企業型DC、iDeCoの『定期預金』が(意外に?)役立つことがあります
2022年12月12日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
あなたが加入する企業型DCは?
企業型の確定拠出年金です。
あなたが加入するiDeCoは?
個人型の確定拠出年金。
どちらも『確定拠出年金』という法律のもとに存在する、兄弟的な制度です。
まずは企業型DCから。
多くの会社で『企業型DC』を導入する際、
旧来の確定給付(DB)年金制度から ⇒ 企業型DCへ、一足飛びに『完全移行!』という形は取っていません。
例えば、
〇 新・企業型DC制度 1/4
みたいに
「一次的」改正をまず導入して、
その後5~10年くらい経って、
このたび、
我が社では
確定給付(DB)年金制度の残りの部分も、全面的に企業型DC制度に『移行』することとしました!
みたいに発表するわけです。
そうすると、
あなたが実践する『企業型DC』という口座に、
大波がやってくることになります。
??
(そもそも)確定給付(DB)年金では、
会社が一定の利回りを約束して
従業員のために運用を行っているため、
各従業員ごとに「積み立ての原資(お金)」が割り当てられています。
そのお金が『移換金』として、
あなたの企業型DCの口座にどーんと入金されたりするのです。
※この場合『制度移換金』と云います。
少しずつ「移換金」を入金してくれる企業もありますが・・。
この、
まとまった金額ベースの『移換金』が入ってくる時が要注意。
ふつう、毎月の掛金で『配分の指定』を行って積立をしますが、その配分指定通りに、『移行金』が一度に、金融商品の購入に充てられてしまうケースがあります。
これを『共通配分指定』と呼びます。
これ、ちょっと怖いです。
そうではなく、
まず『移換金』を定期預金のみに100%移して、
そこから手動で、
投資信託に「積立投資」していくやり方も出来ます。
具体例を挙げてみましょう。
確定給付(DB)年金からの「移換金」が500万円あるとしましょう。
このとき、
「定期預金に100%」と、
あなた自身が配分指定を行います。
―これを『個別の配分指定』といいます。―
そうすると、
500万円のお金はいったん
『定期預金』を買い付けることになります。
『個別の配分指定』を選択することが大切!
その後は・・?
⇒ 毎月25万円「DC世界経済インデックスファンド」を買い付け。
自身で継続して20ヶ月行うことになります。
あっ、ここでは、↑
毎月企業DCで積み立てているファンドを「DC世界経済インデックスファンド」と仮定しています。
要は、純粋な毎月の掛金とは別に、
20ヵ月程度をかけて
自ら『資産の引っ越し作業』を行うわけです。
500万円の移換金がある場合に、
12.5万円×40ヶ月という積立を選ばれても構いません。
当クリニックが提唱するところの『拡大つみたて』と同じですね(この場合は「手動」ですが。)
次にiDeCoのお話をしましょう。
企業型DCがない会社に『転職』したとします。
この場合、
企業型DCで積み立てた資産はいったん「現金化」され、あなたのiDeCo口座に入金されることになります。
企業型DC ⇒ iDeCoのパターン
この場合も、
まとまった資金が「iDeCo口座」に入金されますね。
先ほどと理屈は同じ。
慌てず、
いったんは定期預金100%の形で保有し、
そこから分割で投資信託にシフトしていくほうが無難です。
あるいは、
これは、
パナソニックの「企業型DC」 ⇒ ソニーの「企業型DC」というお引っ越し。
要は、ある企業型DCから、別の企業型DCへの『移行』です。
前例と同じように、
パナソニック企業型DCで積み立てていた資産はいったん「現金化」され、ソニー企業型DCの口座に入金されます。
こちらも同じ理屈で、
いったん全額『定期預金』の形で保有し、そこから「拡大積立」のイメージで投資信託にシフトしていくことをお勧めします。
(※毎月の純粋な掛金とは別に、です)
上記いずれの場合も、
『定期預金』がクッションの役割を担い、
資金の移動をスムーズにしてくれるわけです。
確定拠出年金制度に「定期預金」があるのは、意外と便利なことなのです。
カテゴリ:確定拠出年金(iDeCo・企業型)