになるあなたに対して、少しずつではありますが、制度の柔軟性を高める方向には動いています。
「あなたのキャリアプラン」そのものを尊重しているとは(とても)言えません。
あなたがこれから、
どこで、どんな会社に就職するとか、
海外での生活が計何年くらいになるとか、
はたまた、居住する国が1ヶ国になるのか3ヶ国になるのか、それはあなたが懸命に生きていく途上で随時(偶然に)決まっていくことです。
あらかじめ「スケジュール表」のように人生が進むわけではありません。
そう考えますと、
〇 海外に複数回行く可能性が高い
〇 現地の法人と長い雇用関係になる可能性が高い
〇 海外に居住する年数そのものが長期になる可能性が高い人には、
iDeCoもつみたてNISAも、実際的にはお勧め出来る制度とは言い難いです。
上記のような場合は、発想転換をして、海外の『ETF』で資産運用を行っていくほうが柔軟性に富むといえるかもしれません。
参照記事:「投資信託よりETFが有利になる個人的状況とは?」
カテゴリ:NISA活用法, 確定拠出年金(iDeCo・企業型)