NISA活用法

シンNISAを「アメ」とするなら、「ムチ」は増税、各種控除の削減という形でいずれやって来る?

2023年2月23日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

新しいNISA制度の概要は
金融庁の人も「満額回答」と述べているほど、
素晴らしい内容です。

しかし、私たちは単純に「やったー!」と
喜んでよいのでしょうか。

 

税に関する政策の
グランドデザインを描くのは財務省です。

その青写真を俯瞰した場合、
「アメ」と「ムチ」両方が存在すると思っておいたほうがよいのでは。

 

 

 

 

 

もちろん、
シンNISAは「アメの部分」に当たります。

 

ここから私見になりますが、

わたしには以下のような
課税当局の主張が聞こえてくるのです。

 

 

―シンNISAの「非課税枠」は思い切って確保しました。
その一方で
財政状況にはたいへん厳しいものがあります。
各種財源の確保も重要であるため、
株式、投資信託等を売却した際の、
譲渡益に対する「税率」を遠くない将来、引き上げさせてもらいます。―

 

そういう意図を感じます。

 

 

 

 

より細かく云えば、

預貯金の利息、債券の利息、
株式の配当金、投資信託の分配金などを含めた「該当税率」を、

今の20.315%から、
いずれは25%や30%に引き上げる・・という意図です。

これが「ムチの部分」です。

 

 

前述したように、
『アメとムチを合わせて政策の整合性を取る』と考えれば、

課税当局には
「増税」を行うための大義名分が必要になります。

 

それは次のようなものと想像します。

 

―シンNISAでは
一人当たり「1800万円」の生涯投資枠を確保しました。
ご夫婦(二人)なら1800万円×お二人 となります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)の税制優遇と合わせて、
(こちらは管轄が厚労省ですが、)
これら制度をしっかり活用すれば、
一般生活者にとっての
老後の資金問題はおおよそ解決の道筋が見えてくるのではないでしょうか。

 

 

 

 

仮に上記税制優遇以外の部分で、
例えば株式、投資信託等の売却益に対する『課税』を強化したとしても、
それは一般投資家の根幹部分に対する負担増というより、
一定以上の金融資産を有する、
『富裕層』に対する税率の引き上げに当てはまると考えます。―

 

というような「大義名分」です。

 

 

もちろん、
実際「増税」を実施するには大きなハードルがあります。

 

負担を増やす(増税)よりも、
負担軽減の前提となっている
各種「控除」を縮小させる政策のほうが先行しやすいかもしれません。

(例えば、退職所得控除の縮小や、生命保険料控除の廃止などが当てはまります。)

 

 

 

 

話をシンNISAそのものに戻しましょう。

わたしは、

 

特定口座でおよそ500~1000万円以上リスク資産をお持ちで、シンNISA後の運用期間が10年を超える人であれば、
非課税のメリットを優先させ、
特定口座からシンNISA口座に資産を『お引っ越し』されることをお勧めします。

 

 

その理由はシンプルです。

長期的に見て、
金融資産への課税強化は不可避と考えるなら、

シンNISAの「非課税」のメリットは(私たちが思う以上に)大きくなるためです。

 

以下動画でも「シンNISA」を解説しています。

 

 

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