リタイアメント・資産の取り崩し

長期投資を続けた末に、運用資産が「保険商品」になってしまう私たち

2022年9月18日

こんにちは。
投資信託クリニックの カン・チュンド です。

若い時は
お金 < 時間 が明白で、

何事も新種なことに興味が湧き、
経験を積むことに夢中です。

 

でもそのうち
お金 = 時間 の時が来て、

ここをあまり意識せず、
毎日忙しく過ごしていると、

あっという間に
お金 > 時間 の様相を呈してきます。

 

(そして「時間」は着実にゼロに向かって逓減するのです。)

 

 

 

 

長い社会人生活の中で、
「貯める」「増やす」が堅固な習慣になると、

金融商品を売却して
お金を「使う」ことが
『するべきこと』という感覚から乖離していきます。

人によっては「苦手意識」さえ持つようになってしまうのです。← ホントです。

 

「そのうちちゃんと考えよう・・」
「お金の生かし方にも向き合おう・・」

そう思っているうちに、

なんとなく再雇用の状態を続け、
それもさらに延長され
68歳くらいまで働いて、

 

もう70歳を超えると、

金融商品を売却して
お金を「使う」ことがいっそう苦痛になり、

この世からサヨナラする直前には、

お金 >>> 時間

の状態になっているケースが意外と多いもの。

 

 

 

 

(そうならないようにするための
「取り崩しメソッド」を学ぶならこちら。)

 

 

 

お金を増やす人 → お金を用いる人への『変身』は、
朝食を「ごはん」から「パン」に変えるほど簡単ではありません。

 

「明日で定年退職だ!」で、

いきなり「増やす人」から
「資産を崩して使う人」にはなれないでしょう。

少なくても数年、
出来れば5年単位の『準備期間』が必要です。

 

考えてみてください。

私たちはコツコツ資産を積むという「積立投資」も、何年も何年もかけて、少しずつ慣れてきたわけです。

(それと同じように『取り崩し投資』にも
少しずつ慣れていく必要があります。)

 

 

カンさん!
それって理屈では分かってても、
実際行動するとなると気持ち的になかなか難しいのよ。

 

あっ、ハイ。
心情お察しします。

 

 

 

 

『相談業務』の中ではお客様から、

 

どうして資産を取り崩せないのか?という具体的な理由を伺っています。

 

もっとも大きな理由は?

病気・要介護・認知症等になり、
『もしも大きなお金が必要になったら・・』と考えると、なかなか資産を取り崩して使えない。

 

これはそうです。

(わたしだって時々考えます。)

 

 

万一妻が先立って
わたしの体が不自由になって、

もしも施設に入らないといけなくなって、
そこで22年くらい過ごすことになってしまい、
すごくすごくお金がかかかったら、どうしよう・・?

 

やっぱり(今の資産額ではなくて)
もっともっと
お金を増やしておいたほうがいいのでは・・と思ってしまう。

 

 

この種の『もしも』を、
起こるべきものとして捉えてしまうと、

たとえ今1億4000万円くらい資産があっても、なかなか使えないでしょう。

これは普遍的な悩みといえます。

 

 

 

 

思い切って資産を取り崩し、
思い切ってそのお金を使えない。

 

その『理由』が
「大きな病気・要介護・認知症」だとするなら、
なんだか「運用資産そのもの」が、
病気や要介護や認知症に
『人質』に取られているような気になりませんか?

 

 

リタイアメントという
人生の『黄金時間』で、

やりたかったコトをしないで、
手にしたかったモノを手に入れないでいると、時間は容赦なく過ぎ去ります。

 

現実問題として
年を一歳重ねるごとに、
できるコト、アクセスできるモノは減っていくわけです。

 

もしかすると、

大きな病気・要介護・認知症等に
『ならない』リスクについても、真剣に考慮しないといけないのでは?

 

 

カンさん、何言っているの!

もしもやりたかったコトをして、
手にしたかったモノを手に入れて、

 

お金が減っちゃったあとで
本当に大きな病気・要介護・認知症等になったら、どうするの?

 

 

そのときは、

わたしは

諦めます。

ホントの話。

 

 

病気になった場合も、
手術は健康保険の適用範囲内で。
入院は6人部屋で。

 

介護付き老人ホームは公的なものは倍率が高くて無理でしょうから、シンプルな有料老人ホームで、地方の、入所一時金が安い、中の下くらいのレベルでOKと割り切ります。

(これはわたしの中での小さな覚悟です。)

 

 

なぜならわたしは、

病気・要介護・認知症等のためより、

やりたかったコト、
手にしたかったモノのほうに

お金を使うことを『優先』させるからです。

お叱りを受けるのを覚悟で、
「本音」を申し上げれば、

『もしも』の、
大きな病気・要介護・認知症等に備えて、
資産を後生大事に保っていても、

 

そして実際、

大きな病気になる、
要介護状態になる、
認知症になったとして、

それまで蓄えておいた『資産』が役に立ったとしても、

 

別に40歳に戻れるわけではありません。

 

ヒトの生から見れば、

健康な状態の時間が5年延びた、
あるいは寿命そのものが
10年、15年延びたことに過ぎず、

いつかは【死】を迎えることに変わりはないわけです。

 

例えば80代になって
1億円近い運用資産があって、

(ほんとうはそれを使いたい気持ちもあったけれど、)

病気・要介護・認知症等が心配で、
ずっと資産を持ち続けるというのは、

 

1億円近い運用資産が、
『保険商品』に成り下がっているとわたしは思うのです。

 

 

お金そのものは無色透明です。
自ら動けません。

感情も持たず、主義主張もありません。

お金の価値は、
「お金そのもの」×「そのお金を保持する人」という掛け算ではじめて現出するのです。

 

お金は あなたが 動かして なんぼ です。

カテゴリ:リタイアメント・資産の取り崩し

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