株価は下がることによってしか、魅力を増すことが出来ません
2022年10月8日
こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。
淡い期待という言葉があります。
もうそろそろ
(株価が、)上がってくれないかなぁ・・
せっかくつみたて投資を始めたのに、
2022年のマーケットは波乱に次ぐ波乱で、ストレスばかりが溜まるよ。
「なんとか上がってくれ!」と願っているのに、市場はその逆の動きをしてしまう事がしばしば。
お気持ち、お察します。
あなたは「配当利回り」って言葉、聞かれたことがありますか?
例えばマイクロソフトの株を「1株」買って、
それが100ドルだったとしましょう。
もしも年間2ドルの『配当金』がもらえれば、
マイクロソフトの「配当利回り」は、
年2%です。
一つの株式のみだけではなく、
米国市場全体、
例えば、S&P500指数の「配当利回り」を知ることも可能です。
現在、配当利回り「1.76%」!
(2022年10月7日現在)
上記が、
魅力的な「配当利回り」か、
凡庸な「配当利回り」なのかは一概には言えません。
新型コロナウイルスの大流行が始まった当初、世の中の金利が『ゼロ』近くになった頃なら、配当利回り1.76%は、投資対象として魅力的に映ったはずです。
『アメリカ国債2年物』の利回りが
4%を超える程度にまで上昇しているため、
たった2年間我慢すれば、
米国人にとってはノーリスクで、
年利4%程度のリターンが獲得できるわけで。
S&P500の配当利回り1.76%は
あっ、ここでは、あなたの損益は脇に置いておきますよ。
代表的な指標S&P500指数そのものが、
ひとつの『生き物』であると考えて欲しいのです。
「配当利回り」という観点から、
S&P500指数がもっと魅力的に映るためには、
S&P500に構成される
アメリカの代表的な企業500社の株価がもっと下がって、
―例えば上例のマイクロソフトでいえば、―
株価が
100ドルから50ドルくらいに下がって、
「配当利回り」が4%になるなどの「変化」が必要です。
S&P500は「生き物」ですが、
S&P500がどんどん上昇するということは、
S&P500の、
投資対象としての「伸びしろ」が、
どんどん小さくなることに他なりません・・。
また、マイクロソフトですみません。
仮に今、マイクロソフトの1株あたりの利益が5ドルあって、株価が100ドルなら、
「利益の20倍、株価は買い上げられている」ことになります。
これはPER20倍と記されます。
一つの株式のみでなく、
米国市場全体、
例えば、S&P500指数の「PER」を知ることも可能です。
現在のPER 18.39倍!(2022年10月7日現在)
ひと頃に比べるとだいぶ「PERの値」は下がってきました。
割高感はないといっていいでしょう。
(一般にPER10~20倍が適正な株価水準の目安とされます。)
しかし、です。
困ったことに、
もしも「景気後退」が本格化して、
今と同じ水準の『利益』を維持することが困難になり、
もしも米国を代表する500社の会社の『利益』が減少していけば、
―また、マイクロソフトの例で恐縮です(^^) ―
マイクロソフトの株価が同じ100ドルでも、
1株あたりの『利益』が仮に2.5ドルに下がってしまうと、
PERは倍の40倍に・・・。
マイクロソフトの例でいえば、1株あたりの利益が2.5ドルに下がっても、PERを「20倍」の水準を保つためには、
株価が50ドルに下がる必要がある。ということであります。
投資対象としてのS&P500も、1株あたりの利益が下がっていけば、指数そのものが下げない限り「PER」は上昇してしまいます。
その魅力を取り戻そうと『値』を下げるわけです。
S&P500がどんどん下がるとは、
S&P500が自らしゃがんで、
投資対象としての「伸びしろ」を大きくしようとする行為に他なりません。
下がれば下がるほど、投資対象としての魅力が増すのです。
私たちはとかく、
自分が保有するS&P500のインデックスファンドの成績に注目してしまいます。
しかし、
S&P500はあなたの所有物である前に、
自律運動を繰り返す「生き物」そのものなのです。
この先、万が一にも皆が悲観に暮れ、
株式に嫌悪感を示すようになれば、
暴落とは「伸びしろ」が大き過ぎる状態を指すのです。
でも、まあ、
そんな劇的にコトは運ばないだろうと・・
冷めながら54歳のオジサンはこの記事を書いていますが、
大切なことは、
株式市場を投資対象、
いつも『これから買う対象』として見ることです。
下がれば下がるほど、
本当は
リスクマネーを投じることへの恐怖心は減ってくるはずなのです。
チャンス、なのです。
カテゴリ:経済よもやま話