NISA活用法, リタイアメント・資産の取り崩し

シンNISA開始後も書籍「つみたて投資の終わり方」の考え方は有効ですか? ハイ、有効です。

2023年2月1日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

拙著「つみたて投資の終わり方」でお伝えしたかった事を要約すると、次の三行になります。

 

 

シンプルですね(^^)

 

 

ところで来年(24年)から
『シンNISA制度』が始まるに当たり、複数のお客様から、

 

「つみたて投資の終わり方」で書いてある内容に 変更 はないですか?というお問い合わせをいただいています。

 

変更はありません!

 

 

 

 

〇 安全資産とリスク資産に分ける
(できれば「割合」で両者を把握しましょう)
〇 リタイアまでにリスク資産を「一本化」する
〇 安全資産とリスク資産の『比率』を保つ
〇 リタイア後は年に一度、
安全資産とリスク資産の『比率』を元に戻しながら、トータル資産から資金を取り崩す

 

上記拙著の骨子はなんら変わることはありません。

 

 

以下は『シンNISA』導入を見据えた、
リタイアまでに5~10年程度「余裕」がある人に向けた具体的な『アドバイス』です。

 

1.これまで「つみたてNISA」をやってきた人は、
つみたてNISA内で保有するファンド資産はそのまま持ち続けましょう。

 

 

2.逆に「一般NISA」で保有するファンドは、
『シンNISA』に乗り換える原資としましょう。

 

一般NISAの非課税期間の「5年満期」にはこだわり過ぎず、

 

24年 360万円
25年 360万円
26年 360万円
27年 360万円
28年 360万円

のシンNISAの「投資枠」を、迅速に埋めていくことを優先させましょう。

 

 

 

 

3.2を実施後、
『シンNISA』の投資枠が余っていれば、
特定口座のファンドをシンNISAに乗り換えることで枠を埋めましょう。

 

 

4.シンNISAの枠が埋まれば、特定口座で保有する残りのファンドは、そのまま持ち続けます。

 

 

2~4を実践する過程で、

―つまりはリタイア直前の安全資産:リスク資産の「骨太比率」を作る過程で、―

 

シンNISAにも回さず、
特定口座でも持たず、(特定口座内で)ただ売却するファンド資産も発生するかもしれません。

(それはリスク資産の比率を下げるためですね。)

 

 

 

 

 

以下、大まかなイメージですが、

『シンNISA』導入後、
2030年~2035年頃にリタイアを迎える人は、

かつ運用資産が概ね3000万円を超えるような人は、

 

・特定口座
・つみたてNISA
・シンNISAの 『各口座』で、

 

インデックスファンドを保有している可能性が高いでしょう。

 

 

取り崩し作業の簡便性を重視すれば、

「つみたてNISA」で保有するインデックスファンド
「シンNISA」で保有するインデックスファンド
「特定口座」で保有するインデックスファンド を

リタイア前に、
すべて『同じファンド』で揃えておくのが望ましいです。

 

 

例えばそれが
「オルカン」(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)だとしましょう。

 

 

さて、いよいよ、

 

〇 リタイア後、年に一度、
安全資産とリスク資産の『比率』を元に戻しながら、トータル資産から資金を取り崩す「作業」です。

 

 

 

 

 

骨太比率が仮に
安全資産:リスク資産(オルカン)= 50:50 で、

その後リスク資産が順調に増えた1年となり、
安全資産:リスク資産(オルカン)= 45:55 に変化したとします。
※「トータル資産」も膨らみました。

 

ここでは具体例として、それが2031年だったとしましょう。

 

 

これを、
安全資産:リスク資産(オルカン)= 50:50 に戻すため、「オルカン」を多めに解約する必要がある場合、

 

さて、
「つみたてNISA」で保有するオルカン、
「シンNISA」で保有するオルカン、
「特定口座」で保有するオルカン、
どの『オルカン』から解約すべきでしょうか?

 

 

 

 

 

まずは消去法から。

 

シンNISAはいちばん新しい口座で、いちばん遅く資金を入れていますから、いちばん後から「解約」を始めるべきでしょう。

 

 

では「つみたてNISA」から解約する?

 

仮につみたてNISA初年度から積立を始めていたとしましょう。

すると、
各年の20年の『非課税期間の満期』は以下のようになります。

 

 

2018年 ⇒ 2037年末 → 特定口座に
2019年 ⇒ 2038年末   〃
2020年 ⇒ 2039年末   〃
2021年 ⇒ 2040年末   〃
2022年 ⇒ 2041年末   〃
2023年 ⇒ 2042年末   〃

 

今は2031年の設定ですから、つみたてNISAの非課税期間の満了までまだ余裕があります。

 

 

ですので、まずは
「特定口座」のオルカンから解約していきましょう。

 

 

 

 

 

売却益に対して『税金』がかかるのがもったいない気がしますが、まず優先すべきは、非課税口座の「非課税の恩恵」を、なるだけ長く受けることです。

 

もっと言えば、
つみたてNISAが非課税期間を終えて「特定口座」に移っても、

長期の運用によってファンド価格は上昇している可能性が高く、―すなわちつみたてNISA ⇒「特定口座」での取得価格はそこそこ高くなっている可能性が高く、―

 

つみたてNISAからの解約は、

もともと持っている「特定口座」でのファンド原資がなくなってから行ってもよいわけです。

 

 

〇 したがって基本は、『解約』の順序を、特定口座 ⇒ つみたてNISA ⇒ シンNISA と腹積もりしておきましょう。

 

※注 この辺りは、つみたてNISAでのファンド資産と、特定口座でのファンド資産の金額比率によっても正解が異なってくる可能性があります。

 

 

繰り返しになりますが、

取り崩し期において、
シンプル(かつ)一貫した姿勢で「取り崩しの作業」を続けるためには、

 

 

 

リタイア前に、

「つみたてNISA」で保有するインデックスファンドと
「シンNISA」で保有するインデックスファンドと
「特定口座」で保有するインデックスファンドを

おおよそ揃えておくことが重要になります。

 

 

カテゴリ:NISA活用法, リタイアメント・資産の取り崩し

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