運用管理費用より、ファンドの『総経費率』と言われたほうがスッキリします
2023年2月13日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
ファンドを保有することでかかってくる
「継続コスト」は
一般に『運用管理費用』と呼ばれます。
もう少し『広い概念』で
けいぞくコストを捉えているのです。
??
いわゆる『年間けいぞくコスト』のことを、
アメリカの投資信託では「総経費率」
Expense Ratio と呼びます。
<具体例>
1963年から運用を続けている
あの有名な
『フィデリティ・マゼラン・ファンド』の基本情報では、
Exp Ratio ↑↑ (Gross) 0.68%
5/28/2022
と記載されていますね。
これが
年間の「総経費率」のことです。
「けいぞくコストって、いくらかかってるの?」と聞かれれば、この『総経費率』(Expense Ratio)を指します。
日本でいう「運用管理費用」だけでなく、
「監査費用」「有価証券の保管費用」など『その他費用』も含まれているのが特徴です。
ちょっと待って!
『その他費用』って一体なに?
ハイ、『その他費用』とは、
・ファンドが組入れる有価証券の保管費用や、
・ファンドが監査法人に支払う監査費用のことを指します。
『運用管理費用』の % を示すだけより、
より広範な「けいぞくコスト」として、
『総経費率』を 年〇% で示してくれたほうが親切ですね!
(ということで)
実は日本の投資信託でも
けいぞくコストの「開示基準」が変わるようです。
上記記事によると、
投資信託協会が
投資信託説明書(交付の目論見書)作成に関する規則を改正して、
2024年4月から
投資信託に『総経費率』の記載を求めるとのこと。
これは朗報でしょう。
ファンド保有者に、
よりフレンドリーな方向に規則が変更されるわけですね。
日経新聞の記事では、
規則改正に先立って、
三菱UFJ国際投信が本年1月から
まずは「三菱UFJ Jリートオープン」というファンドの目論見書で、「総経費率」の記載を始めていると伝えています。
まあ欲を言えば、
目論見書、運用報告書、月次レポートだけでなく、
運用会社サイトの
該当投資信託の「紹介ページ」でも、
「保管費用」「監査費用」などを細則として記載。
というふうに、
継続コストの明示のしかたを『共通化』して欲しいものです。
上述の記事から「引用」してみましょう。
「三菱UFJ Jリートオープン」では総経費率を1.10%、その内訳として「運用管理費用(信託報酬)」を1.10%、「その他費用」を0.00%と表記した。
注記では総経費率には売買委託手数料や有価証券取引税などが含まれていない旨や、それら以外のコストの有無についても言及した。
ハイ、ここまで網羅的に記してくれると安心です。
上述したわたしの「提案」の補足です。
投資信託の情報開示の『ひな型』!
「保管費用」「監査費用」などを細則として記載。
「売買委託手数料」や「有価証券取引税」や、
指数算出会社への「ライセンスフィー」などのコストも付記。
このような「共通ルール」を設けてくれれば、
ファンド間の相互比較も容易になります。 ← ココ、大事。
そして、
AプラスBとして、ファンドの「年間トータルコスト」という概念も導入すべきでしょう。
私たちのほうでも、
単にファンドの運用管理費用(信託報酬)を見るのではなく、
『総経費率』あるいは
「トータルコスト」で、
ファンドのコスト水準を見るクセを身に付けたいものです。
カテゴリ:投資信託あれこれ