指数のお話

時価総額加重平均型のインデックスは美しい?

2023年1月21日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

もしも、の話です。

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)のような、MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス』との連動を目指す投資信託が、

 

1989年の
ある時点で存在していたら、

そのときの組み入れ国「第一位」は?

 

・・日本でした。

 

「えっ、なんで?」

 

 

 

 

当時、日本の東京証券取引所が
世界でもっとも時価総額の大きな株式市場であったためです。
(ほんの一時期でしたが・・)

 

 

今現在(2022年12月末)の、

『MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)』の組入れ比率は、アメリカが1位で約60%となっています。日本は第2位ですが、その比率は約5.6%

 

この数字って、固定なの?

 

NOですね。

 

 

ちなみに2009年6月末時点では、

MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)には米国が約42%、日本が約10%組み入れられていました。

 

そう、

組入れ比率は、随時変わるのです。

 

 

『MSCI ACWI』は現在、組み入れ国47ヵ国、
(先進国23ヵ国+新興国24ヵ国)となっていますが、

左)World  先進国  右)Emerging Markets  新興国

 

 

 

この、国々の組入れそのものも無論変わります。

 

 

新興国だったイスラエルが先進国に格上げされたり、先進国だったギリシャが新興国に格下げされたり、パキスタンやレバノンが新興国から抜けてしまったり、まさに「栄枯盛衰」を繰り返しています。

 

株式の指数とは、
誰もが認める株式市場の『公式・平均値』のこと。

 

 

例えば
MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)では、

国ごとの「株式市場の大きさ」に比例して国ごとの組入れ比率が決まるため、

『MSCI ACWI』の構成比率は、
世界の株式市場の「勢力図」をそのまま縮小コピーしているようなものです。

 

 

 

 

誰の予測も存在しません。
誰の思惑もありません。

何の主観も忖度もなく、

ただ、目の前に広がる
マーケットの姿を直に映し出す鏡(かがみ)

それが、
【時価総額・加重平均】の考え方なのです。

 

 

以下、もっとわかりやすい具体例を。

昨年(2022年)は米国株式にとっては「悪い年」でした。

 

例えばS&P500指数において、
時価総額上位を占める大手テック企業の株価が軒並み暴落。。

 

 

 

これは?

 

これは、
株価指数(S&P500)という「公式・平均値」の構成比率が変わったことを意味します。

 

 

大手テック企業に比べて
株価の下落がマイルドであった、
あるいは株価が上昇した企業たちの、株価指数における「構成比率」は上昇しているはずです。

こうして、
市場内の『新陳代謝』が促されるわけです。

(もちろんS&P500指数も【時価総額・加重平均型】の指数。)

 

 

 

わたしは今よりもっと若い頃、
投資家が自ら国や地域の『組み入れ比率』を決められない、

広範な時価総額・加重平均型のインデックスが正直、あまり好きではありませんでした。

 

でも、今は
この考え方そのものに、
ある種の【哲学】を感じています。

 

冷めた視点で、
しかし隅々まで俯瞰している。

フェアであるだけでなく、
『洗練されている』
と言っていいかもしれません。

 

 

インデックス投資の原点である「平均点」の保有には、おそらく二つの意味があるのでしょう。

 

1.すべての銘柄(国)を保有する。

 

2.大きいものは大きく、
小さいモノは小さく保有する。

 

 

 

 

この「スタイル」を、
あなたはインデックスファンドを持ち続けるだけで貫徹できます。

 

意外に思われるかもしれませんが、
インデックス投資は【変化】に強い投資法なのです。

 

 

最後に、
わたしは今から20年後、

2043年1月末の
『MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス』の国別構成比率はどうなっているのだろう・・と、勝手に夢想して楽しんでいます(^^)

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