経済よもやま話

日本の財政危機を深めているのは、私たち自身?

2022年11月21日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

語弊があるといけないので、
最初に申し上げておきます。

今現在、
日本が「財政危機」に瀕しているわけではありません。

 

本年6月末現在で
国の借金は1250兆円を超えていますが、

これは「政府」の借金であって、
あなたやわたしの借金ではありません。

 

政府の借金は、
国民が直接返済したりする類のものではないのです。

 

 

 

 

政府は(具体的には)
「日本国債」を発行することで借金をしていますが、

 

その日本国債の保有者のおよそ『9割』は、
日本銀行や日本国内の金融機関、公的年金基金などであり「国内勢」がほとんどを占めます。
これらの貸し手は基本的に、満期まで国債を保有してくれる忍耐強い投資家なのです。

 

※ただ、国債の発行残高のうち、日本銀行が保有する比率がどんどん高くなっている状況は憂慮すべきでしょう。

 

 

ところで、
国内の銀行などが日本国債を購入するお金は、どこから出ているのでしょう?

 

〇 あなたやわたしが預けている預金です。

 

生命保険、損害保険会社も国債保有者のひとつですが、このお金はどこから出ているのでしょう?

 

〇 あなたやわたしが払っている保険料です。

 

 

 

 

 

つまり、
銀行預金や保険会社に預けている『膨大な資金』が存在するために、政府は借金できる元手を国内で豊富に確保できている、とも言えるわけです。

 

 

冒頭、国の借金は1250兆円超と申し上げました。

日銀の資金循環統計(速報)を見ると、

 

画像元:日本銀行 資金循環統計(速報) 参考図表(2022年第2四半期)

 

個人金融資産2007兆円のうち、

 

現金・預金で 1102兆円(54.9%)
保険で     382兆円(19%)

 

という割合になっています。

 

上記を足し算すると、1484兆円であり、
政府にお金を貸す『元手』が豊富にあることを裏付けています。

 

 

上記「日銀資金循環統計」は、

 

国民一人ひとりが、
どんな場所に、
どんなカタチでお金を置いているかというデータです。

 

そしてそれは、あなたの、
そしてわたしの『お金の話』でもあるわけです。

 

 

本当は、
あなたのお金をどこに置おこうが、

何に投資しようが
(投資はするまいが)

完全にあなたの【自由】であるはず・・。

 

 

 

 

 

地球上で、
2000兆円の個人金融資産を有する国はなかなかないのに、
かつ、そのお金は
地理的な制約を受けず、
たとえ2万キロ彼方の国の株式にも投資できるのに、
大きなお金の大半の部分が、国内で「現金・預金」や「保険商品」の中でくすぶっているという事実・・。

 

 

それは結果として、
国(政府)が豊富にある資金に甘えながら、

深い考察もなしに、
なし崩し的に借金を重ねる『体質』を生み出してしまっているのです。

 

政府と国民は共犯関係なのです。

 

 

一人ひとりの国民の
深慮の結果、

もしも仮に、

 

現金・預金で 400兆円(20%)
保険で    200兆円(10%)
投資信託で  300兆円(15%)
株式で    500兆円(25%)
というような、※個人金融資産を2000兆円と概算

 

 

資産の中身(ポートフォリオ)の【大変革】が起きれば、

政府は今と同じようには借金出来なくなるでしょう。

 

 

 

 

 

なぜなら、株式や投資信託の形で保有される資産は、
日本だけなく、世界中の株式、債券、その他有価証券で保有されるためです。

 

 

これは、日本政府にとって良いことなのでしょうか?

 

YES、でしょう。

 

 

借りられるお金が無限にはないことを悟れば、
ヒト、モノ、カネすべてにおいて
削るべきところは削る、
歳出の基本比率を抜本的に見直す、あるいは(歳入である)税の根本体系を再構築するというような「インセンティブ」が生まれるはずです。

 

そのためには、
結局のところ、

私たち自身が、
「さよなら、預貯金!」と言えるかどうか、なのです。

 

 

 

 

私たちは、
どうすればお金の潜在能力を
もっと引き出せるのかを深慮する必要があります。

(そして行動を起こす必要があります。)

 

あなたもわたしも
明確なNOを言ってこなかったために、

結果として未曽有の国債が発行され、
政府にも国民にも、健全な危機感が醸成されてこなかったわけです。

 

画像元:日本銀行 資金循環統計(速報) 参考図表(2022年第2四半期)

 

仮にお金に意思があるとしたら、

彼ら/彼女らは、多様な場所の、
多様なニーズがあるところに「出向きたい」と願っているのではないでしょうか。

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