リタイアすると毎年『ファンド』を継続的に解約しないといけない?(実はそうでもないのです。)
2022年12月23日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
資産の取り崩し開始は、
あなたのマネープランニングの中で大きな転換点となります。
何しろお金を「増やす人」から、
「用いる人」に変身するわけですから。
『それ』が近づくと、
なんだかソワソワしてきます。
まるで歯医者さんに行く前日のよう・・。
歯の治療の典型的なイメージ。
それは精密なドリルのような機器で
自分の歯を削られることです。
・・分かっていても、身構えてしまうのです・・(汗)
資産の取り崩しも同様です。
仕事も辞めて
すでにリタイアして、
資産を取り崩して(そのお金を)使っていくのは当然のことと、頭では分かっていても、体が付いて来ません。
何しろ初めての経験ですから。
そのお客様は、
まさに資産の取り崩しに関して、
上のような『心配事』を口にされました。
お客様は
「赤字」で書いたホントに、の部分を、ほんとうに強調されていたのです。
わたしはそのお客様に、
ネット証券の『投資信託定期売却サービス』をお勧めするつもりだったため、「えっ?」と、不意打ちを突かれたようになりました。
「投資信託定期売却サービス」は、
リスク資産(投資信託)を自動売却してくれるサービスです。
通常運転時はたいへん便利なしくみです。
しかし万一暴落が起こっても、
自動的にファンドは売却されてしまいます。
これって・・
ファンド価格が大きく下がったときに、
ファンドを売ることであり、
= 含み損を「実現損」に変えてしまうことであり、資産の『毀損率』を高める結果になります。
この『問題点』を見過ごし、
わたしはそれまでのうのうとしていたのです。
(たいへん恥ずかしい話なのですが・・。)
反省。反省。
急落や暴落が起こった際には、
ファンド価格が下がった。→「含み損」が発生。→ ファンド売却によって、その「含み損」を『実現損』に変えてしまわないことが肝要!
『取崩し期』において、
ファンド価格が大きく下がった年は、
正々堂々と
安全資産(預金等)からのみ『取り崩し』を行うべきなのです。
これが当クリニックが提唱する
リタイア後の『取り崩し戦略』です。
文章にするとこうなります。
あなたが
リタイアを前にソワソワしてしまう理由。
それは、
これからは(どんな時も)
「リスク資産」を売っていかないといけない!と思い込んでいるためです。
繰り返しになりますが、
大きく下がった年は、リスク資産の売却は行いません。
リスク資産(投資信託)は売るべきではないのです。
を、
年に1回愚直に実行することで、
結果として・・、
リスク資産からの解約は「ゼロ」に。
なぜなら、
老後の資産管理を、
安全資産+リスク資産 =「トータル資産」で捉えるためです。← ココ、重要。
このあたりの機微、
特に『大暴落が起こったとき』の、
具体的なイメージは「動画」のほうが分かりやすいと思います。
タザキさんが以下動画にて、
7:10あたりから、
大暴落時の『取り崩し作業』の実態を、
「現金クッションを使うのです」という言葉とともに、噛み砕いて解説してくださっています。
【新刊】インデックスつみたて投資の取り崩し方!【FIRE後の現金クッションの使い方・出口戦略・高配当投資の弱点】
7:10あたりからですよ。
割合が減った『預金』にもお金を入れることになります。
なぜそうなるのか?
答えは至極シンプルで、
リタイア後の資金管理において、
安全資産(預金等)と
リスク資産(投資信託)の『割合』をキープすることを最優先するためです。
市場(マーケット)は毎年、
不規則なアップダウンを繰り返しますから、
その「不規則性」に合わせて、
あなたの資金を
「リスク資産」と「安全資産」の間で スイング させるのです。
まるで適温の『お湯』を作るように・・、
資産が増えた年は
リスク資産(熱湯)の蛇口を緩め、
安全資産(冷水)の蛇口は締めたまま。
逆に資産が減った年は、
安全資産(冷水)の蛇口を緩め、
リスク資産(熱湯)の蛇口は締めたままにします。
文章に↑記すと、
なんだかタイヘンな作業のように見えますが、
実際あなたがやることは、
リスク資産(投資信託)の『割合』を元に戻すだけ!
これこそ、
あなたの資産を長持ちさせる『戦略』と云えます。
また、間違っても、
「マイナスの年には、
資産の取り崩しは行わないほうがよい!」とは思わないこと。
毎年毎年「取り崩し」を行って、
生活費の一部を得ていくのはあなたの正当な権利です。
毎年『定率・取り崩し』を実践すれば、
マイナスの年には自然と
「取り崩し金額」は少なくなります。
※自動調整作用が働くのです。
上記「取り崩し戦略」を実践すれば、
資産が減った年は、
投資信託の解約は「ゼロ」。
預金からのみ多めに取り崩し、
その年の「取り崩し金額」を得ながら、
残りの資金を
価格が下がったファンドの『買い増し』に用いることになります。
いっぽう資産が増えた年は、
安全資産の取り崩しは「ゼロ」。
投資信託を多めに解約して、
その年の「取り崩し金額」を得ながら、
残りの資金を
割合が下がった預金の『買い増し』に用いることになります。
ん?これって・・、
投資信託が下がった年。→ ファンドを買い増し。
投資信託が上がった年。→ ファンドを多めに解約。
という「行動規範」です。
つまり、リスク資産が安くなった時に「買い」、
リスク資産が高くなれば多めに「売る」。
リタイア後の資産管理は超シンプルになりますが、
実は投資信託の売り・買いは連綿と続くのです。
最後に、
年に1回、
安全資産(預金等)と
リスク資産(投資信託)の『割合』を元に戻す(リ・バランス)って、計算とか大変そう!
と怖気づく必要はありません。
愚者小路さんがブログ記事内で、
『自動リ・バランスの計算シート』を作成してくださっています。
取崩し期に入った皆さまぜひご活用くださいませ。
カテゴリ:リタイアメント・資産の取り崩し