『その時、歴史は動いた!』インデックス投資の場合、それはいつだったのか?
2022年12月19日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
20年以上にわたり、
インデックス投資の盛衰を見ている者として、
『その時、歴史は動いた!』
という瞬間を、
わりと鮮明に言語化することができます。
それは2008年1月のことです。
当時の住信アセットマネジメント(運用会社)が、
「STAMインデックスシリーズ」(現SMTインデックスシリーズ)という、複数のインデックスファンドの運用を開始した時です。
画期的だったのは、
国・地域(日本・先進国・新興国)を分け、
資産の種類(株式・債券・REIT)を分け、
それぞれで該当する「インデックスファンド」を、網羅的に品揃えした点でしょう。
(当初REITのみ新興国はありませんでした)
真白いカンバスを前に、
自分なりの投資という絵を描きたいと願っているあなた。
「STAMインデックスシリーズ」こそが、
絵の具【インデックスファンドの種類】をはじめて揃えてくれたのです。
しかも、
〇 すべてのファンドが購入時手数料『ゼロ』
年0.6%台という運用管理費用の低さは画期的でした。
まさに、今日のインデックス投資の「土台」を築いてくれたといっても過言ではありません。
また、わたしが知る限り、
投資信託の継続コストである運用管理費用を『引き下げてくれた』、初めてのファンドでした。
「STAM グローバル株式インデックス・オープン」は、2010年7月に運用管理費用を引き下げています。
こんな努力をしてくれるファンドの作り手(運用会社)がホントに居るんだ!と、当時驚いたものです。
中国のことわざに、
「喝水不忘掘井人」という言葉があります。
井戸を掘ってくれた人を忘れてはならない。という意です。
2008年に
「STAMインデックスシリーズ」が誕生したからこそ、
eMAXIS Slimシリーズの前身である、
「eMAXIS シリーズ」が生まれました(2009年)
その後、2010年に
野村アセットマネジメントが
ファンズアイ(Funds-i)を立ち上げたり、
2013年に
ニッセイアセットマネジメントが
<購入・換金手数料なし>シリーズをスタートさせた遠因も、すべて「STAMシリーズ」の誕生にあります。
そして、それはもちろん、iDeCo制度の拡充や、NISA制度の創設や、2018年のつみたてNISA誕生にもつながっているのです。
最初に、井戸を掘った人なのです。
さらに興味深いのは、
インデックス投資において、良質な『道具』が登場したことで、積立投資の『インフラ』が整備されたこと。
ここに、
『ノーロード型インデックスファンド』と、『月1,000円からのつみたて』という、道具とインフラの融合が起こります。
相乗効果、ですね。
また、カブドットコム証券やマネックス証券は、
「銀行口座」からの口座引き落としによるファンド積立というサービスを先行させました。
「STAMインデックスシリーズ」の登場は
エポックメイクな出来事であるとわたしは思います。
が、
偉大な改革者が、
その後の、マーケットの牽引者になるとは限りません。
STAM(現SMTインデックスシリーズ)が逃した魚は、とてつもなく大きいとわたしは思うのです。
カテゴリ:インデックス投資全般