投資信託あれこれ, 金融機関にモノ申す

毎月分配型「外国債券ファンド」の再登場に要注意!

2022年10月24日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

正確にいえば今でも
毎月分配型「外国債券ファンド」はたくさんあるのですが、

投信業界が再びこれを
「メインストリーム」に載せようとする危険があるので要注意、というお話です。

 

 

 

株式の場合は、
市場全体で見れば(長期的には)右肩上がりです。

いっぽう債券は、
アップダウンを繰り返す性格を持ちます。

 

国が発行する債券のリワードは「金利」です。

 

 

 

(2022年10月21日現在
アメリカ、ドイツ、イギリス、オーストラリア、日本の長期金利)

 

 

長期金利の推移でいえば、
アメリカ、イギリスの長期金利は
2005年~2007年の水準に回帰しつつあります。

 

 

わたしがもし、
ファンド運用会社の企画部の人間だったら、
毎月分配型の「外国債券ファンド」を企画すると思います。
※あくまでビジネスとしてですよ!

 

 

「理由」は3つ。

 

1.先進国の長期金利が
「中金利」程度に復活してきた

 

日本の投資家の予備軍、
つまり『未投資家』の立場に立てば、

株式にはアレルギーがあっても、

 

「国債」などに投資して、
そこそこの利息収入を得られるのなら、「(投資を)やってもいいかな。」と思う潜在ユーザーはたくさんいることでしょう。

 

もちろん日本は未だ金利が付かないため、

為替リスクを負って
「外国債券」に投資することになります。

 

 

先進国の『長期金利』が復活してきたことで、
外国債券ファンドは
「定期的に分配金がもらえる商品」としてより仕立てやすくなるのです。
            皮肉を込めて言っています。↑

 

 

投資信託の仕組みでは、

自分の元本から削るお金も
(なぜか)「分配金」として認められるため、

―これを「元本払戻金」といいます。―

「定期的に分配金がもらえる商品」を作りやすいのです。

 

※ちなみにETFでは利益の中から出すお金しか「分配金」として認められません。

 

 

 

 

2.円安傾向にある

 

誰の目にも「円安」が続いていることは明らか。

自国の通貨価値が下がるのは
『未投資家』にとっても心地よいものではありません。

 

日本の金利と、
先進諸国の金利『差』が鮮明なこともあって、

「外貨建ての資産も持っておくべき!」と訴求しやすくなっているのです。

 

もちろん本当は?

 

ほんとうは、
上記のような毎月「分配金」を出す、
運用管理費用が高いアクティブ型の外国債券ファンドではなく、
「eMAXIS Slim 先進国債券インデックス」のような、
「分配金」は出さない、
コストの低いインデックス型の外国債券ファンドを持つべきなのですよ。

 

 

 

3.株式のファンダメンタルズが良くない

 

あくまでビジネス的なお話ですが、

株式の市況が良くないというのは
債券ファンドにとってはチャンスです。

 

既存の投資家にも
「(株式で)そんなに頑張らなくても、そこそこの利息(分配金)がこちらで得られますよ」と、誘いやすくなるのです。

 

 

 

 

ともかく毎月分配型のファンドは、日本の投信業界が作った悪しき文化なのです。くれぐれもご注意ください。

 

 

投資信託の「分配金」は
利益から出される場合もあれば、
元本を削って出す場合もあると声高には言わずに、
高い『分配金利回り』を
ファンドの評価軸のひとつに仕立ててしまった「罪」は大きいと思います。

 

 

投資信託の「分配金」は
純粋に利益の中からしか出せないと、早急に法令を改正すべきでしょう。

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