グラマーな投資信託、地味な投資信託(シンNISA「成長投資枠」を深掘りしてみる)
2023年1月13日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
来年になれば、
「シンNISA」が投資の代名詞のように語られ始め、
店舗を持った銀行、証券会社でも、
制度上、
シンNISAは
「つみたて投資枠」と「成長投資枠」に分かれます。
が、仮にあなたが
現行「つみたてNISA」に採用されているインデックスファンドを利用していれば、
下記「つみたて投資枠」と「成長投資枠」は『ワンセット』で捉えてOKです。
画像元:金融庁
なぜなら、
シンNISAの「つみたて投資枠」に採用されるファンドは、
現行「つみたてNISA」に採用されているファンドであり、
それらのファンドは ⇒「成長投資枠」でも投資可能となるためです。
年間360万円までの『投資枠』があるという理解でよいのです。
※一人当たりの生涯投資枠は1800万円。
わたしは『シンNISA』をきっかけに、
ひと言でいえば、
地味な投資信託が増えることでしょう。
今一度、
シンNISAの表の右側、
「成長投資枠」の投資信託の要件を確認してみましょう。
画像元:金融庁
〇 高レバレッジ型のファンドも除外。
〇 毎月分配型の投資信託も除外と明記されています。
わたしの解釈では、
・レバレッジ型のファンド、インバース型のファンド、
・毎月分配型のファンド等は、
まさに「グラマーな投資信託」であり、
ぱっと見は人々の目を引くものの、
過剰な装飾を施しており、
〇 運用期間を不必要に区切って「射幸心」を煽り、
〇 てこの原理(レバレッジ)で
もしかすると大きな利益が転がり込んでくる可能性のみを誇張し(大きな損失の可能性は過小宣伝し)、
あるいは、
〇 定期的な「お小遣い」が難なく入ってくると吹聴するような、
投資信託群を指すのです。
と思われる人がいるかもしれません。
『テーマ型ファンド』も、
グラマーな投資信託の典型ですが、
この種のファンドはたいてい信託期間が20年未満なのです。
(中には信託期間が「5年」だけ!というテーマ型ファンドもあります。これは裏を返せば、運用会社がテーマ型ファンドの賞味期限を重々承知している。という事実でもあります)
これら投資信託を
「シンNISA」の枠から外した意味は大きいと考えます。
ほんらい普通の生活者に、
グラマーな投資信託など必要ないためです。
たまにはお菓子でも食べながら、
「そもそも『なぜ』
投資信託という道具が生まれたのか?」
を考えてみませんか?
まだ、
個別の債券や個別の株式しかなかった時分。
投資は、大きな資金を持ち、
かつ、損失への許容度が大きな資本家(事業家)だけが参入できる『特殊なフィールド』だったのです。
いわば、
「一攫千金」か、一夜にして「資産を失うか」という究極の『ハイ・アンド・ローの世界』でした。
大きなお金がなくても『小口』で売り買いできる道具が欲しい!という生活者のニーズから生まれたのです。
(そもそも、)多くの銘柄に最初から分散投資していますから、一攫千金などないわけです。
また、多くの銘柄に深く分散しますから、
半年くらいで価格が高騰!ということもないわけで。
(結果、おのずと長期で持って育てていくスタイルになる。)
ファンドの運用会社の「意識改革」につながると考えます。
シンNISAの「成長投資枠」に当てはまる投信を作ろうとするのではなく、「つみたて投資枠」に当てはまる骨太のアクティブファンドを組成することが、今後の運用会社の生き残る道だとわたしは思います。
アクティブファンドあっての、インデックスファンド。